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冥界の守護者

第16話 - 冥界の監獄

239

2025年05月12日

#司類

#冬彰

#寧々えむ

#こは杏

#瑞類

あかまる🍓🐾໊

司

ここです、カイトさん。

カイト

ふむ…

ｶﾂﾝｯ

カイトさんが壁の方に手を伸ばし、その手が壁に触れた。

カイト

本当だ。これは…結界かな？

カイト

君たち4人がかりで壊そうとしても、ダメだったんだよね？

ルイ

はい。傷一つ付く気配もありませんでした。

カイト

そうか…まぁ、そうだろうね。

カイト

これは王にしか作れない結界だから。

司

？！

アキト

…という事は、カイトさんが作ったんですか？

カイト

いいや、僕じゃない。

カイト

…いや、まさか……そんなはずは…

トウヤ

？

カイト

彼女は監獄にいるはず…脱獄したという知らせも届いていない…気配もない…

司

(彼女…？脱獄…？)

カイト

…とりあえず、これは壊してみよう。

カイトさんがそっと壁に触れた。

ピキッ

司

…え

ピキピキッ

司

(お、オレたち4人でも歯が立たなかったのに、触れただけでヒビが…！？)

司

(こ、これが王様の力…って事なのか？！)

カイト

…やはり、硬いね。

カイト

けど、

バリンッ！

パラパラパラ…

司

なっ？！

カイト

……ふぅ、

カイト

流石に少し疲れたな…相当強固な結界だったね。

司

(いや、一瞬だったが？！)

トウヤ

しかし…結界を解いたものの、相変わらず奈落しかないな。

アキト

……トウヤ、下。

トウヤ

下？奈落に何か…？

アキト

監獄がある。ここは丁度、監獄の真上の位置だ。

ルイ

監獄の周りに結界を張っていた…という事かな？

カイト

監獄に…結界…

司

監獄って、地獄行きの魂たちがいる場所だよな？

ルイ

あぁ、そうだよ。

カイト

……4人とも、新しい仕事を頼みたい。

カイト

監獄の様子に変わりがないか、確認してきて欲しい。

カイト

少し…嫌な予感がするんだ。

トウヤ

分かりました。行ってきます。

冥界

監獄

司

明るっ？！

司

な、なんか全然監獄っぽくない場所だな？

ルイ

…内装が、以前と全く異なっているね。

トウヤ

そうですね。こんな城のような雰囲気ではありませんでした。

アキト

既に異変か。嫌な予感しかしねぇな。

ルイ

どうする？ここはやはり、効率的にも二手に分かれた方がいいかな。

トウヤ

分かりました。では、俺とアキトは向こうから回ります。

ビキッ

司

…ん？

司

今、何やら不穏な音がしなかったか…？

アキト

あぁ。なんか「ビキッ」って聞こえたな。

ビキビキビキッ

ルイ

…床、かな？

バキンッ！

司

「バキンッ」？！

突如、体が宙に浮くような感覚がした。

司

(ん？何故オレは浮いて…)

ヒューー…

司

(……落ちてるのか？！？！)

ドンッ！

司

痛"っ？！

司

い、痛たたた…

司

むむ…ここは…？

司

いや、それよりルイは？！

トウヤ

あっ、司か。

司

ルイ！！…じゃなくて、トウヤか！

トウヤ

ルイさんじゃなくてすまない。

司

いいや、間違えてすまんな。

司

トウヤだけか？ルイとアキトは？

トウヤ

さっき落ちた時までは居たんだが…この近くにはいなかった。

司

むむむ……何なんだ、ここは…？

トウヤ

監獄にこんな場所はない。大方、悪霊の仕業だろう。

トウヤ

とにかく、2人を探して上に戻ろう。

司

あぁ。

ルイ

ん……ここは…

アキト

げ……

ルイ

おや、アキトくん。

アキト

はぁ…トウヤと司がいないんすよ。

ルイ

！

アキト

多分、別々の場所に落ちたんでしょうね。

ルイ

ということは…司くんはトウヤくんといる可能性が高い、か。

ルイ

2人を探して上に戻ろう。ここはきっと、悪霊が作った場所だ。

アキト

分かりました。

司

それにしても…ここは何なんだ？変な空間だな…

トウヤ

さぁ…よく分からない。

司

(トウヤと2人きりになるのは久しぶりだな。最初にアキヤマの話を聞いた時以来か。)

