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4 - 悪夢の国のアリス

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2022年06月26日

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アリス?

不思議の国のアリスと鏡の国のアリス

アリス?

前者は知っている人も多いでしょう?

 

アリス?

もし、

アリス?

その話に続きがあるならば

アリス?

それはどんなお話になるかしら?

アリス?

アリス?

ああ、信じなくても結構よ

アリス?

ただの戯言だと思って頂戴

 

……

アリス?

あら

アリス?

気になるの?

 

…………コクリ

アリス?

ふふ、それじゃあ少しだけお話しましょう

アリス?

あなたが悪夢に迷わないように……

あるところにアリスがいました

アリスはとても不幸な子でした

アリス

…………消えたい

チェシャ猫

消えたいかい?

チェシャ猫

ならなんで生きているんだい?

チェシャ猫

一体何がしたいんだい?

ある日のことでした

アリスは白ウサギに出会い、とある世界に誘われました

白ウサギ

お前も来ないか?

アリス

……(少し、だけ)

そこはアリスの知らない世界でした

例えるとするなら、夜のお茶会でしょうか

マッドハッター

まずは嫌なことが小さくなるクッキーなんてどうだい?

アリス

まあ!なんて美味しいリンゴのクッキーなの!

三月のウサギ

目の前の幸せが大きくなるクッキーも有るわ!

アリス

チョコのクッキーも美味しいわ!

アリス

こんな高そうなもの、いただいていいの?

二人

“初めてだからね、特別よ”
“初めてだからな、特別だ”

ティモシー

こんなに早く慣れるなんてな

ティモシー

このハーブも上げておこう

アリスは乾燥したお茶の葉を受け取りました

アリス

ありがとう!

アリスはとても満ち足りた気分でした

心がふわふわして、嫌なことを全て忘れられたのですから

当然と言えばそうなのでしょう

赤のクイーン

こんな夜遅くにどこまで行ってたの?

アリス

ウフフ、とっても素敵なお茶会!

まだアリスにはお茶会の余韻が残っていました

赤のクイーン

────?!!!

だから、赤のクイーンに酷いことを言われても気にしません

アリス

ふふっ、おやすみなさい♪

アリス

嗚呼、あのお茶が飲みたいわ

アリスは部屋の中で、 ティモシーにもらったお茶を自分で入れてみました

アリス

なんて素敵な香りなの!

アリスはお茶を一気に飲み干しました

アリス

アリス

あら、?

アリス

なんだか、眠く……

アリス

zzz……

数ヶ月後

アリスは終にお茶の葉を使い切ってしまいました

アリス

まあ、どうしましょう!

アリス

私、このお茶が無いと眠れないわ!

アリスはお茶の葉がなくなると 狂ったように幸せを探し始めました

アリス

私はあのお茶でしか幸せにならないのに!

アリス

もっともっと、ねぇ、もっとっ!!

アリス

夢くらい、見させてよぉ……

そこでアリスは気が付きました

アリス

そうだわ

無いなら貰いに行けばいいのだと

アリス

もう一度、あのお茶会に行けば……!

アリスは現実から逃げ出しました

赤のナイト

アリス!

赤のナイト

そっちに行っちゃ駄目だ!

赤のナイト

戻れなくなるぞ!!

白のナイト

黙れ

白のナイト

これはアリスが望んでるんだ

白のナイト

お前が決める権利はない

どちらもアリスのことを思い アリスのことを守ろうとして 争っていました

勝ったのは 白のナイトでした

赤のナイト

ウ……ァリス……

アリス

ごめんね、赤のナイト

アリス

これは、私が決めたことなの

アリス

もう戻れないの、やめられないの

そう言ってアリスは赤のナイトの手を握りました

アリス

だって、あのお茶会は楽園だから!

アリス

あそこは夢のような国よ
だから、出口なんて必要ないの

アリス

いつか貴方も夜に染まったら私の気持ちが分かるようになるわ!

赤のナイト

アリス……ッ!

