お爺さんとお婆さんに 育てられたありき太郎は すくすくと育ち
やがて立派な青年へと 成長しました。
そんなある日、 ありき太郎は──
ありき太郎
お爺さん、お婆さん
ありき太郎
これから、鬼ヶ島へ行き
村で悪さをする鬼達を
退治してきます
村で悪さをする鬼達を
退治してきます
──と、ありきたりな事を 言い始めました。
それを聞いたお婆さんは
お婆さん
もも······
お婆さん
ありき太郎や
お婆さん
それならば、
これを持ってお行き
これを持ってお行き
そう言ってありき太郎に
ドッグフード
バナナ
いかにも鳥が好んで食べそうな 何か木の実的なやつ
を持たせました。
ありき太郎
それでは、
行ってきます!
行ってきます!
こうして、ありき太郎は 鬼退治の旅へ出掛けました。
ありき太郎が歩いていると、 一匹の犬が近づいてきて ありき太郎に話し掛けます。
犬
ありき太郎さん
ありき太郎さん
ありき太郎さん
犬
お腰につけた
そのドッグフード
そのドッグフード
犬
1つ私にくださいな
ありき太郎
これから向かう鬼退治に
お供するのであれば
あげましょう
お供するのであれば
あげましょう
犬
私のこの鋭いキバで
犬
鬼の眼球を
噛み潰してみせましょう
噛み潰してみせましょう
ありき太郎
いや、
グロいグロいグロい···
グロいグロいグロい···
犬が仲間になりました。
また少し歩いていると、 一匹の猿が近づいてきて ありき太郎に話し掛けます。
猿
ありき太郎さん
ありき太郎さん
ありき太郎さん
猿
お腰につけた
そのバナナ
そのバナナ
猿
1つ私にくださいな
ありき太郎
これから向かう鬼退治に
お供するのであれば
あげましょう
お供するのであれば
あげましょう
猿
私のこの鋭い爪で
猿
鬼の眼球を
切り刻んでみせましょう
切り刻んでみせましょう
ありき太郎
いや、
グロいグロいグロい···
グロいグロいグロい···
猿が仲間になりました。
また少し歩いていると、 一羽のキジが近づいてきて ありき太郎に話し掛けます。
キジ
ありき太郎さん
ありき太郎さん
ありき太郎さん
キジ
お腰につけたその
キジ
いかにも
鳥が好んで食べそうな
何か木の実的なやつ
鳥が好んで食べそうな
何か木の実的なやつ
キジ
1つ私にくださいな
ありき太郎
これから向かう鬼退治に
お供するのであれば
あげましょう
お供するのであれば
あげましょう
キジ
私のこの鋭いくちばしで
キジ
鬼の眼球を
突き刺してみせましょう
突き刺してみせましょう
ありき太郎
いや、
グロいグロいグロい···
グロいグロいグロい···
ありき太郎
何で全員
眼球を狙うんだよ
眼球を狙うんだよ
キジが仲間になりました。
ありき太郎
···さぁ
ありき太郎
この海を渡れば
鬼ヶ島···だが
鬼ヶ島···だが
ありき太郎
どうやって渡ろうか···
そこへ、 一羽の兎が近づいてきて ありき太郎に話し掛けます。
兎
ありき太郎さん
ありき太郎さん
ありき太郎さん
兎
良ければ私の木の舟を
お貸ししましょうか?
お貸ししましょうか?
ありき太郎
本当ですか!?
助かります!
助かります!
兎
いえいえ、その代わりに
お腰につけた···
お腰につけた···
ありき太郎
ごめんなさい、今は
何も持ってないんです
何も持ってないんです
兎
え?
ありき太郎
ですが、
この舟で鬼ヶ島へ行って
必ず鬼達を退治します!
この舟で鬼ヶ島へ行って
必ず鬼達を退治します!
兎
···············
兎
···いや
兎
ちょっと今日はこの後
舟を使う用事があるので
舟を使う用事があるので
ありき太郎
え?
ありき太郎
あ···そうなんですね
ありき太郎
じゃあ···
どうしようかな···
どうしようかな···
兎
舟が無いならば
作れば良いんですよ
作れば良いんですよ
ありき太郎
でも、そんなに木材
集まるかな···
集まるかな···
兎
木材が集まらないなら···
兎
泥で舟を作れば
良いんじゃないですか?
良いんじゃないですか?
ありき太郎
なるほど!!
ありき太郎は泥を集めて 舟を作りました。
ありき太郎
これで良し!
ありき太郎
目指すは、鬼ヶ島!
こうして、 舟に乗ったありき太郎は 鬼ヶ島へと出発しました。
ありき太郎の乗った泥舟は 沈んでしまいましたとさ。
あたらし あたらし