司

(しかし…まさかバディと離れてしまうとは…)

トウヤ

…心配しなくても、アキトとルイさんならきっと大丈夫だ。

トウヤ

あの2人は強いし、相性がいいからな。

司

相性が？

トウヤ

あぁ。戦い方のバランスがいい…というのだろうか。

トウヤ

正直……アキトは、ルイさんとバディになるべきだったかもしれないな。

司

…え？

トウヤ

すまない。独り言だ。

司

(だが…きっと本心だろう。)

司

(トウヤも意外と…バディのことで、何か悩んでいたりするのだろうか？)

司

オレは…トウヤとアキト以上のバディは、無いと思うぞ。

司

励ましにしか聞こえんかもしれんが、心からそう思う。

トウヤ

…そうか。

トウヤ

ありがとう。変なことを言ってすまない、気にしないでくれ。

司

うむ…

トウヤ

2人を見つけて上へ戻りたいが…

トウヤ

……どうやら、それより先にやるべき事があるみたいだな。

司

？

ガキンッ！！

トウヤが懐から剣を抜き、何かを受け止めた。

司

？！

トウヤ

……やはり、1人は来ると思っていた。

あらぁ…完全に不意を突いたつもりだったのだけれど、

司

あ、悪霊！！

ふふ、久しぶりね。また会えて嬉しいわ。

私たちの大事な鍵さん。

司

(鍵…「境界の扉」を開くために、オレの魂が必要なんだったか。)

司

(オレの魂が悪霊に渡ればお終い…)

トウヤ

…あぁ、奇怪な魂の使い方をしてくるという悪霊か。

司

トウヤ。詠唱を頼めるか？

トウヤ

…信じていないわけではないが、大丈夫か？

司

あぁ。任せて欲しい。

トウヤ

…分かった。なら、任せる。

司

ありがとう。

今日はあの詠唱者じゃないのね。ミズキちゃんの元バディ。

司

！！

司

やはり、お前はアキヤマの仲間なのか？

そうねぇ…同じ目的を共有してはいるわ。

それを仲間と呼ぶのなら、仲間ね。

司

…

ルイ

ふむ……不思議な場所だね。

アキト

悪霊の力って言っても…魂をこんな風に扱えるとか、王様以外無理なんじゃないですか？

ルイ

…悪霊に力を分け与えた人物が、王様という事かい？

アキト

ルイさんはそう考えてるんでしょう？

ルイ

ふふ、君も存外勘が鋭いよねぇ。

アキト

まぁ…だって、ルイさんはカイトさんを疑ってるんですよね？

ルイ

そうだね…疑ってるのかな…

ルイ

アキトくんはどうだい？カイトさんの事…どう思う？

アキト

俺は…

アキト

別に、あの人を疑ってはいません。

ルイ

ふむ…なるほど。僕を疑ってるのかな？

アキト

いいや、アンタが悪霊と繋がってるのは考えられません。

アキト

ルイさんのことは、まぁ…トウヤの次くらいに、信用してるんで。

ルイ

おや…ふふ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。

アキト

一応、アンタとも900年の付き合いですからね。

ルイ

それもそうだねぇ

ルイ

しかし…まぁ、君も随分と丸くなったよね。昔はもっと尖ってたのに。

アキト

そっくりそのままお返ししますよ。

アキト

…ルイさん、下がってください。

ルイ

おや…

また会ったね。

アキト

出来れば、会いたくなかったけどな。

ルイ

知り合いかい？

アキト

そこまでじゃないです。一度、顔を合わせた程度なので。

ルイ…

あぁ、カミシロ･ルイ…ミズキのバディ。

ルイ

やはり、ミズキの仲間かい。

さぁ。

丁度いい。貴方も、貴方も、こっちに来ればいい。

アキト

またそれか。だから、俺は生き返りなんて興味ねぇよ。

ルイ

(生き返り、ねぇ…)

