一覧ページ

僕と私と君とあなた。

第5話 - 僕と私と君とあなた。⑤

2019年07月17日

#ミステリー

#嘘

#恋愛

#秘密

#青春

iamS

実は里穂と光は幼馴染だったということを、高校の掲示板で光が暴露する。

里穂の悪口が書かれていたことで、里穂を守る為に光が取った行動だった。

・・・

ー・・翌日

福島光

里穂〜。準備出来たかー？

牧瀬里穂

あ、もうそんな時間か！！
今出るねっ！！

ガチャッ

福島光

おはよ！
今日はストレートなのな、髪

牧瀬里穂

おはよっ！
梅雨だからね、湿気すごいし(;_;)
…ストレート、やだ？

福島光

んーん、かわい！

牧瀬里穂

…えへへ、ありがと♪

福島光

…里穂、学校着くまで、ちょっとだけ真面目な話し、いーい？

牧瀬里穂

うん、もちろん！

・・・

福島光

あの、さ、里穂はうちの高校の掲示板あるの知ってる…よな？

牧瀬里穂

…うん。
光ちゃんが言おうとしてること、わかってるよ…。昨日の夜のカキコミのこと、でしょ？

福島光

…やっぱもう見てたか！
わりー、幼馴染だったことバラしちまったし、その、…キスしてるとこも、俺のせいで…。

福島光

…ごめん。

福島光

…あ、でも、付き合ってねーってはっきり言ってやったから…

牧瀬里穂

ううん、嬉しかったよ。

福島光

…え？

牧瀬里穂

光ちゃんが、私のこと守ろうとしてくれてるの、すぐわかったし、

牧瀬里穂

やっぱり光ちゃんは、私のヒーローだなって、泣けちゃったよっ！

福島光

う、うるせーな！

福島光

里穂が、悲しまないでいてくれるなら、俺はそれで充分だから…。

牧瀬里穂

光ちゃん…。

福島光

いつでも俺がついてる。

福島光

俺は何があっても里穂の味方だからな。

牧瀬里穂

…有難う。

牧瀬里穂

(光ちゃんの人生なのに…私のせいでたくさん邪魔して困らせてるよね…。本当に…ごめんね…。)

福島光

…勘違いすんなよ？

牧瀬里穂

え？

福島光

俺が里穂のこと好きで、勝手にやりたくてやってるだけ。

福島光

自分がやりたいからやってんだから、別に里穂のためとか、そんなんじゃねーから。

福島光

俺は俺の為に行動してるだけだかんな？

牧瀬里穂

…光ちゃんには何でもお見通しかぁ。

福島光

…アホ。

・・・

滝沢悠人

おはよ〜お2人さ〜ん♪

福島光

…はよ。

牧瀬里穂

おはよ〜♪

如月優花

優花もいるのだー！
おはよ、里穂ちん♡と、男子2人！

如月優花

優花は今非常に怒っているのだ。
里穂ちんに文句がある奴は、まず優花に言ってこいってね。

牧瀬里穂

ありがと、優花ちゃん…。

そう話しながら、里穂と優花は光達の前を歩いて行く。

滝沢悠人

…大丈夫か？光？

福島光

俺？俺は全然何も…

滝沢悠人

もちろん、僕は里穂ちゃんのことも心配してるよ？

滝沢悠人

…でも里穂ちゃんには、光がついてるでしょ？

滝沢悠人

…じゃあ光には？

福島光

…え？

滝沢悠人

里穂ちゃんへの気持ちも、もどかしい気持ちも、色々あるんでしょ？

滝沢悠人

光には、僕がいるんだから。
いつでも頼ってきなよ。

滝沢悠人

光のことなら何でも受け止めるから。

滝沢悠人

…ね？♪

福島光

…お、おう。

いつになく真剣な悠人の表情や口調に、光の顔は気付けば真っ赤だった。

滝沢悠人

ほーら、2人に置いてかれるよ〜♪

福島光

(やべ、こんなこと言われたの初めてで照れてる、よな。)

福島光

(下向いてたから、気づかれてなきゃいーけど…。)

