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佐狐 浩太
佐狐 浩太
ふと湧いたそんな疑問を 考え無しに口に出した。
今はそれを、少し後悔している。
梶 蓮
梶 蓮
梶 蓮
佐狐 浩太
懐かしそうに、大切そうに、 色の抜けた自身の髪の毛を 少し摘んで微笑む梶が 双眸に焼き付く。
佐狐 浩太
風に吹かれて、 染め直した黒髪が揺れる。
今は、それがうざったくて たまらなかった。
出会った時の色。
佐狐 浩太
柊 登馬
何にも染まらぬ堅実さを 象るような硬い黒髪。
柊 登馬
柊 登馬
あの時、追いかけていた黒髪は 変わってしまった。
と、オレは思っていた。
獅子頭連に入った時に、 髪の毛を染めた。
あの頃とは違う、 そう言い聞かせるように。
佐狐 浩太
佐狐 浩太
見返してやる。見返してやる。
その一心で、ケンカをしてきた。
でも、負けた。
というより、理解した。
柊 登馬
柊 登馬
柊 登馬
……理解せざるを得なかった。
佐狐 浩太
佐狐 浩太
髪、もう黒じゃないんだ。
佐狐 浩太
スカジャンを手放した。
オレは、負けたから。
そしたら。
犬上 照臣
犬上 照臣
過去の自分によく似た黒髪の、 過去の自分とはかけ離れた後輩に 思いっきり吠えられた。
佐狐 浩太
自分が、憧れを向けられるなんて 思っていなかった。
そんな資格すらないと思っていた。
犬上 照臣
佐狐 浩太
過去の自分と重なる。
佐狐 浩太
こんな風に、 吠えられなかったんだろう。
梶は、どんな気持ちで 髪を染めたのだろう。
風に揺れる色の無い髪が、 ただただ羨ましかった。
梶 蓮
佐狐 浩太
あの後、だんだんと落ちてきた 黄金色を、元通りの黒髪に戻した。
過去と向き合って 生きていこうと決めたから。
梶 蓮
佐狐 浩太
思いがけない梶の言葉に、 思わず素っ頓狂な声が出る。
梶 蓮
佐狐 浩太
オレの、色。
強くて堅実な、柊さんの色。
行動を起こせなかった、オレの色。
行動を起こした、梶の色。
思いっきり吠えてきた、犬上の色。
佐狐 浩太
揺れる黒髪に、問いかけてみた。
あれから、数年。
佐狐 浩太
佐狐 浩太
ガチャッ
ただいまっスー!
佐狐 浩太
犬上 照臣
犬上が、髪を染めた。
犬上 照臣
佐狐 浩太
犬上 照臣
犬上 照臣
佐狐 浩太
犬上 照臣
どこがだよ、と言いたかった。
犬上 照臣
言っても無駄だと分かっていた。
オレがどう思うかなんて 犬上にはどうでもいいことで、
それは犬上の勝手だ。
佐狐 浩太
犬上 照臣
犬上 照臣
明日、髪を切りにいこう。
髪は、染めないことにした。
あこがれにそめる 完