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バグ大 feat 特別企画

19 - 【もう一つの京炎戦争】久我虎徹の奔走

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45

2023年06月14日

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久我虎徹

皆様こんにちは!

久我虎徹

ここのコーナーでは初めて主人公を務めさせていただきます、久我虎徹です!

久我虎徹

ご存知の通り、我々京極組は、

久我虎徹

東北のマフィア組織「戒炎」との抗争中であります。

久我虎徹

前の話の漫画を呼んでくださった方はご存知でしょうが、

久我虎徹

こちらのコーナーには、創作キャラ、上杉の姉貴も登場いたします。

久我虎徹

先日、事務所で待機していた私と上杉の姉貴のもとに、

久我虎徹

舎弟の野島が、許しがたい知らせを持ってきたのでありました…。

久我虎徹

今回は、その続編です。

久我虎徹

少しの間ではありますが、我々京極組の創作ストーリーに、是非お付き合いいただければと思います!

六車謙信

む…? 珍しく事務所にあいつがいねえな。

六車謙信

忙しいのか…?
まあ、抗争の真っ只中だ、無理もねえ。

六車謙信

俺も、少しでも早く傷を治さねば…

久我虎徹

久我虎徹

六車の兄貴ーーー!

六車謙信

あっ、久我。どうした。

久我虎徹

ハァ、ハァ、探しましたよ…。

久我虎徹

実は、上杉の姉貴が…

六車謙信

なにっ!?

久我虎徹

浪岡の訃報と、兄貴が刺されたと聞いて、

久我虎徹

怒髪天を衝いて以来、日本語を喋ってくれないのです―――!

六車謙信

どういうことだ!?

久我虎徹

それが、俺達もわかんないんです…

久我虎徹

恐らくはイタリア語で、

久我虎徹

なにやらずっと呟いているんですよ…。

久我虎徹

兄貴、通訳をお願いします!

六車謙信

そ、そんなもん無理だ!

六車謙信

俺はイタリア語なんて話せねぇ!

久我虎徹

しかもそれだけじゃなく…

久我虎徹

最近はずっと給湯室で、グラグラお湯を沸かしているんです。

六車謙信

なんだ、と…

六車謙信

煮えたぎる怒り、ってことか…?

久我虎徹

さぁ…。

久我虎徹

六車の兄貴なら何かご存知かと思ったのですが…。

六車謙信

…。

六車謙信

流石に、俺もあいつの過去や詳しいことなどわからん。

六車謙信

だが…

六車謙信

なんで今回あいつがあんなに怒っているのか、

六車謙信

分からなくも、ないような気がしてな…。

六車謙信

ただ…。

六車謙信

…。

久我虎徹

兄貴…? どうしたんです、急に黙って。

六車謙信

いや、あいつに断りもせず、俺が勝手にこの話をしてはまずいと思ってな…。

久我虎徹

そう、ですか…。

守若冬史郎

守若冬史郎

佐古ー!?

守若冬史郎

あ、久我くぅん。

守若冬史郎

佐古見なかった?

久我虎徹

いえ、見てません、けど…。

守若冬史郎

そっかぁ。

守若冬史郎

…っと、もうお昼の時間だぁ―。

守若冬史郎

怒りを鎮めるには、

守若冬史郎

やっぱり本場イタリアの、スパゲティの掴み食いだよなー。

久我虎徹

は、はぁ…?

六車謙信

…なんだ今のは?

久我虎徹

さぁ…。

久我虎徹

最近、守若の兄貴もずっとあんな風です…。

久我虎徹

あっ、でも、もしかして、

久我虎徹

上杉の姉貴がお湯沸かしてるのって…

久我虎徹

守若の兄貴のスパゲティのためでしょうか?!

六車謙信

…よくわからんが、そうかもしれないな。

久我虎徹

そういえば、どうやら以前、

久我虎徹

佐古が、鍋が小さすぎて入らないからと、スパゲティを半分に折ったことがあるらしいんです。

久我虎徹

そしたら上杉の姉貴が非常にお怒りになり、危うく佐古が二つ折りにされそうになったそうですが…

六車謙信

イタリアでは、パスタを折ってはいけないらしいからな。

久我虎徹

そうなんですか?

六車謙信

あいつが言っていた。日本で言うところの、米を粗末にするな、とか、そういうもんじゃねえのか?

久我虎徹

なる、ほど…。

久我虎徹

ハァ、ハァ…

久我虎徹

どこ行ったんだ、上杉の姉貴…

久我虎徹

あっ、姉貴…!

上杉 玲

Al cuor non si comanda…

久我虎徹

(ダメだ、やっぱり通じてない…!)

上杉 玲

Chi dice donna dice danno…

久我虎徹

上杉の姉貴!

久我虎徹

お怒りの気持ちは十分にわかります!

