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サヨナラ､私の初恋の人。

第1話 - サヨナラ､私の初恋の人。

171

2019年03月19日

#私が恋をしたのは人間でした。

#恋愛

#切ない恋

ﾓﾁﾓﾁたぴおか👈

『もしもし私メリーさん』

そのお決まりの台詞を言うと人間たちは恐怖で怯える

やり方が少し怖いけど…これは私の仕事

皆が言っているメリーさんは…嘘っぱち

無理矢理殺したりしないわ。

今日は57351回目のお仕事の日

今日も穏便に事が終わるはずだったのに…

矢夜威(メリーさん)

さてと、仕事しますか～

矢夜威(メリーさん)

今日のターゲットは…えーっと……

そういってもらった書類をめくる

矢夜威(メリーさん)

ん？『三藤あたる』……マジかよ。

その人は私が死ぬ前の同級生であり、

私の初恋の人だった……

矢夜威(メリーさん)

へー。今は国のスパイやってんだ～

矢夜威(メリーさん)

ターゲットにされた理由は…

矢夜威(メリーさん)

『１年後に他国のスパイに捕まり、それから死ぬまで、死ぬギリギリの拷問をされる』……グロっ。

"死因"といっても今死んでいるわけではない

この仕事は

・罪を犯したが一生裁かれない人

・罪をこれから犯す人

・将来残酷な殺され方をする人

の内、どれか一つあてはまる人を浄化する。

浄化＝苦痛を与えないで消す

まぁ、仕事だけどボランティアみたいなもので

相手はランダムだ。

そんななかで私は初恋の人にあたってしまった…

矢夜威(メリーさん)

ある意味運命…？むふふ///

矢夜威の同僚

おい、そんなきもい顔してねーで早く仕事いきなさい。

矢夜威(メリーさん)

はーい‼

矢夜威(メリーさん)

ん" ん"あーあー

私はスマホを手に取り、声を整える

だって好きな人と話すんだもん。可愛い声でいたい‼

三藤　あたる

『もしもし？』

矢夜威(メリーさん)

『もしもし、私メリーさん。今ごみ捨て場にいるの』

いつもより少し高い声で電話すると驚きの返事が返ってきた。

三藤　あたる

『その声……まさか…矢夜威(やよい)か？』

矢夜威(メリーさん)

『げっ‼何でバレんのよ』

私はメリーさんになって初めて関係ないことを喋った…

三藤　あたる

『あったりめーだろ！忘れる分けねーだろ』

矢夜威(メリーさん)

『え……』

三藤　あたる

『そのぶりっこみたいな声』

矢夜威(メリーさん)

『そこはせめて可愛い声と言え。』

三藤　あたる

『あはは‼かわんねーな、お前』

矢夜威(メリーさん)

『あたるこそ。』

三藤　あたる

『ん？あれ？お前…確か１０年前に交通事故で死んでなかったっけ？』

矢夜威(メリーさん)

『あーうん。死んだ死んだ。だから今メリーさんやってんの。』

三藤　あたる

『え！死んだらメリーさんになんの⁉』

矢夜威(メリーさん)

『極一部の" 女の子"だけね。』

三藤　あたる

『なーんだ、ちぇっ』

矢夜威(メリーさん)

『てかメリーさん信じんの？』

三藤　あたる

『おう‼俺は昔からそういうの信じるたちでね。』

矢夜威(メリーさん)

『あ、次に進めないから１回切るね』

三藤　あたる

『え、あっ、ちょっ、まって‼』

ブチ‼プープー

矢夜威(メリーさん)

変わってなかったなぁ。私の好きなあたるのままだ。

そういって私はまたニヤニヤした。

矢夜威(メリーさん)

『もしもーし私メリーさんでーす。今魚屋の前にいまーす』

三藤　あたる

『うわっ、雑！』

矢夜威(メリーさん)

『ねぇ、ていうかあんたよく国のスパイなんてなれたね⁉』

三藤　あたる

『は？何でしってんだよ』

矢夜威(メリーさん)

『メリーさんは何でもしってんの。』

三藤　あたる

『ほほーう。じゃぁ俺の今の気持ちわかる？』

矢夜威(メリーさん)

『そこまでは分かんないわよ。何？』

三藤　あたる

『お前と今喋れて超うれしぃ。』

矢夜威(メリーさん)

『は、はぁ？バカじゃないの？////』

三藤　あたる

『うわー照れてるぅ‼』

矢夜威(メリーさん)

『死ね!‼』

ブチ‼

私は無理矢理切った

矢夜威(メリーさん)

そんなこと言われたら…期待しちゃうじゃん……/////

矢夜威(メリーさん)

『モシモシ私メリーサン今郵便局ノ前ニイルノ』

三藤　あたる

『何で片言なんだよ。』

矢夜威(メリーさん)

『そういうルールなの。』

三藤　あたる

『ルール？そういえばメリーさんってなんなんだ？』

矢夜威(メリーさん)

『んー仕事』

三藤　あたる

『仕事⁉』

矢夜威(メリーさん)