ルイ

何故、君らは生き返りたいんだい？

私は別に、生き返りには興味ない。

ただ、カナデに協力しているだけ。

ルイ

？！？！

アキト

カナデ……？

ルイ

まさか……いや、

ルイ

カナデ…って、

アキト

…知ってるんですか？

ルイ

……死神の、始祖だ。

アキト

…え？

ガキンッ！カキンッ！

司

(よし！今のところは、対等に渡り合えてる！)

ふふ、前よりも剣が重くなったわね。

キンッ！

カランッカラン…

っ…！

悪霊の手から剣が離れ、地面に転がった。

司

(よし！！これなら…っ)

"拘束(バインド)"！

司

！！

魂が腕に巻き付き、両腕が不自由になった。

司

(くっ……これ、どうにかならんものか…！)

随分と剣の腕を上げたみたいね。刃こぼれまでしちゃったわ。

さて、行きましょうか。

司

…っ

司

拘束が使えるなら、初めから使えば良かっただろう。何故、わざわざ戦った？

そっちの方が面白いでしょ？

司

……悪趣味だ。

ふふっ

司

(腕…は、ダメだ。どう頑張っても解ける気がしない…)

司

(いや、オレは仮にも王の器なんだぞ！あの時の感覚を思い出せば、魂を操れるかもしれん！)

司

(えっと、「止まれ」って強く念じてああなったから…)

司

(「離れろ」！！オレを「離せ」！！)

しかし、いくら念じても拘束が解ける気配は一向にない。

司

(クソッ…！！オレは、王の力を持ってるんじゃないのか？！)

司

(使いこなせないようじゃ意味がない…！)

何をしようとしているのか分からないけれど…貴方の力は厄介だものね。

少し、眠ってて頂戴。大丈夫、その間に全部終わるわ。

司

くっ…！

司

(眠っちゃダメだ…！！耐えろ…！！)

司

(耐え……)

トウヤ

…よし、

トウヤ

司！詠唱を終えたが…

トウヤ

！？

ぐ……っ、ぅ"ｯ……！

悪霊が大量の血を流し、苦しそうに呻きながら地面に横たわっていた。

トウヤ

(……もしかして、)