久我虎徹

ですがどうか、こんな時だからこそ、

久我虎徹

俺達と会話をしてください!

久我虎徹

浪岡を失った今、

久我虎徹

これ以上情報網が乱れれば、俺達は終わりです!

上杉 玲

Ah bene ? Pensi che sia vero? (あら、本当にそう思うの?)

久我虎徹

姉貴…。お願いしますよぉ…。

上杉 玲

浪岡が、いない、かぁ…。

上杉 玲

上杉 玲

久我くん。

久我虎徹

(い、今…日本語、だった、か…!?)

上杉 玲

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」

上杉 玲

いい言葉よねぇ…?

久我虎徹

あ、姉貴…?

上杉 玲

でもさぁ…。

上杉 玲

ふふふっ…。

久我虎徹

(ビクッ)

上杉 玲

将が馬より阿呆だなんて、一体、誰が言ったのかしら…?

久我虎徹

(こ、この不敵の笑み…)

久我虎徹

(上杉の姉貴の狂気、)

久我虎徹

(初めて見た…)

久我虎徹

姉貴、

久我虎徹

お気持ちはわかります。

久我虎徹

ですがどうか、

久我虎徹

お気を確かに…

上杉 玲

久我。

上杉 玲

気を確かに、だと?

上杉 玲

奴らごときに、私を壊せるとでも思っているのか?

途端に姉貴が男の声になってこう言った。

久我虎徹

い、いえ!

上杉 玲

よろしい。

久我虎徹

(この人…やっぱり謎だらけだ…。)

久我虎徹

しかし姉貴、

久我虎徹

仲間を殺られたのは初めてではないのに、

久我虎徹

どうして今回はそんなにお怒りなのですか?

上杉 玲

…。

久我虎徹

(やべぇ、墓穴掘ったか!?)

上杉 玲

Amore....

久我虎徹

え?

上杉 玲

Amore、愛だよ。

上杉 玲

私は、この言葉が嫌い。

上杉 玲

愛などと口にするやつに限って、そんなもの、微塵も持っていない。

久我虎徹

は、はぁ…。

上杉 玲

上杉 玲

Luciano(ルチアーノ)....

久我虎徹

なんです?それは。

上杉 玲

ルチアーノ・アマート(Luciano Amato)

上杉 玲

私のいたイタリアンマフィアの、最も優秀な男だった。

上杉 玲

彼の苗字、アマートは、イタリア語で「愛された」もしくは、「愛する人」という意味だ。

上杉 玲

その名の通りの男だったよ。

上杉 玲

加えて文武両道、

上杉 玲

私はどうしても勝てず、いつも彼の次だった。

上杉 玲

でもそれが嬉しくもあった…。

上杉 玲

というのも、

上杉 玲

男のふりをしていたものの、本当は女だった私は…

上杉 玲

彼に勝ちたいとは思わなかった。

上杉 玲

それよりもむしろ、共に戦い、

上杉 玲

時に教えを請い、

上杉 玲

足りないところを補い合える歓び…

上杉 玲

それが嬉しかった。

久我虎徹

そんな方が、いらしたんですね…。

上杉 玲

彼はときに、命の危険を冒してまで私を守った。

上杉 玲

私も男の姿をしていたし、単なる友人と思われていたのだろうが、

上杉 玲

それでも彼は、私を心から大切にしていてくれたよ…。

上杉 玲

私は幾度となく、本当は女だと打ち明けてしまいたい欲望にかられた…。

上杉 玲

高級娼婦らにもてはやされ、

上杉 玲

酒場で女に囲まれている彼を見るのは、

上杉 玲

胸が苦しくて仕方なかった。

久我虎徹

姉貴にも、そんな感情があったとは…。

久我虎徹

その方は今、どうされているんですか?

上杉 玲

あぁ、

上杉 玲

死んだよ。

久我虎徹

えっ…!

久我虎徹

いったい、誰が…

上杉 玲

…。

姉貴はしばらく黙っていた。

そして決心したように深く息をつくと、再びゆっくりと口を開いた。

上杉 玲

上杉 玲

Luciano Amato (ルチアーノ・アマート)....

上杉 玲

その男を殺ったのは、

上杉 玲

私だ。

久我虎徹

えぇぇっ!?

久我虎徹

どういうわけです!?

