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ネイ
主人公
ネイ
僕らが海面から引き上げられることには、夕方になっていた。
ネイ
ネイ
身体を布に包みながら、 部屋の中で温まる。 隣のネイという青年は、 愚痴ばかり零している。
主人公
心の中で感じるこの違和感の正体は、一体何なのか。今の僕には、分からなかった。
フェレン
部屋に入ってきたのは、フェレンさんだった。両手に魚料理を抱えていた。
フェレン
ネイ
ネイ
僕らの素潜りは、遅刻の罰と食料調達も加味したものだった。 僕達は、何度かこの経験があるので もう分かっていた。 けれど、彼は毎度ご丁寧に リアクションをとる。
主人公
僕は、そう言って笑った。
ネイ
横から鋭く制した声に、僕はハッとした。 それは、掟を破ってしまった時の、 血の気がひく感じと似ていた。
ネイ
笑って誤魔化すような 青年の異質な笑い声が響く。
主人公
主人公
そんな疑問の中、 フェレンさんは黙って、 僕を見つめていた。
僕も、その場は笑って 誤魔化すことにした。
主人公
冷静な自分が、答えを探すように煽り立てるが、僕はこの違和感を深海へ帰した。 食後、夜の任務を背負い、フェレンさんは部屋を出ていった。
主人公
ネイ
残されたネイと僕は、なぜか沈黙のまま時間を埋めるしか無かった。 そもそも、朝の騒ぎなんて何一つ起こらなかったような静けさだ。
ネイ
いつの間にか彼は、横になっていた。 夜風が窓から流れてくる。
「ネクト」と呼んだ自分の記憶を さらっていくような風だった。 初めから何も無かったかのように、 優しく。
主人公
僕が彼の背に、 語りかけることはなかった。