・・・

女子生徒A

…あっ。光くんだ…！

女子生徒B

…昨日の掲示板見た？

女子生徒A

見た見た！光くんの発言がかっこよすぎて、ますます好きになっちゃった…♡

女子生徒B

だよね！w
…でも、付き合ってません宣言した訳だし、うちらもアピっちゃって良いって事だよね…？

女子達の目が昨日までとは違う輝きを見せている。

里穂という絶対的な存在が、幼馴染の腐れ縁で、彼女ではなかったという確信が持てたわけだから、当然と言えば当然だ。

女子生徒A

光くーん♡おはよ〜！

女子生徒B

牧瀬さんも、おはよ！
てか2人、幼馴染だったんでしょ？

女子生徒A

こんな美男美女の幼馴染いたら、地元じゃ有名だったんじゃない？

福島光

うるせーなー。

福島光

その高い声、なんとかなんねーの？

女子生徒A

もー！光くん冷たいー！！

女子生徒B

牧瀬さん、光くんて昔からこうなの〜？？

牧瀬里穂

えっ？えっと…

福島光

どっちでもいーだろ。

女子生徒B

うん♡どっちでもいーかも♡w

女子生徒A

でも、羨ましいよね〜！
光くんと幼馴染！

女子生徒B

でも私は腐れ縁の仲より、彼女に立候補したいでーす♡

福島光

俺、彼女作る気ねーし。

福島光

あ〜うるせーー。

福島光

里穂、俺教室行くな！
また昼飯んとき迎え行くから！

女子生徒A

えー！光くん教室まで一緒に行こーよ〜！！

女子生徒B

待ってー！！

福島光

悠人！早く行くぞ！

滝沢悠人

はいはい、王子〜♪

滝沢悠人

君たち、光はしつこい女の子嫌いだよ〜？

光と悠人を追いかけながら女子生徒達も行ってしまった。

如月優花

身の程をわきまえるべきだな。

如月優花

お前らなんて何人束ねたって里穂ちんの足元にも及ばないんだから。

牧瀬里穂

優花ちゃん…w
あの子達もあの子達なりに、一生懸命なんだよきっと…。

牧瀬里穂

(でも、腐れ縁か…。
光ちゃん…。誰にもとられたくないな…。)

牧瀬里穂

(いやいや、光ちゃんは物じゃないんだから！何言ってんの私！)

・・・

一ノ瀬美智香

光くん…。

1-B教室

男子生徒A

里穂ちゃん！おはよう！！

男子生徒B

牧瀬さん、おはよ！

男子生徒A

里穂ちゃんはやっぱり、福島とは付き合ってなかったんだね！！

男子生徒B

その、か、彼氏は、いないってこと…？

牧瀬里穂

お、おはよう！

牧瀬里穂

彼氏は…特に…。

男子生徒大勢

"おぉ〜！！！"

如月優花

わかったから、わかったから！

如月優花

里穂ちんを困らせるんじゃない！

先生

おーっし！みんな席着けよ〜！

一ノ瀬美智香

…。

一ノ瀬美智香

先生。体調が悪いので保健室に行っても良いですか？

先生

お、おう！大丈夫か？一ノ瀬？

一ノ瀬美智香

少し横になれば大丈夫だと思います。すみません。

ガタッ

ヒソヒソ…

女子生徒A

一ノ瀬、また？
昨日からどうした？w

女子生徒B

サボリ癖ついたんじゃね？w

女子生徒A

成績まで落ちたら、あいつの取り柄なんもなくなるじゃんw

先生

はい、静かに！授業始めるぞ〜！

1-D教室前廊下

一ノ瀬美智香

光くん…。気付いて…。

タッタッタッタッ…

福島光

(…？一ノ瀬、さん？)

ガタッ

福島光

先生〜。腹痛いからちょっとトイレ！

福島光

やばかったらそのまま保健室行ってもいーすか？

先生

福島くん、また〜？

先生

サボりたいんじゃなければどうぞ。

福島光

んじゃ、行ってきまーす。

滝沢悠人

…。

ガラッ

・・・

福島光

(やっぱ一ノ瀬さんだな。)

福島光

(後追いかけるか…。)

保健室

ガラッ

一ノ瀬美智香

はぁ…。

福島光

ちょ、一ノ瀬さん！！

一ノ瀬美智香

え？！！
(光くん？！)

福島光

一ノ瀬さん見えたから、追いかけてきた。

一ノ瀬美智香

…。
(気付いてくれたんだ…。)