『うん。簡単に言えば、ふさわしい人を浄化させるの』

三藤　あたる

『浄化……ってことは俺…最後に……』

矢夜威(メリーさん)

『……そうね。』

三藤　あたる

『……ぁ、え～と俺は何でふさわしいんだ？』

矢夜威(メリーさん)

『企業秘密。』

三藤　あたる

『ケチ～』

矢夜威(メリーさん)

『ハイハイ。じゃあ切るね』

三藤　あたる

『おう』

あと３回であたるは……

ううん‼いいことなんだ！苦しまずにすむ‼

矢夜威(メリーさん)

『私メリーサン､今アナタノアパートノ前ニイルノ』

三藤　あたる

『？どこ見てもいねーぞ？』

矢夜威(メリーさん)

『最後しか見れないのよ』

三藤　あたる

『え⁉そーなん？』

矢夜威(メリーさん)

『そーなん。』

三藤　あたる

『なぁ、メリーさんってどうやって電話してんの？』

矢夜威(メリーさん)

『昔は公衆電話を転々としてたけど今は自分のスマホある』

三藤　あたる

『へー‼ギャ○ク○ー？』

矢夜威(メリーさん)

『ううん、私のはア○フォ○』

三藤　あたる

『へーLIMEとかしてんの？』

矢夜威(メリーさん)

『同僚とはやってる。』

三藤　あたる

『同僚って…何人いんの。』

矢夜威(メリーさん)

『うーん、ざっと100人』

三藤　あたる

『多っ！よく人口減少しねーな』

矢夜威(メリーさん)

『若干減少してるわよ。たまにミスるのよ。メリーさんも』

三藤　あたる

『ミスって？』

矢夜威(メリーさん)

『スマホの充電切れたり』

矢夜威(メリーさん)

『間違って通話切っちゃったり』

矢夜威(メリーさん)

『あとは……最後に殺された子もいるわ。』

三藤　あたる

『グロテスク…』

矢夜威(メリーさん)

『切るわよ。』

ブチ‼

矢夜威(メリーさん)

あと２回……

私は大きく息を吸い、通話ボタンをおす

矢夜威(メリーさん)

『私ﾒﾘｰｻﾝ今玄関ﾉ前ﾆｲﾙﾜ』

三藤　あたる

『何か不気味ぃ‼』

矢夜威(メリーさん)

『それが世間一般的な反応よ。』

三藤　あたる

『なぁ矢夜威……』

矢夜威(メリーさん)

『何？』

三藤　あたる

『俺…さ、お前になら殺されてもいいと思ってる。』

矢夜威(メリーさん)

『……なんでよ。』

三藤　あたる

『俺…お前が死んだ１０年前……ずっと悔やんでた』

三藤　あたる

『あのとき"好き" って伝えてればって…』

矢夜威(メリーさん)

『……』

三藤　あたる

『なあ、お前は俺のこと嫌いか？俺は今でも…』

矢夜威(メリーさん)

『そんなこと言わないでよ……‼ズルいよ。今言うなんて』

矢夜威(メリーさん)

『あたるのこと……殺したくないよ……』

ブチ‼

私は目から出そうになる"水"を必死にこらえる。

矢夜威(メリーさん)

『ﾜﾀｼﾒﾘｰｻﾝｲﾏｱﾅﾀﾉｳｼﾛﾆｲﾙﾉ』

三藤　あたる

『おー、こえっ』

矢夜威(メリーさん)

『あたる…こっちむいて？』

そして久しぶりにあたると目が合う。

我慢してきたものが全てでる

矢夜威(メリーさん)

あ"だる"ぅ"……

三藤　あたる

うわ、涙と鼻水でひでー顔。

矢夜威(メリーさん)

あたる…ｸﾞｽｯ

矢夜威(メリーさん)

殺したくないよ…好きだよ……

三藤　あたる

お前それ今言うの反則

矢夜威(メリーさん)

ごめん……

三藤　あたる

俺……天国かな？

矢夜威(メリーさん)

多分…

三藤　あたる

じゃぁ俺に会いに来いよ…

矢夜威(メリーさん)

うん。天国でも地獄でも探すから。

三藤　あたる

そしたらお前はその仕事やめて結婚しよーぜ。

矢夜威(メリーさん)

うん。

矢夜威(メリーさん)

あたる…そろそろお別れだよ……

私がそう言うとあたるはそっと私にキスをした。

三藤　あたる

これ。俺の１０年分の想いだから。覚えとけよ‼

矢夜威(メリーさん)

うん。

私は泣きながらナイフをふりおろす。

矢夜威(メリーさん)

さよなら……

三藤　あたる

痛くないんだな。じゃあな、またな。

『またな』

その言葉に私は頷けなかった…

矢夜威(メリーさん)

言えないよ…もう一生会えないなんて……

矢夜威(メリーさん)

『またな』なんてズルいよ。

人は死から１０年経つと生まれ変わる。

私の仕事も１０年契約

少しずつ私の体も消えかかる。

矢夜威(メリーさん)

来世でまた会おう。あたる。

そして私の姿はもうあたるの家にはない。

『オギャーッ‼』

その声は私の第二の人生の始まりの音だった。

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