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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

💗

っ…ま……、ろ…

💗

ご、…めん…

まろも道連れに倒れてしまったのか

そう思うと心臓が握り潰れるような感覚になる

だんだん頭も痛くなってきた 目が朦朧とする

このまま倒れてしまったらどれだけ楽だろうか

このまま倒れてしまいたい この結果を水に流してしまいたい

やっぱり体育祭なんて嫌いだ

こんなことになるんだったら最初からやらなければ良か…

💙

ないこ

💗

っ……ごめ…

💙

ないこ。立て

💗

っ…!

少し強い口調だけどどこか優しさも感じるまろの声 俺はその声に合わせて立ち上がった

💙

ないこ、まだ終わっいないで

💙

俺らがゴールするまで、終わらないんだよ

💗

っ、…うん

💙

……俺らならいける。絶対に

💗

ぜっ……たいに……

💙

……ないこ、行けるか?

💗

…うんっ…

まろのその合図で俺は足を踏み出した

結果としては2位だった

1位は流石に抜かすことができずにその直前で終わった

💗

…………

最下位を免れた喜びよりも俺のせいで 1位が取れなかったこの罪悪感のほうが重たく感じる

これまでダメダメな俺にずっと付き添ってくれたまろへの罪悪感とみんなに期待させてしまった羞恥心で押しつぶされそうだ

きっと、このペアが俺じゃなかったなら

まろがもし、もっと運動ができる人…もしアニキとペアを組んでいたとしたら こんなくだらない失敗なんてしなかったのかな

💙

………ないこ

💗

ごめん……ごめん…っ

💙

ないこ…俺の話、聞いてや

💗

…っ

しゃがみ込んだ俺の目線合わせてくれたかのようにまろもしゃがみ込む

💙

ないこ、よく頑張ったな

💙

俺はそんなないこのせいだとか思ってないで。

💙

むしろないこのおかげでここまでこれた気がする。ありがとな

そう言い、まろの手が俺の頭の上に来た

優しい手付きで撫でてくれるまろ それが信じられないほど心が落ち着いていった

💙

あれ…

競技が終わってからないこが見当たらなくなった 競技が終わって自席に着くタイミングで見失ってしまったようだ

……、この言い方だと俺がストーカーしてるみたいじゃね?

まぁ…そんなことはどうだって良い

💙

ないこ…終わってから変やったもんなぁ…

🤍

なにがー?

💙

うわぁ!?びっくりした……

後ろからヒョコッと出てきたのは初兎だった

🤍

ないちゃんがなんかあったん?

俺の独り言までもしっかりと聴かれていた 独り言を聴かれるってこんなに恥ずかしいものだったのか

💙

あー…まぁ…そんな感じかな…

💙

てかお前、いつからタメ口になったん?

🤍

んー?別に同い年やからええかなって

🤍

しかも今回僕ら仲間やん?

💙

………、

なんだコイツ…距離の詰め方が異常だ……

💙

別にタメ口は良いんやけど…

🤍

よっしゃ!じゃあこれからタメでいくなー?

俺、結構前のないこと昼食べようとしたら邪魔してきたの… 許してへんからな?

そんなことを考えても口には出さない

💙

あ、そうや。お前に聞きたいことがある

🤍

お前じゃなくて初兎な?

💙

ないこがどこにいるか知らんか?

🤍

フル無視かいw

🤍

ないちゃん?まだ見てへんなぁ…
トイレにでも行ってんとちゃう?

💙

まだ…帰ってきてない…?

🤍

ん?どうした?

