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フィンは、自分の体が 「まだ見えるかどうか」で朝を判断する。
目を覚まして、まず天井を見る。 次に、自分の手を目の前にかざす。
フィン
指の向こうが、 ほんの少しだけぼやけているけれど、 完全に透けてはいない。 それだけで、胸の奥が少し軽くなる。
ヴァイオ
静かな声。 ヴァイオだ。もう起きていて、相変わらず落ち着いた目をしている。
フィン
ヴァイオ
フィン
ヴァイオ
二人で小さく笑う。 ルベラはまだ眠っている。 寝顔は穏やかで、呼吸も安定している。
フィン
フィンは、誰かが安心して眠っているのを見るのが好きだ。
それが自分のせいだとしたら、なおさら。 朝の準備をしていると、鏡に映る自分が、少しだけ薄い。
フィン
気づいた瞬間、心臓がきゅっとなる。 でも、深呼吸。
フィン
ルベラが起きてきて、 少しぼんやりした顔で言う。
ルベラ
ヴァイオ
ルベラ
ヴァイオが自然に額を確認して、頷く。 フィンはそれを見て、安心する。
こういう何気ないやりとりが、 ちゃんと“日常”であることが、うれしい。
朝食のあと、フィンは窓際に座る。 光が当たると、 体は少し透けるけれど、気にしない。
ルベラ
ルベラが呼ぶ
フィン
ルベラ
少しだけ、震えた声。 フィンは笑って、手を振る。
フィン
その一言で、ルベラの体温が落ち着くのが分かる。 フィンは、自分が“効いている” ことを知っている。
昼間は別行動。 一人になる時間は、正直、少し怖い。
誰も見ていなかったら、 誰も呼んでくれなかったら、 自分は、この世界にちゃんと 残っていられるんだろうか。
そんな考えが浮かぶたび、 フィンは、 ポケットの中の小さな紙を触る。
――ルベラがくれた 「ありがとう」のメモ。 文字は少し歪んでいるけど、温かい。
フィン
放課後、部屋に戻ると、 二人の気配があるだけで、心が落ち着く。
ルベラ
ヴァイオ
ヴァイオとルベラが同時に言う。
フィン
その言葉を言える場所があることが、 フィンには何より大事だった。
三人でのんびり過ごす時間。 特別なことはしない。
ヴァイオは本を読み、 ルベラは床に座って、何か考えている。 フィンは、二人を眺めている。
フィン
不安がよぎる。 そのせいか、腕が少し透ける。
ヴァイオ
すぐに、ヴァイオが気づく。
フィン
ヴァイオ
ルベラが、そっと言う
ルベラ
フィンは、はっとする
フィン
二人が“見てくれている”限り、 フィンは、ここにいられる。
夜。 電気を消した部屋で、 フィンは布団に入る。 今日は、消えずにいられた。
フィン
小さく声を出す
ルベラ
ヴァイオ
フィン
胸が、きゅっとなる。
フィン
少しの沈黙
ヴァイオ
ヴァイオの声は、迷いがない
ルベラ
ルベラの声は、少し震えているけど、 真っ直ぐだ。
フィンは、安心して目を閉じる。
消えていく運命でも、 忘れられなければ、 それは“いなかった”ことにはならない。
今日も、ちゃんと笑った。 ちゃんと話した。 ちゃんと、ここにいた。 それでいい。
ほのぼのと、静かに、 フィンの日常は、今日も続いていく。
作者
作者
作者