attention この物語はフィクションです 白黒
白
少年は走る
白
何かを探して
白
白
悠佑!
少年はただ走る
白
白
白
誰もいない部屋で
ただ声だけが響いた
「いたぞ!こっちだ!」
白
後ろから届くもう1人の声
仲間の声 なんかじゃない
白
白
ごめん、みんな
ただ走った
白
体が酷く熱い
体力の無い自分に怒りがわく
白
白
ガタンッ__
白
微かな音も見逃す事は 出来なかった
白
白
白
カプセル内の専用液体の中で
彼は静かに息を吸う
静かに目を瞑っていて あの綺麗な黄色は見えなかった
白
みんな待っとるから、!
カプセルに手を添えると
そっと目を開く
白
白
黒
目に色は無かった
血が通っていないかのように 白い肌は
薄気味悪い。
黒
こもった声 淡々と告げられる
白
白
黒
黒
黒
黒
生きてられん
白
白
あまりに面白くない冗談で
顔には引きつった笑が零れた
黒
黒
黒
カプセルに触れている手
カプセル越しに彼が手を合わす
黒
言うんやって。
黒
血液が流れてない
黒
白
黒
心臓だって動いてない
黒
治らん
惜しみなく話す彼が 理解出来ない
白
白
ないやろ、?
声は裏返ったり震えたり 散々だ
それでも
君に届くまで
白
白
それでも彼は無表情のまま
黒
菌が繁殖して死ぬ
黒
俺はいずれ
黒
白
カプセルの中で ゆらりと動く
そっと髪をかきあげると
抉られた痛々しい箇所が あらわになった
白
黒
怖ないやろ
黒
昔な。
骨も折れたけどなんかそっちは治ったわー なんてヘラヘラ笑う
こんな状態で
このカプセル外へ出れば 死ぬんだと、彼は言った
そんなもの
そんなこと
ありえない話だ
彼が一体何をしたって言うんだ
傷がつくなら いずれは治るものでは無いのか
血がないなら出血死なんかない なら出たって死なない
あぁ、そうか
上手く
コントロールされているんだ
なら僕が
助けださないと
黒
黒
黒
さっさと帰れ
白
黒
黒
黒
黒
で、さっさと逃げろ
黒
奴らに気付かれ_
彼の声が遠く聞こえる
なんだ?
忘れろ?
白
黒
白
勢い余って カプセルをぶっ叩く
ガラスで出来たカプセルに
パキッ___
ヒビが入った
黒
白
白
白
渾身の力を拳に込めた
白
パリンッ
拳から派手に血が出る
そのまま悠佑を引っ張った
黒
白
絶対!絶対だ!!
白
白
白
存在証明を
叫び過ぎて喉が痛い
彼の大きく開いた目に色は無い
ただ
光はあった
黒
白
「よしっ、ここの角曲がれば_」
「ビーッ ビーッ ビーッ」
侵入者発見排除します
『いたぞ!こっちだ!!お前ら!』
「は、?」
《やばいよ、逃げなきゃ、!》
「っくそ、」
[こんな所で足止め 食らってらんないよ、!]
「っ、」
「初兎!!」
「へ、?」
「あにきの事、お前に 任した、!!」
《いふくん、?!》
【なんで、1人じゃ_】
「るせぇ! コイツなら大丈夫や!」
「ここは俺らが食い止める、 やからはよ、」
「っそんな、」
「初兎」
「走れ!」
「っ、!」ダッ
「…」
「…絶対あにき 連れて帰ってこいよ」
「、!!!」
白
約束してん、!
白
白
お前を連れて帰る!!
引っ張った腕が微かに震えた
白
白
黒
濡れた髪は 自分が知っている長さより長い
白
白
黒
黒
お前らとずっと居たいねん、っ
黒
黒
怪我も治らんやつと
一緒に痛くないやろっ、!
馬鹿だなぁ、
白
白
俺らが傷つかんように
守るし
白
白
ええやろ!
黒
くシャリと歪んだ顔
まだ止まらない涙は そっと地面を湿らせる
ぎゅっ
白
みんな待ってるよ。
黒
黒
黒
扉から覗いた 4色は気にせず
ぎゅっと君を抱きしめた。