君になりたくて

「カンパーイ！！」

皆が声に合わせてカチンとグラスを当てた。

明里は少し遠くに座る凌を見てため息をついた。

お肉を食べていると、明里の携帯がピコンと鳴った。

「焼肉屋の場所どこ？俺今駅いるんだけど場所わかんない」

明里はその場に立ち上がった。

凌がその場に立ち上がった。

歩いて数十分。

少し前を歩く凌の背中を見つめ、口を開いた。

凌は振り返ると、顔には冷や汗が垂れていた。

その時、ピコンと明里のスマホが鳴った。

「なんか適当に歩いてたら焼肉屋着いた」

「ごめんねー戻ってきてー」

その時、細い道の奥にキラキラと光る何かが見えた。

明里は凌の手を引いて歩き出した。

駅前に広がるイルミネーションに明里は息を飲んだ。

明里は優しく微笑む凌にドキッとする。

2人は人の少ない場所に移動した。

優しいのは凌くんだよ

人のためにそんな怒られる力も凄く素敵なんだよ

やばい、めっちゃ嬉しい

緩む口元を見られたくなくて俯いた。