一ノ瀬美智香

昨日の、掲示板のことですよね？

福島光

…話が早くて助かるな。

一ノ瀬美智香

私は約束はやぶってません。

福島光

ああ。確かに。

福島光

幼馴染だったこと、一緒に引っ越してきたことは言わないでくれたな。

一ノ瀬美智香

…はい。

福島光

…なんでだ？

福島光

里穂に、何か恨みでもあんのか？

一ノ瀬美智香

…私は

一ノ瀬美智香

私は、何の努力もせずに、光く、福島くんの好意を受けてる、牧瀬さんが許せません…！

福島光

…。

一ノ瀬美智香

私は入学式の日からずっと…奇跡的に再会を果たしてからずっと…福島くんだけを見てきました。

一ノ瀬美智香

福島くんが、牧瀬さんに向ける大切そうに向ける眼差し…。

一ノ瀬美智香

何よりも大事に思ってるんだろうなって…。

一ノ瀬美智香

それなのに、彼女は福島くんの気持ちを踏みにじってる。

一ノ瀬美智香

自分は可愛いから、誰からも好意を寄せられるのは当たり前で、

一ノ瀬美智香

福島くんからの好意を欲しがってる子はたくさんいるのにっ、

一ノ瀬美智香

牧瀬さんは、福島くんのことも、周りの女子のことも、見下してるんです…！

福島光

…。

一ノ瀬美智香

私だって…私だって、こんなに、誰よりも福島くんのこと、思ってるのに…！

一ノ瀬美智香

お前なんか相手にされる訳ねーよって顔して、福島くんとはそんなんじゃないよって、馬鹿にされた気がして…

一ノ瀬美智香

悔しかったんです…。

一ノ瀬美智香

私がブスだから…底辺の人間だから…。

福島光

…自分のこと、そんな風に言うなよ。

一ノ瀬美智香

福島くんにも、わかりません！！

一ノ瀬美智香

誰からも必要とされてない、存在価値のない人間の気持ちなんて、

一ノ瀬美智香

牧瀬さんや福島くんのような恵まれた人達にはわかんないんです…！
ぐすっ…

福島光

(こいつ…。昔の里穂みたいだな…。)

美智香は産まれた時から父親しかおらず、幼い頃から虐待を受けて来た。今は父親は亡くなり、一人で暮らしているが、小学生の頃からいじめにも遭ってきた、孤独な過去を持つ。