💙

っあ、…ごめ、ありがとう初兎

🤍

いーえ!よぉわからんけど頑張ってー

後ろから初兎の声が聴こえる 視界の端には大きく手を降る初兎が見えた

💗

あーあ…逃げて来ちゃった…

誰もいない校舎裏 壁にもたれかかりながらため息をつく

💗

っ……

時々涙が出てきそうになったときは

キュ……

蛇口を捻り冷水を出す

手に水を溜め顔にかける 水の冷たさで涙を引っ込める

その、繰り返し

キュ…キュ………

蛇口の金属が擦れる無機質な音

それすらも敏感に感じるようなった

💗

俺…馬鹿だなぁ…w

体育祭ごときでこんな感情に振り回されるなんて

こんなダサい感情を持つダサい俺が 自分でも恥ずかしく感じてくる

💗

っ……くそっ…

手元にあった空のペットボトルを地面に強く投げつける

空気の入ったペットボトルはガコンと 音はしたものの凹むことはなくただそこに転がっていた

ムシャクシャして乱暴に頭を掻く

コロコロと俺の方に転がってくるペットボトル それが俺のつま先に付いたころに

誰かがこっちに来ているのに気づいた

💗

やば…

急いで溢れそうになった涙を拭い奥の方へ進んでいった

💗

こんなことしてまで…俺、ダサ…

背中の方から小さく足音が聴こえる それもだんだんと大きくなっていった

なにかが迫ってくると思っていたら突然足音がなくなった 安堵でため息を溢す

💙

………ないこ

💗

っ……

聴き慣れた低い声。それに混ざる優しさ その声はまろの声だった

💙

ないこ、抱え込みすぎやで

💗

っ……

💙

………出て来てくれへん…?

そう言われ渋々まろの方に向かった

💗

ごめんまろ。迷惑かけたよね。

💗

俺、もう自席戻るからさ。まろも早く戻りなよ

顔を伏せまろの顔なんて見ることもせず1人で喋り続ける

💙

……よく…頑張ったな

💗

へ……

気づけばまろが俺を抱きしめていた

なぜかすごく落ち着く。さっき、頭を撫でられたときのように

💙

ないこは考えすぎなんよ。
俺も、誰もないこのせいで、なんて1ミリも思ってへんで

💗

………

💙

ないこがどれだけ頑張って、どれだけ悔しいか。
俺は一番わかってる。

💙

だって、今まで必死になって2人で練習してきたもんな

💙

こんなの悔しくない訳がない。

💙

それに、俺はないこが悔しいって思ってくれて嬉しいかな

💗

……………うん

💙

………泣いてええよ。ここは俺とないこの2人しかいない

💗

……っ…

そんな暖かい言葉を受け、涙腺が緩んでしまった

正直言ってまろにこんな姿見せたくないが 意図的に涙を止めることなんてできない 抵抗することもなくボロボロと涙が落ちていく

顔に押さえつけたまろの肩にだんだんと俺の涙が滲んでいった

その間にもまろはずっと頭を撫でて、抱きしめてくれていた

💗

まろ…ありがと…

💙

いーえ、俺に隠さず泣いてくれて、嬉しいよ

💗

………変な人

真っ赤にした目を細めて優しくクスクスと笑う彼

そんな姿をも愛おしく感じた

💗

ね、まろ、…もう少しここに居たいんだけどさ…

💙

……え…

💙

そ、それって……

そんな事言われたら期待しないわけがない だんだんと鼓動が高鳴っていった

💗

べ、別にそういう意味じゃないんだけど…!

💗

ただ…落ち着くまで…一緒に居たいなって…

急いで訂正するようなそんな姿も愛おしく感じる

💙

しょうがないなぁ〜!♡

嬉しさのあまりないこに抱きついた

💗

ちょ、うるさっ…!//

照れながらも離れようと必死になってる彼 そんな彼の姿が愛おしくて愛おしくてたまらなかった

💙

(………俺の気持ちには気づいてない…か。)

恋人でもなければ友達よりも上にいける気がしない

そんな行き場のない感情が俺の心をぐちゃぐちゃにしていく

掴めそうで掴めない彼の恋心 彼は、俺の想いにはいつになったら気づいてくれるのだろうか。

💙

ないこ、そろそろ俺行かなきゃいけないかも

💗

…、え…?

この2人だけの落ち着く空間が終わりに近づいていく そう考えると余計寂しく感じた

💙

俺、次のリレー出なきゃいけないからさ

💗

あ、そっか…そうだもんね。わかった。行こう

💙

…………ないこ

💗

…なに?

