#11
携帯の画面に表示される"向井康二"の文字
喜びと悲しみが入り混ざりぎゅと握りしめる。
向井康二
向井康二
向井康二
向井康二
部室以外で会える嬉しい反面、
近付き過ぎないようにしなければ、とも思った。
まゆか
そう返すと、向井さんは、
目を三日月の様に細めて微笑んだ。
それから、週に一回、同じ授業と
放課後に気が向けば一緒にカメラをいじっていた。
···とは、言いつつ授業が延びない限り
ほぼ毎日一緒にいた。
そんな生活が2ヶ月過ぎると
うっかりと仲良くなってしまった。
お互いの名前を呼び合うほどに。
高校から少し離れた
自然が豊かな公園で写真を撮っている時だった。
肩を叩かれ振り返る。
まゆか
向井康二
向井康二
その言葉に小さなトゲが胸に突き刺さる。
向井康二
向井康二
向井康二
うん、とは言えなかった。
仮に行ったとして、感想を聞かれたとしたら困る
そこで嘘をつくと気が引ける。
まゆか
そう言って再びカメラを覗く
ふと、気がつくと、隣に康二がいない
後ろを振り向くと、遠くの方で
付き添いできていた深澤先生と康二と
母が立っていた。
…母?
まゆか
思わず大きな声が出る。
立ち上がり3人の方へと走る
まゆか
母はニヤニヤと笑う。
まゆか母
まゆか母
まゆか母
母の言葉に全力で首を振る。
まゆか
まゆか
まゆか
まゆか
そう言うと、あっ、とした顔をして"じゃあね!"
と、ヒールをコツコツと鳴らして去っていった。
深澤先生
深澤先生
笑う深澤先生と固まったままの康二。
まゆか
向井康二
"大丈夫"と言う割には一点だけを見つめ
"ただの友達"と繰り返し呟いていた。
まゆか
もし、耳のことを話されてたと思うと
首筋がヒヤリとした
深澤先生
深澤先生
深澤先生
深澤先生の言葉に頷き車の方へと向かう
その間康二は不思議そうな顔をしていた。
その日の朝は、最悪だった。
中学の時、私をいじめてきた元クラスメイトと
電車で会ってしまった。
急いで逃げてきたがあの時と同じ
"外れ物"と言われた。
どうして私はこんなに中途半端なんだろうと
嫌なことが嫌なことを呼び
ネガティブになっていく
部室に行き、机に突っ伏す。
太陽を隠した分厚い雲のように
気持ちが晴れない。
堂々巡りの思考回路
机に頭をグリグリと押し付けていると、
頭に温かいものが触れる
顔を上げると康二が居た。
まゆか
康二は正面に座る
向井康二
心配してくれる康二。
嬉しいのに話せない。
話せるはずがない。
知られたくなくて、無理やり笑顔を貼り付ける。
コメント
6件
充電3%なんでしばし無浮上🥺🥺🥺
心配ありがとね( 今日も神作だ❕❕
最近、リムられる、誰か宣伝してくれーー