忘愛症候群〈橙×紫〉　【完結】

ななもり。side

さとみくんによると、忘愛症候群というのは、

何かのきっかけにより、発症して 愛する人のことを忘れていき、 終いには拒絶反応がでるらしい。

拒絶反応ってのはさっきみたいなことだね。

しかも、この病の治療法はまだ見つかってないんだとか。

俺はそれだけ言って、病室をあとにした。

だけど、現実は厳しい。

家に帰ってすぐに、切ない思いは押し寄せてくる。

...........さとみくんに、なにがわかるんだよっ......

教えてくれたのに感謝もしないで。

あ、ヤバい、涙腺が........

我慢しようとしても、止まらない涙が、俺の頬を濡らしていく。

と、自分が持っている１つの紙袋に目がはいる。

こんなの、いつから持ってたっけ........

きっとジェルくんのだ

間違って持ってきちゃったんだ

そう思いながら、紙袋に入っているものを出してみる。

それは小さな箱

開くと、

中に入ってたのは、綺麗な指輪

そして、紙袋の中にもう１つ、

手紙のようなものがあった

～愛しのなーくんへ～

今日で付き合って半年やね！

半年って長かったなぁー

いざ、こういう記念日とかになってみると、

いろんな思い出が蘇るね

半年前、オレのところに来て、頑張って告白してくれたよね

あのとき、すごく嬉しかったよ

この他にも、いっぱい楽しいことがあったね

オレは今、とっても幸せです

きっと、なーくんがいなかったら、

この幸せはつかめなかったと思う

だからこれからも、オレのそばにいて

俺を幸せにしてください

大好きだよ、なーくん

ジェルより　　　　

ジェルくん.......今日のこと、覚えててくれたんだ.......

俺の顔は、もうこれ以上ないほど荒れていた。

愛の伝わる優しいメッセージ

こんなかたちで見つけるなんて.......

そうだよね、まさか事故に遭うなんて思ってなかったもんね。

さとみくん、治す方法はないって言ってたけど、

自然に思い出すってことはないのかな。

調べてみよっと。

～○oogle～

忘愛症候群　思い出す[検索]ﾎﾟﾁｯ

なんだ.............あるじゃん、治療法。

さとみくんの嘘つき。

簡単なことなのに、なんで教えてくれなかったんだろう。

俺は準備する。

え、何のって？

死ぬ準備だよ..........w

～○oogle～

[検索結果]

残された愛人が、

命を絶つこと。

ね？簡単でしょ？

死ねばいいだけだもん。

今のジェルくんは、俺を必要としてないんだし。

楽に死ねる方法ないかな。

飛び降りる？

刃物で刺す？

そうだ、あれにしよう。

俺は薬箱にてを伸ばす。

ジェルくんが、たまに眠れないって、 病院でもらってきた睡眠薬があるはずだ。

たしか睡眠薬って

多量に飲むと死んじゃうんだよね。

だからすぐ楽になれるんじゃないかな？

でも、今は死なない。

ちゃんとメンバーに別れを告げないとね。

少し作業してから眠りにつく。

メンバーには明日言いに行こう。