もう、ボロボロだ…
濡れた衣服に流れる血…
出てくる涙さえ拭う事は許されず
また途方も無い暗闇の中放置される事になった…
もう限界だったのかもしれない。
怒り、恐怖、憎しみ、悲観、虚無、絶望、不安…
そして肉体的な痛みと羞恥
心を無にする事が唯一の逃げる方法だった。
また一夜が明け、彼がやってくる。
ガチャ
朔
おはよう。
私
…。
朔
昨日はごめんね。
朔
取り乱しちゃって…
朔
もう大丈夫だから
私
…
彼がまた私を抱え起す。
朔
あーあ。かわいい顔が汚れちゃったよね。
彼は私の顔や身体を拭き
髪の毛を櫛で整えた。
朔
うん。やっぱりこの方がいいね
まるでお人形遊びをしているようだった。
朔
君、かわいいのになんで彼氏作らなかったの?
朔
もったいないなぁ…
朔
僕なら絶対君を狙っていたよ。
私
…。
朔
そういえば…
朔
洋服汚れちゃったよね?
私
…。
朔
着替えさせてあげるよ。
私
…っ!!
彼がタンスの中を探りだす。
朔
んー。
朔
これじゃないなぁ。
朔
あっ。これがいいかも。
彼は白いワンピースを引っ張りだす。
朔
あと下着は…
私
…っ。
知らない他人にタンスを見られるなんて…屈辱的…
朔
これかなぁ。
朔
君に一番似合いそうだ
そういうと彼は深いブルーの色の下着を取り出した。
そして私の手足の縄を解いた。
朔
痛くて動けないよね?
その通りだった。長時間同じ姿勢でいたためか肩にも足にも力が入らない。
彼は私をフワッと抱きしめ、すっと背筋を伸ばすと
私はよろめき彼の胸へと抱え込まれた。
朔
軽いね…
そういうと彼は私の背中のチャックを緩やかに下ろし
ストンと洋服を下へ落とした。
朔
…。
私の肌が彼のしっかりした身体をシャツ一枚ごしに感じる。
朔
さすがに下着を取り替えられるのは恥ずかしい?
朔
ねぇ?
このドキドキは何だろう…
恐怖なのか、それともこんな姿にされているからだろうか…
私は彼の胸深くに顔を埋め、コクリとうなずいた。
朔
ふふ、仕方がないなぁ。
朔
じゃあ着替えたらこっちに来てよ。
朔
話したい事もあるからさ。
彼はスッと私を椅子に下ろすと、私を見ないようにしてドアを後にした…
…つづく