ここは
海が見える小さな小さな町。
その町にある1つのバス停。
ここで私は待っている。
バスではなく
君を─────。
ここに来るといつも思い出す。
一度だけここのバス停で会った
名前も知らない男の子のことを。
男の子は泣いてる私に温かい眼差しを向けてくれた。
太陽みたいな笑顔でニッコリと
私に微笑む彼の姿、
「また会おうね」と『約束』したことを
今でも覚えている。
穏やかな潮風が私の髪を揺らす。
そして静かな波音が聞こえる。
ここに彼がいてくれたら
あの日と何も変わらないのに……。
想楽
想楽
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想楽
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想楽
想楽
想楽
想楽
想楽
想楽
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想楽
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想楽
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想楽
想楽
想楽
想楽
想楽
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想楽
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想楽
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想楽
想楽
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想楽
想楽
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想楽
想楽
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『約束』と言った日から
もう10年も経ったのに
未だに彼に会えていない……。
名前くらい聞いていればよかった……。
あの時のお礼も言いたいのに……。
「今では家族3人で幸せに暮らしてるよ」
って教えたかったのに……。
でも……
どんなに待っていても彼に会うことは出来ない。
記憶喪失になりたい……。
そして全てを忘れたい……。
後ろを振り返ると
真っ赤な夕日が海に沈んでいる。
人々も鳥も皆が家に帰っている。
私も帰ろう。
また今度ここに来よう。
そう思っていた時だった。
ものすごい勢いの潮風が私の髪を大きく揺らす。
それと同時に聞こえてくる懐かしい声。
想楽ちゃん……!
間違いない……。
彼の声だ。
明らかに聞こえる。
でも、辺りを見回しても誰もいない。
ここにいるのは私だけ。
一体どこから聞こえるの……?
お願い。
返事をして。
姿を見せて。
願っても願っても彼の姿は見えない。
声しか聞こえない。
想楽ちゃんがずっとずっと
幸せでありますように……!
待って……。
いかないで……。
私を置いていかないで……。
え……?
置いていかないで……?
あぁ……。
全部思い出した……。
彼とはもう会えないんだ……。
彼は帰るから……。
アチラに……。
20年前。
ここのバス停で会った男の子。
私は密かに想いを寄せていた。
そんな彼に
10年経っても
会えなかった理由。
遅かったからだ。
時間が……。
なぜなら彼は……
彼岸の者だから……。
コメント
7件
うぅ………。゚(゚´Д`゚)゚。悲しいね…… バス停で待っていたのは、バスじゃなくて「君」だったなんて…切ないなぁ…。 「君」を10年もずっと待っていたのに、彼岸の者だったなんて…想楽ちゃんは悲しかっただろうね…。 でも、姿は見えないけど…最後に声を聞けて…良かったね。 最高だった…!!!
ステキなお話でした 想楽ちゃんが家族を繋いでいる姿も、 それを後押しする男の子も! また会えると良いですね 綺麗な情景が浮かぶ作品で良かったです(*⃙⃘´꒳`*⃙⃘)
。゚(゚´Д`゚)゚。 凄く感動しました 想楽ちゃんは待ち続けてて、ちゃんと男の子は約束を守ってくれた。そのなんていうか…二人の気持ちが通じ合っているというか……神作品ですね✨ 語彙力……_(┐「ε:)_