司

あぁ、トウヤ。もう少しで終わるんだ。少し待っていろ。

トウヤ

ま、待て！！それ以上やれば、その悪霊は消滅するぞ！

司

あぁ、消滅させる。

司

悪霊なんぞに情けをかける必要はない。消滅させた方がいい。

トウヤ

ダメだ！！監獄行きになるぞ！

トウヤ

お前が監獄へ行ったら…ルイさんが、また1人になるじゃないか！！

司

！

トウヤ

その悪霊は葬送する！だから、そこを退いてくれ。

司

…

司

断る。

トウヤ

な…っ

トウヤ

ルイさんを…1人にする気か…？！

司

そんな気はない。オレがルイを1人にするなど、有り得んな。

司

処罰？監獄行き…だったか？それを裁き、決めるのは誰だ？

トウヤ

当然、冥界の王…カイトさんだろう。

司

つまり、オレが王になればオレのことを誰も裁けないというわけだ。

司

安心しろ、トウヤ。

トウヤ

…何も、安心出来ないぞ、

トウヤ

今の状態の司を王になど、絶対に出来ない。全力で阻止する。

司

…オレの邪魔をする気か。

トウヤ

あぁ。

司

それは残念だ。

っ…

ルイ

……流石に、2対1は卑劣だったかな。

アキト

けど多分、サシだったら負けてたかもしれませんよ。

ルイ

それもそうだね。詠唱するから、あとよろしくね。

アキト

はい。

……残念、

アキト

負けたことに対してか？

貴方たちが、こっちに来ないのが残念。

アキト

俺は、絶対に行く気はねぇぞ。

アキト

けど、最後に教えてくれ。どうして俺に悪霊堕ちして欲しいんだ？

……

待ってるの。貴方のことを、ずっと。

エナが。

アキト

？！？！

アキト

は……え、エナ…って…？

貴方の姉なんでしょう？

アキト

エナは……悪霊、なのか？

そう。

アキト

！！

アキト

なんで…

…流石、暗殺者で900年死神をしているだけあるね。

今の話を聞いても、動揺しているように見えて、隙は見せないなんて。

アキト

俺は、悪霊のことは信用してないからな。

そう…

アキト

(大人しいな…葬送されるっていうのに、焦りも何も感じない。)

アキト

…葬送されるのが、怖くないのか？

何も怖くない。

アキト

…そうか。

また会えるから。

アキト

？

ルイ

詠唱、終わったよ。葬送する。

アキト

あぁ、はい。

ルイ

おや……ここは、

アキト

監獄の入口ですね。

ルイ

葬送した事で、戻ってこれたのか。

ルイ

司くんとトウヤくんは…見当たらないね。

アキト

…多分、まだ下にいるんでしょう。

アキト

ちょっと探しに行きますね。

ルイ

と言っても…床は修復されてしまっているけれど？

アキト

また壊せばいいでしょ。

ルイ

乱暴だねぇ

ルイ

まぁ、2人でなら余裕で壊せそうかな。

アキト

じゃ、早いとこ壊して探しに行きますよ。

ルイ

あぁ。

トウヤ

っ……ぐ、ぅ"…ｯ

トウヤ

ﾊｧ…ﾊｧ…

司

驚いた。お前、戦えるのか。

トウヤ

…何も出来ない、ただの詠唱者だと思っていたか？

司

あぁ。楽器よりも重いものを持ったことが無さそうだと思っていた。

トウヤ

そうか…

司

剣も、相当な手練だな。まぁ…王の力の前では、それも無意味だが。

トウヤ

…

トウヤ

(腕からの出血、更に腹部の損傷…正直、この状況は絶望的だ。)

トウヤ

(今の司の強さは計り知れない。ルイさんよりも強い可能性もある。)

トウヤ

(だが…俺だって、消滅するわけにはいかない。俺が消滅すれば、司は確実に監獄行きだ。)

トウヤ

(そうすれば、ルイさんがまた1人になってしまう。それだけは避けたい…)

司

その状態じゃ、立ってるのもやっとだろう。

司

オレだって、お前を消滅させたいわけじゃない。大人しくしていてくれ。

トウヤ

司…

トウヤ

今のお前は……一体誰なんだ？

司

オレは王だ。この冥界を統べる、王。

トウヤ

冥界の王…か。

トウヤ

お前は冥界の王には、相応しくないな。いいや…そもそも、王に相応しくない。

ザシュッ

トウヤ

っ

司が何も動いていないのにも関わらず、全身が何かで切りつけられたように血が吹き出た。

トウヤ

(相変わらず、防ぎようの無い…)

司

相応しいかそうでないか決めるのは、オレだ。

トウヤ

ははっ…独裁的だな。

トウヤ

俺が1番、嫌いなタイプの王だ。

司

…

司

…本当に残念だ。「司」は、お前のことも好いていたのに。

司

仕方がないな。

トウヤ

…

冥界の守護者

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続き楽しみにしてます！

司、またもや王の性格が出てきた！？それに死神の始祖、カナデって、、、続き楽しみにしてます！

あかまる🍓🐾໊

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