上杉 玲

その優秀な男は見抜いていた。

上杉 玲

私達の組織が、じきに敵対組織により潰されるであろうことを。

上杉 玲

だから彼は、ボスに内緒で、私に組織を抜ける話を持ちかけたんだ。

上杉 玲

私を守ろうとしてね。

上杉 玲

しかしボスは、彼ほど頭が良くないものの、

上杉 玲

何かしらの異変に気づいたと見える。

上杉 玲

私達を怪しく思ったボスは、

上杉 玲

意地悪く笑いながら、

上杉 玲

私に彼を殺すように命じた。

上杉 玲

当然、私は一瞬、躊躇った。

上杉 玲

しかしこれを拒否することは、

上杉 玲

ボスの前で過ちを認め、

上杉 玲

さらにはボスに、軽んじられ続けることになる。

上杉 玲

ボスは意地悪から、私に彼を殺害するように命じた…

上杉 玲

ならば、どんな命令であろうと本当に遂行する姿を見せれば、

上杉 玲

ボスも下手なことを私に命じたりはしなくなるからな。

久我虎徹

なる、ほど…

上杉 玲

その日のうちに、私は小刀とピストルを持って彼に会いに行った。

上杉 玲

悲しみや恐れ、そして躊躇いが私を襲わぬうちに、

上杉 玲

彼を殺すと決めたんだ。

上杉 玲

雨の降る中、

上杉 玲

私はこうもり傘を深くさして、

上杉 玲

彼のアパートへ向かった。

上杉 玲

怪しまれぬよう、足取りに極力余裕を見せたものの、その心の中は、

上杉 玲

何かとてつもなく大きなものから、一目散に逃げているようだった…。

上杉 玲

今もはっきりと思い出せる…。

上杉 玲

不意をつかれたルチアーノは、

上杉 玲

私に刺される直前で身を躱したものの、

上杉 玲

最初の一刀はあまりにも深かった。

上杉 玲

いくら私より優秀とはいえ、

上杉 玲

深手を負った状態では勝負にならない。

上杉 玲

私の右頬の傷…。

上杉 玲

これは最後に抵抗した彼がつけたものだ。

上杉 玲

どんなに優秀な外科医がいようと、

上杉 玲

この傷跡は治せまい。

上杉 玲

これが刻み込まれているのは…

上杉 玲

皮膚ではなくて、心だからな。

久我虎徹

姉貴…。

上杉 玲

私は想いを寄せた男を、

上杉 玲

自分は女だと告げることもできないまま、

上杉 玲

自らこの手にかけた…。

上杉 玲

彼の目に、最期に映った私は

上杉 玲

卑怯な裏切り者だろうか、

上杉 玲

それとも、心を持たない悪魔だろうか…

上杉 玲

どうでもいい。少なくとも、私が見てもらいたかった姿ではない。

上杉 玲

私の背負う、一生ものの十字架…

上杉 玲

愛などと軽く口にできる者に、

上杉 玲

一体何がわかるというのだ?

久我虎徹

姉貴…。

上杉 玲

上杉 玲

なぁ、久我ぁ…。

上杉 玲

今度の敵のトップ、

上杉 玲

"愛の処刑人"、だっけ…?

上杉 玲

奴が今までどんなに強い相手を殺してきたかも、

上杉 玲

奴の過去に何があったかも知らんが、

上杉 玲

仮にでもだ…、

上杉 玲

奴は自身の愛する女を、

上杉 玲

自らの手にかけることができると思うか?

久我虎徹

それは…

物静かで理知的だと思っていた姉貴の本当の恐ろしさを、このとき俺は目の当たりにした。

しかし姉貴はこの直後、拳を固く握りしめ、同時に肩を震わせながら、かすかに濡れたような声で続けた。

上杉 玲

浪岡が死んだ日…

上杉 玲

謙信が、脇腹を刺されて帰ってきただろう…?

上杉 玲

あれはな…

上杉 玲

私がルチアーノを刺したのと、

上杉 玲

全く同じところなんだよ…。

上杉 玲

無論、謙信の傷は致命傷ではない。

上杉 玲

だが…、

上杉 玲

脇腹から血を流す謙信を見て、

上杉 玲

心の奥の、そのまた奥、私のいちばん深くへ押し込めていた記憶、感情…

上杉 玲

それらが全て、蘇ってしまった…。

上杉 玲

Chi rompe paga...

上杉 玲

私に思い出させた罪は重いよ。

悔しさと悲痛に歪んだ姉貴の顔から覗く宝石のような両目には、言葉にできないほどの憎しみと、そして深い悲しみが宿っていた。

しかし同時に俺は、姉貴の言葉になにか引っかかるものを感じた。

敵に対して、「愛する女を殺せまい」とあざ笑った姉貴だが、

ならば仮に姉貴は、女になった今でも、殺せと言われれば、愛する男を殺すのだろうか。

俺は姉貴にその質問を投げかけたかったが、できなかった。

※今回出てきたイタリア語

Al cuor non si comanda 「心に命令することはできない(=自分の心は無理に変えられるものじゃない)」

Chi dice donna dice danno 「女は禍の元 」

そしてお馴染み(!?) Chi rompe paga 「このツケは支払ってもらう」

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