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カラン……
カラン……
カラン……
あるとあらゆる武器で切りつけられたような凄まじい殺気でこの静まり返った空間で、不規則に鳴る下駄の音が、ゆっくりと近づいてくる。
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は体を引きずりながら縁側の方を覗いた。見ると砂埃がたっていてよく見えないが、下駄の音と共に人影が見えた。
カラン……
縁側に上がる、”鼻緒が切れていない方”の下駄が見えた。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
頭(かしら)
その姿に、 ここにいる全員が息を飲んだ。
片方しか履いていない下駄、全体的に傷だらけで、指が折られた手に、切られた足、絞められた縄、血が滲んだ包帯が巻かれた細い腰に”村長の象徴”の刺青がは入った上裸といった、痛々しい姿。
そして、その縄で絞められた首から口元にかけて巻かれた包帯は血が滲んでおり、前髪で片目が隠れるほどボサボサになった髪から、先程の凄まじい殺気で見開いた鋭い目を覗かせていたのは……
悟郎だった。
(((ゾワッッ!!)))
桜木 壱茶
桜木 壱茶
ちょうどその頃、壱茶は浪人笠の男たちを倒したところだった。悟郎の凄まじい殺気が、人一倍気配などに敏感な壱茶の背筋を凍らせた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
桜木 壱茶
桜木 壱茶
岩の上に乗る壱茶は桃音たちが向かった方向いて悟った。その岩から見下ろせる川には、鎖と重りを使って弱らせ、最終的に骨が見えるぐらいに頭をかち割られた男二人の死体が浮かんでいた。
浪人笠は川に流され、彼らが言った言葉を返した通り、血の川になっていた。
百峰 桃音
狼石 悟郎
唸り声に近い呼吸音を発する悟郎は、下駄を履いていない方の足を引きずりながら、まるでゾンビのように、首がすわってないように頭をカクンカクンとしながらこちらに向かってくる。
村人達(本拠地)
村人達(本拠地)
1人の村人が声を震わせて言った。確かに悟郎の両足首辺りに、刃物で切られた傷口があった。
頭(かしら)
頭(かしら)
頭(かしら)
頭がそう叫んだ途端、他の村人たちは気が変わったかのよう桃音と凜々愛を視界から消し、いっせいに駆け出し刀を抜いて悟郎に襲いかかった。
〜竹林〜
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
新感覚の虐殺に夢中になっていた瑠花は、へし折れた竹に串刺しにされた村人たちの無惨な死体を後に、桃音たちが向かった方へ走っていた。
早乙女 瑠花
ガサッ
しばらく走り続けて竹林を抜けた。 しかしそこは………
早乙女 瑠花
しかし気付いた時にはもう遅かった。瑠花は勢いがあまって立ち止まることが出来なかった。その時には既に崖から身を投げ出していた。
早乙女 瑠花
パシッ!
早乙女 瑠花
崖の上から半分以上落ちた時だった。誰かに腕を掴まれ、宙ずりになった。
桜木 壱茶
早乙女 瑠花
掴んだのは壱茶だった。長い方の分銅鎖を崖の上の竹に巻き付けて命綱にして腕に巻き付けて、間一髪 瑠花の手を掴んだのだ。
桜木 壱茶
壱茶は無理やり笑って言った。瑠花の手を掴んだ時に背中を切られた傷が開いて痛みを感じたからだ。その背中に じわっと血が滲んでいた。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
桜木 壱茶
地上まで30cmの高さから無傷で着地した後、壱茶は鎖を回収しようとグイッと引っ張った。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
早乙女 瑠花
バキン!
桜木 壱茶
瑠花は分銅鎖を片腕で引いた。すると崖の上から竹がへし折られた音が聞こえた。そしてそのまま重力に引き付けられるように、張られた長く重い鎖は全て落ちてきた。
早乙女 瑠花
桜木 壱茶
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
瑠花は分銅鎖を壱茶に渡した後、目が見えない彼がどうやってここまで来たのかを尋ねた。
桜木 壱茶
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
笑ってリアクションした後、瑠花は壱茶の上から下まで視線を往復させて尋ねた。なぜか壱茶の髪も服も濡れていた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
”ちぃとばかりヘマ”
〜5分前の川〜
桜木 壱茶
ズルッ (滑る)
桜木 壱茶
グラッ
(バランスを崩し、しばらく耐える)
桜木 壱茶
(しばらく耐える…)
桜木 壱茶
バシャン!