里穂と決定的に違ったのは、光のような存在が、美智香にはいなかったことだ。

福島光

一ノ瀬…って呼ぶな？

福島光

一ノ瀬は、里穂のことかいかぶりすぎだよw

一ノ瀬美智香

…え？

福島光

確かに、俺は恵まれた環境に産まれてきたのかもしんねーなー。

福島光

あったかい家庭で育って

福島光

友達にも恵まれて

福島光

里穂にも出会えた。

一ノ瀬美智香

…ぐすっ

福島光

でもな？里穂はちげーんだよ。

福島光

あいつは決して恵まれた環境なんかで育っちゃいねーよ…。

福島光

俺の口から話すようなことじゃねーんだけどな、

福島光

一ノ瀬だったら、話しても良いんじゃねーかって思うんだよ。

福島光

あいつ、中学生までいじめられっ子だったんだぞ？w

一ノ瀬美智香

…え？

福島光

家庭環境も複雑でよー。

福島光

里穂は、ずっと自分に自信がなかったんだよ。

一ノ瀬美智香

…嘘だ、あの顔に産まれて贅沢すぎます！

福島光

本当だよ。

福島光

誰からも必要とされてない、私なんていらない子なんだ！って…昔のあいつもよく言ってたよ。

福島光

でも、里穂はそんな自分を変えたくて、地元を出て来たんだよ。

一ノ瀬美智香

…。

福島光

したことのなかった化粧とか、

福島光

髪の毛だとか、美容のこと、とにかく勉強しまくってさ、

福島光

キラキラした、みんなから憧れられるような女の子になる！って言って

福島光

めちゃめちゃ努力して来たんだよ。

一ノ瀬美智香

…。

福島光

その結果が、今のあいつだよ。

福島光

絶対見返してやるんだって。

福島光

たぶん、里穂自身が変わってなかったら、今みたいな生活は手にしてなかったと思うぞ？

一ノ瀬美智香

…全然、そんな風には、見えなかった…です。

福島光

ははっ、まぁそうだよな！

福島光

あいつは、本当に努力したんだよ。

福島光

それでもあいつ、今でも人見知りの上がり症だし、大勢の人から話しかけられんの苦手でさ！w

福島光

よくどもってるよw

一ノ瀬美智香

…よく、見てるんですね。

福島光

…ああ。俺は絶対に里穂の傍にいてやるって誓ったからな。

一ノ瀬美智香

羨ましい…です。

一ノ瀬美智香

私にも、そんなこと言ってくれる人がいたら、何か違ってたのかな…。

福島光

一ノ瀬さ！お前元の顔悪くねーんだからさ！

光が美智香の顔にかかった髪をかきわける。

一ノ瀬美智香

…なっ！！！

福島光

お前も、頑張ってみたら？

福島光

その、美容…とか？俺はよくわかんねーけど。

福島光

絶対可愛くなると思うぞー？

一ノ瀬美智香

なっなっなっ…！

福島光

ははっ！w
あとその敬語？もやめろよ！

一ノ瀬美智香

は、はい…。
あ、う、うん…。

福島光

里穂とお前、似てるから…

福島光

お前次第で、絶対仲良くなれると思うぞ？

一ノ瀬美智香

…。

一ノ瀬美智香

あ、あのっ…！

福島光

ん？

一ノ瀬美智香

まだ、福島くんのこと諦めた訳じゃ、ないけどっ、そのっ…

一ノ瀬美智香

福島くんが引っ越して来た日、あの日私に向けてくれた笑顔と有難うって言葉…

一ノ瀬美智香

私、どれだけあの日の福島くんに救われたか…。

一ノ瀬美智香

だから、あの…本当に有難う…！

福島光

…おう！

光の笑顔が美智香に向けられる。

思わず美智香も笑顔になる。

福島光

おっ！！

福島光

ほら！お前やっぱ笑った方が良いよ！かわいーぞ？

一ノ瀬美智香

なっなっ…！！
や、やめてっ！！！

福島光

はははっw

気付けば1限目は終わっていて、休み時間になっていた。

保健室前廊下

牧瀬里穂

……！

牧瀬里穂

(光ちゃんが、私じゃない女の子と楽しそうに笑ってる…。)

牧瀬里穂

(…あれ、一ノ瀬…さん？)

ガタッ

福島光

…ん？

福島光

誰かいんのかー？

ガラッ

福島光

おー？！なんだ里穂ー！！

牧瀬里穂

ご、ごめん、悠人くんに、光ちゃん保健室だって聞いて…

福島光

そか！会いたかったぞ〜！w

牧瀬里穂

あ、あの…、一ノ瀬さん、体調は大丈夫…？

一ノ瀬美智香

…だ、大丈夫。
あ、ありがとう。

福島光

なぁ、里穂！
こいつにさ、色々化粧とか美容のこと教えてやってくれよ！

福島光

一ノ瀬も変わりたいんだってよ？

一ノ瀬美智香

…！！！！

牧瀬里穂

わ、私で良ければ…お、教えてあげれるようなこと、少ないけど…。

一ノ瀬美智香

あ、有難う。

一ノ瀬美智香

あ、あの…。私はそろそろ、教室に戻らせてもらい…戻る、ね！

福島光

おう！またな！w

ガラッ

タッタッタッタッ…

牧瀬里穂

…。

牧瀬里穂

珍しい、ね。
光ちゃんが、他の女の子と楽しそうに話してたのなんて…。

福島光

んー、まぁ色々あってな！

福島光

あいつ、昔の里穂に似てんだよ。

牧瀬里穂

…え？

福島光

誰にも必要とされてないーって！
だからかな？なんかほっとけなかったっつうか…。

牧瀬里穂

…やだ。

福島光

え？

牧瀬里穂

光ちゃんは、私だけ見ててくれなきゃ、嫌だよ…。

福島光

どしたー？w
ヤキモチか？w

牧瀬里穂

…ごめん！！！何でもない！

牧瀬里穂

一ノ瀬さん、私も何か協力してあげれるように頑張ってみるね！！

牧瀬里穂

(何言ってんだろ、私。)

牧瀬里穂

(私は光ちゃんとどうこうなる資格なんて、ないんだから！！)

牧瀬里穂

教室っ！戻ろ！！
もう光ちゃんも大丈夫でしょ？！

福島光

おー。戻るか！

福島光

(やべー。里穂…。…そろそろ決心つけなきゃか。)

僕と私と君とあなた。

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

iamS

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

僕と私と君とあなた。

第5話 - 僕と私と君とあなた。⑤

作者の他の作品すべて見る

#ミステリーの新着小説
一覧

関連するタグ

僕と私と君とあなた。

第5話 - 僕と私と君とあなた。⑤

作者の他の作品すべて見る

#ミステリーの新着小説一覧

関連するタグ

#ミステリーの新着小説
一覧