名前を呼ばれ振り向くと、 まろが自分のジャージを俺に差し出している

💗

…え?ジャージ?

💙

寂しいならこれ、着とって。
これなら俺がそばにいるみたいやろ?

💗

……は?///

寂しいって思ってたこと…バレてた…?

💙

ん、いらんの?

💗

…………も、貰っとく…

恐る恐る彼のジャージを手に取る

すると勢いよく前に引っ張られた

💗

うわっ、!?

💙

ん〜…!

頭の整理がついたときにはもう彼の腕の中だった

💗

…ちょ…、//なにすんの…//

💙

んーん?ぎゅってしたくて

そういうのは好きなやつとやりなよ…

そう思いながらも口には出さず、彼の気が済むまで大人しくしておいた

💙

…ないこが大人しいの、珍しいね?

💗

…だって今日はまろに助けてもらったし

💙

んふふwありがと。

💗

……じゃ、リレー頑張って

💙

ないこに言われたなら1位とんなきゃなw

🤍

ないちゃんおかえり〜!遅かったな?

💗

ごめんしょうちゃん〜!急に実行委員の仕事やらされて…

しょうちゃんには泣いてたこと…ダサいところを知られたくない だからとっさに思いついた嘘を伝える

🤍

そっか〜…それは大変やっなぁ〜…

💗

そうそう〜…大変だったんだよ〜…

🤍

てかないちゃん、ジャージ着たんやな?

💗

え、あ…うん!ちょっと肌寒くなってきちゃって…

🤍

そ、そか…w

🤍

(名前…隠れてへんでないちゃん…!)

💗

…ってもう競技始まってる!?

まろのことちゃんと応援するって決めたのに 初めから見れなかったのは少し悔しい

🤍

ないちゃん遅かったからもう始まったでw

💗

えぇ〜…そんなぁ、…

🤍

あれ、ないちゃんそんな楽しみにしてたっけ?

💗

え、?あ、…だ、だって…ほとけっち…出るじゃん…?

🤍

あぁ〜…そういうことな。
てっきりまろちゃんが出るからかと思った〜

💗

ん"ん"っ…!//

🤍

………え、マジ…?w

💎

いふくんっ…!!

💙

っおう…!!

💗

おぉ!!綺麗にいった!!

🤍

このまま勝てるんとちゃうか!?

まろにバトンが渡った途端歓声が大きくなった さすが人気者だなぁ…

途端に心の奥でなにかが突っかかる

💗

…………、

🤍

………

🤍

…なんでないちゃんがまろちゃんを応援したいかは知らんけど、

💗

…え、

🤍

ないちゃんは応援したいって思ったんやろ?
なら全力で応援せないかんやろ

💗

………、うん

しょうちゃんのおかげで心の奥で突っかかってた正体不明のなにかがなくなった気がする

勇気が出せない俺の背中を思いっきり押してくれたしょうちゃん 俺はそのおかげで自信がついた気がした

🤍

その意気や!

大きく息を吸う

口いっぱいに、肺いっぱいに空気を溜め込み 一気に吐き出す

💗

まろ!!!

💗

頑張れ!!絶対勝て!!!!

💙

ないこ…!りょーかいっ…!

俺の声が届いたのか、ペースを上げていくまろ

そしてそのままの勢いでまろはゴールテープを切った

🖤

はぁ〜〜!、終わったなぁ〜…

❤️

なんか、人生で最後って思うと…なんか沁み沁みしちゃうね

💎

てか最後のリレーのいふくん、
ないちゃんに応援されてからスピード上げたよねw

💗

……へ、?//

🤍

あ、wそれ思ったわw
あれは確信犯やでw

💙

うるっさいわ!!//

💎

あれっw否定しないんですか〜?w

💙

あぁー!黙れ黙れ!!