そう

アリスは既に染まりきっていたのです

本人は気付くことは無かったけれど

アリスはいつの間にか お茶とクッキーのことしか考えられなくなりました

毎日十杯のお茶を飲んでも 何故か幸せだと感じられなくなってしまったのです

アリス

アリス

そうだわ!

アリス

お茶の葉を、そのままクッキーに入れて焼いたらいいのよ!

それは名案で有り、迷案でした

実際、アリスはそれで幸せだと感じられたのですから

アリス

嗚呼……なんて美味しいの!

アリス

ずっとこの夢が覚めなければいいのに……!

最後は夢から覚めないといけない

それはアリスが紡ぐ物語の共通点なのですから

でも、アリスはそれを拒み続けました

耐えかねた女王が アリスを呼び出したのです

ハートの女王

アリス!

ハートの女王

お前の罪を裁く!!

アリス

そんな、私、何もしていないわ!

アリスがそう言うと 女王は金切り声で叫びました

ハートの女王

多額のお金を親から盗み!

ハートの女王

半狂乱で人を傷付け!

ハートの女王

挙句、夜に密会を行った!

ハートの女王

お前が手にしたものはなんだ!

ハートの女王

これでも何もしていないと言うのか、お前は!!

アリス

(きっと悪い夢を見ているのだわ)

アリスは逃げ出しました

女王の言葉の意味を理解出来なかったから

いいえ、自分が悪いと信じたくなかったから

ハートの女王

アリス、待ちなさい!

アリス

嫌よ!

ハートの女王

お前たち!アリスを捉えて!

アリスは無我夢中で走りました

道に迷ったアリスは 綺麗な蝶に導かれるように外へ飛び出しました

アリス

嫌……!

アリス

誰か助けて!

白のクイーン

あらぁ?

白のクイーン

貴方、どうしたの?

アリス

ハートの女王が!トランプ兵が!

アリス

私を追っかけて来るの!

アリス

止めて、止めて!

アリス

殺さないで!

白のクイーン

落ち着いてぇ?

白のクイーン

誰も来ていないわぁ

アリス

え?でも……

白のクイーン

ふふっ、寝ぼけていたのかしらぁ?

アリス

そんな、はずは……

アリス

……この蝶々さんが、逃してくれたの?

ひらりと蝶がアリスの周りを飛んでいます

白のクイーン

白のクイーン

蝶?

そのときアリスは気が付きました

自分の周りを飛んだいるのは 美しい蝶ではなく 醜い蛾であることに

アリス

!!

アリス

いやああああっっ!!

アリス

はぁっ、はぁっ……

アリス

なんで、私の部屋にも入ってくるのよ!

蛾はひらひらとアリスの目の前を舞っています

そしてその数はアリスが瞬きするたびに増えるのです

アリス

嫌、嫌!

アリス

汚い!

アリス

鬱陶しい!

アリス

止めて!

アリス

視界を塞がないで!!

アリス

嫌ああああっっ!!!

アリスは沢山の蛾に埋もれ 自分の姿も 何故不幸だったのかも 忘れてしまいました

アリス

アリス

夢、なら

アリス

今すぐ、

アリス

あのお茶を飲む前に……

 

 

アリス?

こうしてアリスは

アリス?

幸せを求めたまま悪夢の中を彷徨うことになりました

アリス?

良い子が眠る時間にお茶会を行った罰なのでしょう

 

……(ビクビク)

アリス?

ふふっ

アリス?

怖がらなくても良いわよ

アリス?

元々、貴方が悪夢に迷わないように話した戯言だから

 

…………

アリス?

アリス?

でも、そうね

アリス?

アリスがお茶だと思っていたもの

アリス?

クッキーの味

アリス?

ハートの女王の言葉

アリス?

この戯言の正体に貴方は気付くかしら?

 

……?

 

 

アリス?

このお話はここでお終い

アリス?

いつか貴方が夜、悪夢を彷徨いそうになったときは

アリス?

このアリスの結末を思い出して頂戴ね?

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