運命【サダメ】の裏表

SPの身体がぐーーっと歪み、赤ちゃんの拳を中心に半円状に押し込む

それに気付いた触手が止めようと向かって来た

触手が容赦なく赤ちゃんの体をぶっ叩き、びちゃりと血が飛ぶ

気づけば二人は駆け出していた。触手が動き、二人をロックオンする

銀さんは後ろに駆け出す。その後を、案の定触手が追って来る

バナナより離れた所で、キキッ。 靴を鳴らし、腕と向き合う

ズドドド！！！

無数の棘が触手を突き刺し、動きを止める。だが次から次へとやって来るものだ

またまた、触手が銀さんの元に飛びかかってくる

どこからともなくハンマーが現れ、銀さんはそれを力強く掴む。そして…瞳が水色の光を放ち、突撃して行った

グシャッ……！！

何とも言えない気持ち悪い音に鳥肌が立つが、何とかこらえて触手を殴り続ける

ドゴオオン！！

そう呟くと目に止まらぬ早さで高く飛び上がった

触手もその後を追う。ニヤリと笑うと、ちょっと違う銃を構えた

出たのは弾では無く…電流。当たった刹那、敵の動きが止まった。 身体に電流が流れ、痺れていたのだ

その隙に、バナナは押し込み続けている赤ちゃんに向かって走った

返事は無い。 返事など無い。

フッ、と笑い、次は触手に向かってロケランを構えた

ドオオオオン！！！

その一発で目の前に何体もいた敵が消し飛んだ。そして、跳ね除けてそのまま突っ込む

息を切らせて走った、その先に見えたのは───

実際、赤ちゃんの体は大量に血が滲んで出血していて、バナナの言う通り、平気のへの字も無い

きっとSPの押し合いをしている時に、避けないで押し込み続けたのだろう。

耐え続けて何とかしたと思える傷だ。これでもかと、二人で拳を打ちつける

バナナが渋々手を離し、腕に立ち向かおうとした

もうすぐ行けるのに…何とも忌々しい敵だろうか。その時____

ガキン！！

銀さんの無敵のガードが味方の体を包む。その間、二人はSPを押し込んでいた

大きな力で。

ドオオオオ！！！！

その音が聞こえた時、吹っ飛ばされたとは思えない程、三人はやりきった顔をしていた

ツルン───と、コアが抜け、丸出しになったのだった

よ……

よっしゃぁぁぁ！！！

バシン！と両の拳を打ち付ける赤ちゃん。その目には紛れもなく「コア」が映っている

ﾆｮｷｯ

ドドドドド！！！

コアを先に出したのは、間違いだったかも知れない。

いや、こいつが強いだけかもしれない

コアがむき出しになり、そこからまた触手が飛び出し、赤ちゃんを吹き飛ばした

瞬きする間に、恐ろしい威力を持つ衝撃波も飛んでくる

会費が不可能な程広い範囲だった。三人とも、まともに喰らい赤い水を飛ばす

今は銀さんの「シルバーシールド」を出しているから問題ないが、シールドは時間が限られている

切れる前にと、必死で頭を働かせた。 考えた考えた考えた。

───すると

言い返せなかった。いや、言い返さなかった

何故かって？それは───

赤ちゃんが抗議するために口を開いたが、珍しく銀さんが強く言ったからだった

赤ちゃんが考える様に顔を下げた

先程は見慣れない銀さんの姿に戸惑っていた様な赤ちゃんだったが、二人の瞳がいつもと違うと分かったらしい

赤ちゃんも、慌てつつもしっかりと、首を縦にふった

その時。パリーンと、ついにシールドが四方に砕け散った

そのまま、勢いで彼らの足が加速した

タッ！

黄色の青年が、触手を突っ切って風のように走り出した

二人は彼を追わず、触手を睨んだ

ドドドド！！

触手を見事に突き刺すと、まるで流れのようにまとめて赤ちゃんが三枚おろしに仕上げた

銀さんは、何故かポツリと呟いていた。その言葉は、赤ちゃんの耳に届いていた

ドオン！！

危機一髪だった。赤ちゃんが気づいていなければ、今頃きっときつく〆られていただろう

二つの場所で、音が轟いた 言い表すなら……戦闘音。