桜木 壱茶
壱茶は気まずそうに顔を逸らして言った。乱闘ではなく、岩に滑って川に落ちただなんて言えなかった。
早乙女 瑠花
ドシャァ!
早乙女 瑠花
桜木 壱茶
すると突然、瑠花と壱茶の間を横切るように村人の死体が飛んできた。死体は崖にべシャリと打ち付けられ、そのまま血で描くように地面に落ちた。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
瑠花は目を輝かせて死体が飛んで来た方を見るが、その光景に言葉を失い、目の輝きも一瞬で消えてしまった。
(((ザワッ)))
桜木 壱茶
早乙女 瑠花
その光景には……
村人達(本拠地)
ズバッズバッ!!
一週間ぶりに姿を見た悟郎が、傷だらけになった身体で、村人を日本刀で斬り殺していく姿だった。あの刀は本拠地で殺した村人から奪った物だった。瑠花と壱茶は、身体が動かなかった。むしろ来てはいけないと感じた。巻き添えを食らうのもあるが、これは悟郎がすべきもの、と思えたからだ。
この村人たちは皆本拠地に居た者たちだ。悟郎との乱闘を繰り返すうちに、じわじわと村まで来てしまったのだ。
村人達(本拠地)
頭(かしら)
頭(かしら)
頭(かしら)
村人が震え上がるのを見て焦り始める頭(かしら)は、無茶振りをさせるかのように命令した。
村人達(本拠地)
キィン!
キィン!
キィン!
ズバッ!!
1人の村人と一騎打ちになるが、虚しくも、あっさりと斬り捨てた。悟郎はその村人の刀を拾い、二刀流になった。
村人達(本拠地)
村人達(本拠地)
一騎打ちの際に何人かの村人がこっそりと廃棄(民家)の影に身を潜めて、悟郎を取り囲んだ。まるで殺人鬼から逃げるホラーゲームのような状態だ。
村人達(本拠地)
村人達(本拠地)
悟郎の背後から、二人の村人が悟郎の腕を目掛けて斬りかかった。しかしそのような不意打ちには、今のリミッターの外れた悟郎には通用しなかった。
グサッ!
村人達(本拠地)
村人達(本拠地)
悟郎は振り向かず、刃を後ろになるよう刀を持ち替えて二人の腹を刺した。
ザシュッ!
これだけでは済まない悟郎は刀を一旦抜き、姿勢を低くしながら振り向いて二人の上半身と下半身をお別れさせた。
村人達(本拠地)
ザシュッ!
カァン!!
狼石 悟郎
また1人村人を斬り捨てた時だった。悟郎の両手に衝撃が走り、握っていた刀が2本とも手元から離れた。
村人達(本拠地)
薙刀だった。1人の村人が薙刀で悟郎の武器を弾いた。刀は少し遠くに飛ばされ、悟郎は丸腰になった。
村人達(本拠地)
ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ
その村人は薙刀を振り続けて追い込むが、悟郎は両腕に力を抜いて冷静に、後ろへさがりながら敵の動きを見据えて避け続けた。
スパッ!
その時、悟郎の首に絞められていた縄に刃が届き、パラリと足元に落ちた。
村人達(本拠地)
勝利を確信したその村人は自信満々になって薙刀を首を狙って振り落とした。
ガシッ
村人達(本拠地)
その村人は、まるでギロチンのように綺麗に首が切り落とされると思ったが、それは大間違いだった。半回転させて振り落とした薙刀は、悟郎に柄(つか)を強く握りしめて止められていた。
村人達(本拠地)
片手で掴まれたのに対して両手で力を入れてもビクともしない薙刀。その動きが止まっている隙を狙った者がいた。
村人達(本拠地)
ガシッ
村人達(本拠地)
悟郎は薙刀を持つ村人を見つめながら、その刃を素手で握った。力が込められたその掌からは多くの血が流れた。
村人達(本拠地)
パキンッ!
ザシュッ!
悟郎は血を流しながらも刃を折って、そのままその村人の首を切った。動脈から大量の血飛沫を出す村人はそのまま地面に倒れた。
グイッ
村人達(本拠地)
グサッ!
