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奇病棟

奇病棟

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5

無血病

♥

463

2022年09月13日

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attention この物語はフィクションです 白黒

っはぁっ、はぁっ、

少年は走る

はぁ、ッ

何かを探して

っくそが、ッ

どこ行ったんや、!!

悠佑!

少年はただ走る

みんな、ッ

みんな、"!

お前を待ってんぞ、?!

誰もいない部屋で

ただ声だけが響いた

「いたぞ!こっちだ!」

、!!

後ろから届くもう1人の声

仲間の声 なんかじゃない

取り抑えろ!!

こっちだ!

急げ!

(アイツらがもう来たって事は、)

ごめん、みんな

ただ走った

はぁっ、はぁ、

体が酷く熱い

体力の無い自分に怒りがわく

スウッ

悠佑"!!

ガタンッ__

、?!

微かな音も見逃す事は 出来なかった

、っ、?!

悠くん、!

やっと、やっと見つけた

カプセル内の専用液体の中で

彼は静かに息を吸う

静かに目を瞑っていて あの綺麗な黄色は見えなかった

出てこいよ
みんな待っとるから、!

カプセルに手を添えると

そっと目を開く

悠、くん、?

目に色は無かった

血が通っていないかのように 白い肌は

薄気味悪い。

なんで来たん

こもった声 淡々と告げられる

なんでって、

助けに来たに、決まってるやん、?

帰れ、

俺は

ここ以外で
生きてられん

は、

あまりに面白くない冗談で

顔には引きつった笑が零れた

あー、

病気なんだわ

カプセルに触れている手

カプセル越しに彼が手を合わす

無血病って
言うんやって。

俺には今
血液が流れてない

1滴たりとも。

な、に、言って、

やから
心臓だって動いてない

体に残る傷も
治らん

惜しみなく話す彼が 理解出来ない

まてまて、

そんなん、信じるわけ
ないやろ、?

声は裏返ったり震えたり 散々だ

それでも

君に届くまで

はよ出てこいよ、

みんな、みんな待ってんで、?

それでも彼は無表情のまま

傷ついたら
菌が繁殖して死ぬ

傷つかんでも
俺はいずれ

数日で死ぬ

は、?

カプセルの中で ゆらりと動く

そっと髪をかきあげると

抉られた痛々しい箇所が あらわになった

なんや、これ、

血は出てへんから
怖ないやろ

事故ってん。
昔な。

骨も折れたけどなんかそっちは治ったわー なんてヘラヘラ笑う

こんな状態で

このカプセル外へ出れば 死ぬんだと、彼は言った

そんなもの

そんなこと

ありえない話だ

彼が一体何をしたって言うんだ

傷がつくなら いずれは治るものでは無いのか

血がないなら出血死なんかない なら出たって死なない

あぁ、そうか

上手く

コントロールされているんだ

なら僕が

助けださないと

どうせ、

アイツらもおるんやろ

俺おらんかったって
さっさと帰れ

そんな、

なぁ、初兎

俺は元々この世界におらんかった

いいな?

忘れろ
で、さっさと逃げろ

はよしんと研究者の
奴らに気付かれ_

彼の声が遠く聞こえる

なんだ?

忘れろ?

っざけんな、

っ、?

ふざっけんなっ!!!

勢い余って カプセルをぶっ叩く

ガラスで出来たカプセルに

パキッ___

ヒビが入った

しょ_

お前がどれだけ俺らに必要とされてんのか分かってないんか?!

悠くんの事を信用して色んな事話して、っ!

んで、悠くんも俺に色々話してくれたって、信用してくれたって思っとったんは俺だけだったんか?!

渾身の力を拳に込めた

ふざけんのも大概にしろッ!!!

パリンッ

拳から派手に血が出る

そのまま悠佑を引っ張った

っ、?!

忘れねえ!!忘れてやらん!
絶対!絶対だ!!

血液流して体に掘ってやるよっ!!!

お前の、

悠佑の、ッ!

存在証明を

叫び過ぎて喉が痛い

彼の大きく開いた目に色は無い

ただ

光はあった

いむくん達はっ、他の4人はなぁっ、!

「よしっ、ここの角曲がれば_」

「ビーッ ビーッ ビーッ」

侵入者発見排除します

『いたぞ!こっちだ!!お前ら!』

「は、?」

《やばいよ、逃げなきゃ、!》

「っくそ、」

[こんな所で足止め  食らってらんないよ、!]

「っ、」

「初兎!!」

「へ、?」

「あにきの事、お前に  任した、!!」

《いふくん、?!》

【なんで、1人じゃ_】

「るせぇ!  コイツなら大丈夫や!」

「ここは俺らが食い止める、  やからはよ、」

「っそんな、」

「初兎」

「走れ!」

「っ、!」ダッ

「…」

「…絶対あにき  連れて帰ってこいよ」

「、!!!」

絶対に連れ帰るって
約束してん、!

だから、だからっ!!

ぜっったいに
お前を連れて帰る!!

引っ張った腕が微かに震えた

…なん、や、

涙は出るやん、

っ、ポロポロ

濡れた髪は 自分が知っている長さより長い

やっと、

やっと会えた、悠くん、っ

、ポロポロ

ほんまは、っ、
お前らとずっと居たいねん、っ

でも、

血もないし
怪我も治らんやつと
一緒に痛くないやろっ、!

馬鹿だなぁ、

なわけないやん、

傷が治らんのなら
俺らが傷つかんように
守るし

血が無いなら愛をあげる

同じ赤ならこっちの方が
ええやろ!

っ、

くシャリと歪んだ顔

まだ止まらない涙は そっと地面を湿らせる

ぎゅっ

帰ろう。
みんな待ってるよ。

っ、!

あぁ、

もちろん、!

扉から覗いた 4色は気にせず

ぎゅっと君を抱きしめた。

この作品はいかがでしたか?

463

コメント

5

ユーザー

同じ赤ならこっちの方がええやろって表現大好き泣いた 青くんが白くんに任せるのいいね…好き

ユーザー

寝る前に読んじゃった、、 めっちゃいい話やん、、 え、泣くわ() やっぱりすごいなぁ!

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