TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

透明な世界での日々は、穏やかで、そして奇妙だった。

江川枇翠は、ここに来てから何度も「楽だ」と思った。

朝に怯える必要もなく、誰かに笑われる心配もない。

ただ碧芭と歩き、話し、座っていればよかった。

けれど、少しずつ違和感も膨らんでいく。

ある日、ふたりは真っ白な商店街を歩いていた。

看板も、陳列された商品も、すべて色を失っている。

枇翠はふと、ある店の前で足を止めた。

江川枇翠

……ここ、昨日はなかったよな?

確かに昨日は何もなかった場所に、今日は“白い花屋”がある。

けれど、その店の奥はぼやけていて、入ろうとすると霧のように消えてしまう。

神代碧芭

この世界は、俺たちが思うことで形を変えるんだ

碧芭は淡々と説明した。

神代碧芭

欲しいって思ったものは現れる。でも、本当に“必要ない”って思ったものは、消える

江川枇翠

……消える?

枇翠が言葉を繰り返すと、碧芭は路地の奥を指さした。

そこには昨日まで確かにあったはずの白いベンチが、跡形もなく消えていた。

神代碧芭

俺たちが忘れたものは、この世界からもなくなる

神代碧芭

逆に、強く思い描けば現れる

神代碧芭

だから――ここにいる限り、俺たちは不自由しないんだ

枇翠は驚きと同時に、背筋に冷たいものが走るのを感じた。

江川枇翠

じゃあ……人も?

碧芭は少し黙り込み、やがて小さく笑った。

神代碧芭

試してみる?

その声は軽やかだったのに、どこか底知れない響きがあった。

枇翠は答えられなかった。

ただ、自分の胸の奥で“ある疑問”が芽生え始める。

江川枇翠

(この世界で――碧芭は、どうして最初から色を持っていたんだ?)
loading

この作品はいかがでしたか?

101

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