悟郎は薙刀を片手で引っ張って村人を引き寄せて、もう片方の折った刃をその心臓に突き刺した。
村人達(本拠地)
胸に刺さった刃からドクドクと血が流れるのを見ながら村人は、苦しみながら身体の重みに耐えるように立ちすくんだ。
ズバァッ!!
悟郎はそのまま薙刀を両手で握りしめ、その村人を最初に、遠心力を利用しつつ反時計回りに旋回させて一気に周囲の刀を持った村人たちの首を切り落とした。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は本拠地の入口の門にもたれながら、文字通りバグってしまった悟郎が次々と村人たちをなぎ倒すのを見ていた。一週間姿をくらませた悟郎が、ここで何をされていたのかは、あの痛々しい姿を見れば想像できた。しかしそんな身体でなぜあれほど動けるのか、桃音は理解が追いつかなかった。
神楽 凜々愛
すると隣にいた凜々愛が静かに口を開いた。山吹村について語り始めた。本拠地の畳は赤黒く汚れ、周辺に咲いていた山吹の花は、赤く染まっていた。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
「 彼こそが、本物の山吹族」
狼石 悟郎
ヒュンッ!
刀を持った村人たちの首を切り落としたその直後に殺気を感じた。顔向けるのと同時に揺れる悟郎の髪に矢が貫き、地面に刺さった。その矢先には、家の屋根の上に乗った村人が弓を引いていた。
ブォンッ!!
村人達(本拠地)
ドガァァ!!
悟郎は殺気立った目で屋根の上の村人を狙って薙刀を思いっきり投げた。が、剥き出しの殺気と旋回する薙刀で危険を察知し、慌てて避けた。
ヒュンッ!
その村人は切り替えてもう一度、悟郎を狙って矢をはなった。しかし……
ガシッ!
村人達(本拠地)
鏃(やじり)が悟郎の額を刺すギリギリの手前で止まった。悟郎は瞬きもせずその村人を睨みつけながら、飛んできた矢を掴んで受け止めたのだ。
狼石 悟郎
キリキリ…
そしてそのまま村人には一切目を離さないまま、そこに落ちていた”黒い弓”を拾い、流れるように矢を弓にかけた。
ヒュンッ!
グサッ!
村人達(本拠地)
一瞬の隙を与えず、悟郎は矢を放ち、その矢は屋根の上の村人の喉を貫いた。その村人は貫通した喉を押さえるような動きをしながら屋根から転落した。
村人達(本拠地)
今度は遠くから頭(かしら)の盾になるように並ぶ村人たちのうち三人が駆け出して来た。悟郎は迷いもなく、そこにあった三本の”黒い矢”を咄嗟に拾い、全て弓にかけて三人に狙いを定めた。
ヒュンッ!
グサグサグサッ!
村人達(本拠地)
三本同時に放った矢は、見事に三人の心臓をほぼ同時に貫いた。
村人達(本拠地)
狼石 悟郎
廃棄(民家)のすぐそばから、うめき声が聞こえた。屋根から落ちた村人はまだ辛うじて生きていた。矢が刺さった喉を押さえるように苦しんでいていた。
ヒュン!
グサッ!
悟郎は先程殺した村人の刀を拾って、その村人に向かって雑に投げた。旋回する刃は、村人の頭に刺さった。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音と凜々愛は本拠地から出て、巻き添えを喰らわない程度の距離を置いた所まで来た。薙刀はまだ納得できるが、普段の黒く歪な歯をした、やたらと大きい刀を使うイメージしかない悟郎が、弓のような的当ての武器を扱うことに慣れていることが不思議に思えた。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
あっと思い出して言った凜々愛。洗練された刀術と引き換えに、生身の戦闘が弱いということに焦りだした山吹族が銃以外の武器に手をつけ始めたと言えど、結局はほとんどが最も扱いに慣れている刀を使う者ばかりというオチになったのは凜々愛から聞いた。ここに来て弓を扱ったのは桃音が相手したぐらいだった。
だが先程まで拝見した悟郎の、銃以外の武器を極めたその腕が、全てを語っていた。普通の日本刀も、弓矢も、一話前の鎖もこなせる彼こそが、この村の頂点に立つ者だということを。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
すると桃音は、悟郎が射った”黒い弓矢”の存在に不審に感じた。あまり描写は無かったが、本拠地に来る前に桃音が相手していた村人たちが持っていた弓矢は竹でできていると一目でわかるような、最も想像できるような種類だった。
しかしその”黒い弓矢”は、他の弓矢とは全く種類が異なったような、独特な感じがした。桃音は断言出来る。そんな特徴的な弓矢は、あの時、確かに無かった。
そもそも誰1人としてあのような黒い武器を持っていなかったはずだった。
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は不思議なことに、 人為的な、意図的なものだと感じた。
ザシュッ!!
