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じいちゃんのタイムマシーン

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じいちゃんのタイムマシーン

63 - 第六十三話:乗り越えたい

♥

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2022年06月23日

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丈ちゃんと付き合って半年

ちょっと距離があるから頻繁には会えないけど

会える日はわざわざ車で地元まで来てくれて

そのまま二人でドライブをするのが定番になっていた

1月に再び高校へ行ったら門が空いていて

愛紗

すみませーん!

丈太郎

卒業生なんですけど

丈太郎

入ってもいいですか?

教員A

どうぞどうぞ~

たまたま門の近くにいた先生が中に入れてくれた

残念ながら私達が知っている先生は不在で

校内には数名の先生がいたけれど全員、初対面だった

愛紗

前にも一度、来たんですけど

愛紗

その時は門が閉まってて……

愛紗

ダメ元で来たら空いててよかったです

教員A

今日はみかん狩りやっててね!

愛紗

それで開いてたんですね

でも凄く丁寧に対応してくれて

教員A

二人は何期生?

愛紗

三期生です

教員A

じゃあ……

教員A

面識あるのは津崎先生とか塚本先生とか?

丈太郎

はい

愛紗

角田先生とか柳井先生はまだいますか?

教員A

二人共、今は別の校舎に行ってるよ

愛紗

そうなんですか?

その後、自由に校舎内を見てもいいと言われ

真っ先に向かったのは畑だった

高校二年生の春にできてから二年間

私達は授業でいろんな野菜を育て

収穫した野菜を皆で食べた

愛紗

中崎君!

愛紗

大根、植わってる!!

丈太郎

でかいね!

愛紗

もう収穫できそうだね~

その後、校舎内のあちこちを巡り

教員A

これ持っていって!

愛紗

わぁ!

丈太郎

ありがとうございます

袋いっぱいの採れたてのみかんをもらった

愛紗

あま~い!

丈太郎

うん、あまい

そして二月のバレンタインの日に

初めて二人でホテルに行った

フラッシュバックが起きてしまって何もできなかったけど

丈ちゃんは落ち着くまでずっと抱き締めて頭を撫でてくれた

それからも何度かホテルに行ったけど

その度に元彼と恭也さんのことがフラッシュバックして

結局、何もできないまま月日が過ぎた

大好きなのに

その想いに答えられない

愛紗

ごめんね

丈太郎

何が?

愛紗

ホテル……

丈太郎

気にしなくていいのに

愛紗

でも……

愛紗

丈ちゃんはしたいって思うでしょ?

丈太郎

まぁ……

丈太郎

俺も男ですからねぇ

愛紗

だったら……

丈太郎

だーめ!

丈太郎

俺は無理にしたくない

愛紗

丈ちゃん……

丈太郎

ゆっくりでいいんだよ

本当は私もしたいと思っている

丈ちゃんが大好きだから

丈ちゃんともっと触れ合いたくて

丈ちゃんの愛情をもっといっぱい感じたくて

でもいつも震えてしまって

その度に丈ちゃんは頭を撫でてくれるけど

何だか凄く申し訳なくて……

大好きなのに

こんなにも大好きなのに……

愛紗

(私も明日夢みたいにタイムマシーンが使えたらな……)

タイムマシーンで高校時代に戻りたい

元彼や畑中君の告白は断って

ただ真っ直ぐに丈ちゃんだけを見ていたい

愛紗

ねぇ丈ちゃん

丈太郎

ん?

愛紗

タイムマシーンがあったらどうする?

丈太郎

え?

丈太郎

タイムマシーン?

愛紗

うん

丈太郎

そうだな~

丈太郎

やっぱりあいちゃんを助けたいかな

丈太郎

あいつが何かする前に戻って……

愛紗

丈ちゃん……

丈太郎

そうすればあいちゃんのトラウマはなくなるでしょ?

丈太郎

別にしたいからとかそう言う意味じゃないからね!

丈太郎

ただあいちゃんを助けたいだけで……

愛紗

ありがとう

その気持ちが嬉しくてたまらない

だから思った

やっぱりちゃんと乗り越えたい

私のトラウマとか全部を乗り越えて

これからも丈ちゃんと幸せな時を過ごしたい

愛紗

丈ちゃん……

丈太郎

なーに?

愛紗

やっぱり……行きたい……

丈太郎

あいちゃん……

丈太郎

無理しなくていいんだよ?

愛紗

でも……

愛紗

私ちゃんと乗り越えたい……

愛紗

もしかしたら……

愛紗

また震えちゃうかもしれないけど……

丈ちゃんのことが

大好きだから……

丈太郎

わかった

丈太郎

でも怖くなったら直ぐやめるからね?

愛紗

うん

愛紗

ありがとう

私の思いをちゃんと受け止めようとしてくれる

だから私も

丈ちゃんの思いをちゃんと受け止めたかった

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