昼下がりの帰り道

体育祭の終わりという余韻を深く感じていた

❤️

てか…3年間ってあっという間だったよね…

🤍

せやなぁ…

❤️

入学したときは3年間って長いなって思ってたけど、
今思えば短かったなぁ…

💙

てかこの3年間すげぇ濃かった気ぃすんな

🤍

みんなでわちゃわちゃしとったもんな

💎

まだみんなと楽しいこといっぱいしたいね〜

🖤

あ、せや。今から俺ん家来おへん?

🖤

晩飯作ったるで

❤️

え、!ほんと!?
やった〜!!アニキのご飯食べに行く〜!

💙

まろもアニキのご飯好き〜!

🤍

悠くんが良いならそのままお泊り会もせえへん?

💎

良いねそれ!やろ!

🖤

家主俺なんやけど!w
まぁ、ええんやけどさ!w

❤️

ないくんは?

りうらに声をかけられハッと意識が戻ってきた

💗

…ん、!?え、お、…俺?

今年の体育祭はこんなに濃い一日になるとは思っても見なかった

まだ、この事実が夢のようだった

❤️

うん。ないくんはアニキの家でお泊り会する?

💗

えぇ〜!めっちゃいいじゃん!やりたい!!

🖤

よし!じゃあ各自荷物持って俺の家集合な!

そう言ってそれぞれがそれぞれの話をし始めた

💙

まろも早く準備しよ〜!

💗

あ、まろ

彼の名前を呼びながら服の裾を掴む

💙

…ん?

💗

ちょっと、待って欲しい。
俺、まろと二人きりで話したいな

💙

ん。ええで。行こうか

💙

アニキ〜!
俺らちょっと寄りたいとこ
あったから先言っとって〜!

🖤

ん!りょーかい!気ぃつけろよ!

そんなアニキの言葉を背中で受けまろと 一緒にみんなの行く方向とは別の道を進んでいった

彼が俺の手を握っているのは無意識の内なのだろうか

💙

ないこ、話ってなに?

💗

……俺から言うのもちょっとあれなんだけどさ…

💗

その…1位取れなかったらまろに犯されるって話…

💗

これ…どうなるの?

💙

…………………あー……

しんと大きく間が空いた 変なことは言ってないはずなのになぜか冷や汗がじわりと溢れてくる

💙

……今回は実力で負けたわけじゃないからなしでええよ

💗

……え、…

💙

事故で負けたのにそれで犯すのも
フェアじゃない気がしてな

あの…脳内真っピンクのまろからそんな発言が出てくるなんて 驚きを隠せない

💗

………でも…これは俺のミスなわけだし…

💙

ないこまだそんなふうに言ってたんか…?

💙

あれはないこのせいじゃない。
ただの事故や。事故

💗

…………じ、じゃあさ…

これを言えば後々後悔するかもしれない だけどこれを言わなきゃいけない気がする

この後の未来 なにが起こるかわからないなにかに賭けて俺は覚悟を決めた

💗

………俺とちゃんと付き合ったら…やってもいいよ。

💗

その…せ、性行…為…?//

💙

……え、な、…ないこ…?

💗

………

💗

…俺、覚悟決めたんだけど…

呆然とするまろ

💙

……ほんとにええんやな、?

💗

う、うん。俺が自分で決めたことだし

💙

………後悔すんなよ

💗

………わかってる

💙

………俺も本気で行くからな

💗

いいよ。覚悟はしてるし

💙

じゃあ、みんなのところに戻るか

💗

…うん。そうだね

無言の空間のまま俺らはみんなのいるところに戻っていった

これからまろがどんな行動を取ってくるのか 俺は緊張感と少しの恐怖心の中にちょっとした嬉しさもあった

絶対に振り向くまで追いかけ続けられる俺が命の危機を感じるため絶対に振り向きたくない話

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コメント

17

ユーザー

ほわっ、ほっ、え、いけめんっ!…え、かわよっ!もうつきあってんじゃんっ!?今回は白ちゃんが恋のキューピットしてくれて、なんか…よかった!!桃ちゃんももう自覚してんじゃないっ…!?

ユーザー

とても好きです。 熱が下がった気がするわほんとwwwww

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