TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

私たちは町の守護者を自称するAI

『護法童子』と知り合った

護法は、自分が目を覚ましたのは、この街に異変があったからだと言った

けど、異変ってなんだろう?

美月

ねぇ、優花

優花

なに?

美月

私達でこの街の異変を探そうよ!

優花

え、え~!

優花

だって、護法さんの言う異変て、怪奇現象なんでしょ?

優花

嫌だよ~

美月

ぐちぐち言わない!

美月

この街を守るためなんだから!

優花

はぁ~、分かったよぉ

優花

手伝えばいいんでしょ

美月

その通り!

優花

美月は言いだしたら聞かないんだから……

そんな訳で、私たちは護法童子が言ったこの町の異変を探すことにした

まず私たちが向かったのは図書館だった

美月

調べものといえば、図書館!

美月

とりあえず、この街の歴史とかを調べてみようよ

優花

う~ん、それで今の街の異変が分かるとは思えないけどなぁ……

美月

グズグズ言わない!

私たちは受付の人に街の歴史について書かれた本がある場所を聞いた

けれど……

美月

む、むずかしい……

郷土史の本なんかは、小学生の私が読むには難し過ぎた……

優花はそれでも一生懸命読んでいたけど

私は早々にギブアップして、なんとなく図書館をプラプラしていた

すると……

女子高生A

最近、なんかへんな噂が多いわよね

女子高生B

そうそう

女子高生B

聞いた? なんか幽霊みたいなのが目撃されてるんだよね

女子高生A

あれってやっぱり幽霊なのかな? 悪霊とか?

美月

ユーレイ……?

美月

ね、お姉さんたち、ユーレイの話してた?

女子高生A

あら、かわいい。怖がらせちゃったかな

美月

ううん、へいき

美月

それより、ユーレイってなに?

女子高生A

小学校では噂になってない?

女子高生B

「すきまじいさん」の話……

美月

すきまじいさん?

ある女の子が、スマホを見ながら道を歩いていると……

ある女の子

…………

ある女の子

なんか 見られてる?

どこからか視線を感じて顔をあげたんだけど、周りには誰もいなかったの

ある女の子

気のせいかな?

まわりにあるのは自動販売機くらい

自動販売機の後には壁があって、とても人が間に入ることは出来ない

けど、どうも視線は自動販売機の方から感じる

ある女の子

おかしいな……

と思って、自販機に近づくと――

美月

近づくと……?

女子高生B

――自販機と自販機の間に、すきまがあったの

女子高生B

そこにはひとりの男の人が立っていて

女子高生B

その子をじっと見ていたんだって

美月

ひぇ

女子高生B

正確に言うと、そのすきまからはこっちを見ている目玉だけが見えたんだけど

女子高生B

なんとかくおじいさんだっていう気がしたそうよ

女子高生A

でもおかしいの

美月

おかしい?

女子高生A

どう考えても、自販機の後には壁があって

女子高生A

人がそこに立てる訳がないの

美月

えぇ……

女子高生B

その子は悲鳴を上げて逃げたんだって

美月

ね、ね、優花!

優花

ど、どうしたの?

美月

異変だよ、異変!

優花

異変?

美月

あのね、さっきあっち高校生のお姉さんたちに話を聞いたの

美月

そしたら――

図書館職員

図書館ではお静かに!

美月

は、はーい

優花

ごめんなさい!

美月

怒られちゃった……

優花

図書館から出て話そうよ

美月

――ってわけなの!

美月

これってこの街の異変じゃない?

優花

うーん、でもその話

優花

なんか聞いたことがあるような?

美月

えっ 有名な話だったんだ?

美月

私、全然知らなかったなぁ

優花

ああ、その、その話そのものを知っているっていうか

優花

なんか似たような話を聞いたことがあるような……

美月

ふーん?

美月

まあいいや、とりあえず護法に報告に行こう!

護法童子

それは、「すきま女」の変種ですね

美月

すきま女?

護法童子

江戸時代に、こんな話があります

護法童子

ある人物が、新居に引っ越した

護法童子

部屋の掃除をしていると、一ヶ所、どうにも閉まりにくい戸袋があった

美月

戸袋?

護法童子

戸袋というのは、扉を収納するスペースです

護法童子

ほら、電車でドアが開くとき、電車の中に扉が吸い込まれますよね

護法童子

あのすきまが戸袋です

美月

ああ、なるほど

護法童子

無理やり扉を開けると、そこから女が飛び出して襲いかかってきた

護法童子

どうにか女を押しのけると、その女は消えてしまった

美月

その女は戸袋に隠れていたってこと?

護法童子

そうなりますね

美月

怖っ!

優花

けど、そうなると……

優花

今回の話って、それを知ってた誰かの作り話ってことになるのかな?

護法童子

そうとは限りません

護法童子

例えば、虎を知らない人間が、初めて虎を見たら

護法童子

大きな猫のようなもの、と表現するのではないでしょうか

美月

そう かも?

護法童子

人間はよく知らないものと出会ったとき

護法童子

それを知っているもので理解しようとします

優花

つまり……

優花

今回のことも、有名な話と似ているからといって

優花

それだけでは嘘とは言えない、ってこと?

護法童子

そういうことですね

護法童子

自分が体験した不思議な出来事を既存の物語になぞらえて表現したか

護法童子

あるいは人々に伝わっていくうちに既存の物語に似た可能性もあります

美月

うーん、むずかしいことはわかんないけど

美月

とりあえず調査しようよ!

優花

美月ちゃんは、とりあえずそういうことがしたいだけなんじゃ……

美月

いいからやるよ!

優花

でも、どうやって?

美月

うーん、とりあえず、出来事は自動販売機の近くで起きているんだから

美月

片っぱしから自販機を調べる!

優花

街中の?

優花

無理だよぉ

優花

自販機ってたくさんあるんだよ?

美月

それは……気合で?

優花

えぇ……

護法童子

まあ 話の内容からある程度は絞り込めそうですね

護法童子

問題の自販機は

護法童子

まず屋外にあること

護法童子

それから後が壁であること

護法童子

さらに少なくとも二台は並んでいること

優花

それはそうだけど

優花

街中歩いて条件に合う自販機を探していたら……

護法童子

実際に歩く必要はありませんよ

護法童子

googleマップのストリートビューを利用すれば時間が短縮できるでしょう

美月

おお!

美月

じゃあ さっそく手分けして……

護法童子

まあまあ

護法童子

そういう単純作業こそ AIにお任せください

美月

マジ?

護法童子

少しお待ちください……

護法童子

……全部で12カ所ほどですね

護法童子

以上の情報をマップにマークしたものを

護法童子

お二人のスマホに転送しましょう

美月

すごいぞ、護法!

美月

それじゃあ優花、その場所に行ってみようよ!

優花

行くんだ……

美月

12カ所だと 手分けした方が早いかな?

優花

ヤダ!

優花

一人でいきたくない!

美月

しょうがないな

美月

じゃ一緒に行こうか

美月

行って来るね 護法!

護法童子

お気をつけて

こうして、私達のこの街を守るための活動が始まったんだ!

護法童子(コンテスト版)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