村人達(本拠地)
最後の村人たちが一度に斬り殺された。桃音と凜々愛が話している間に、残るは盾を失った頭(かしら)だけになった。
頭(かしら)
頭は恐怖心に駆られていた。荒れ果てた村に転がる死体。そんな7年前と同じような光景を背に、悟郎はこちらを睨みつけていた。その目はまるで獣のように鋭く、激しい怒りや憎悪が含まれていた。
頭(かしら)
狼石 悟郎
腰を抜かして追い詰められた頭は悪あがきかのように声を上げるが、悟郎は村人の死体の横に落ちていた刀を拾い、追い詰めるように徐々に距離を詰めていく。
頭(かしら)
頭(かしら)
ズバッ!!
いなければ、と言うつもりだった。悟郎は頭の罵詈雑言に聞く耳を持たず、この男の言葉を遮るように顔を切りつけた。
頭(かしら)
狼石 悟郎
ドスの効いた声でそう頭を睨めつけた。そして、痛みで蹲る頭を足蹴にしてうつ伏せになるように こかした。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
狼石 悟郎
ズバズバッ!
ズバズバッ!
頭(かしら)
目にも止まらぬ速さだった。悟郎はこの男の手足首を刀で切断した。頭はただ悲痛な悲鳴をあげるだけだった。
狼石 悟郎
グサッ!
頭(かしら)
さらに悟郎は追い討ちをかけるように刀を頭(かしら)の背中に突き刺し、そのまま肉を抉るようにゆっくりと動かした。
かつて悟郎が烙印を押されたのと 全く同じ位置に。
狼石 悟郎
ガンッ
頭(かしら)
下駄でこの男の頭を踏みつけ、刀を引っこ抜いて振り上げた。この男を見下すその目は、まるでゴミを見るような、人間に向ける目ではなかった。
狼石 悟郎
ザシュッ!!
悟郎に陰湿な復讐を企んだ狡猾な頭(かしら)は、”本物の山吹族”であり”村長の器”を持つ悟郎の圧倒的な格差を見せつけられたという、なんとも無様な形で 次期村長直々に”処刑”された。
村人を1人残さず殺した悟郎は、バグでとうとう動かなくなった機械のように立ちすくんだ。死にかけのボロボロの身体が限界に近づいたようだった。
狼石 悟郎
神楽 凜々愛
狼石 悟郎
神楽 凜々愛
凜々愛は恐る恐る悟郎に声をかけると、それに気付いた黙って悟郎はこちらを向き、目が合った。彼の目は人を殺した後の、光の宿っていない目をしていた。
ザッ……
狼石 悟郎
護りたかった凜々愛がすぐそこにいると知った悟郎は握っていた両手の刀をその場に捨て、彼女の元へ向かおうと引きずるように歩き始めた。しかし全ての力を使い切った悟郎はフラフラと、今にも倒れそうになっていた。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
ガバッ
凜々愛は真っ先に駆け出し、倒れかける悟郎を抱くようにして支えた。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
凜々愛は涙目になって、ぐったりとした悟郎を抱きしめた。本当に安心したが、まさかここまで酷いとは思いもよらなかった。崖の近くにいた瑠花と壱茶も安心しながらこちらまで来た。
狼石 悟郎
神楽 凜々愛
悟郎はかすれた小さな声で何か呟いた。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
神楽 凜々愛
悟郎は大粒の涙を流しながら、悟郎は指が好き勝手な方向を向いた、赤く染った手を凜々愛の頭に、抱き返した。
百峰 桃音
百峰 桃音
悟郎が自分より凜々愛の心配をしている発言で、桃音は彼が頭(かしら)たちの目的を知っていることに気が付いた。
狼石 悟郎
2人が抱き合っていた手を下ろして悟郎はそう答えた。凜々愛に支えられながら、その場で腰を下ろした。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
桜木 壱茶
百峰 桃音
早くも泣き止んだ悟郎の問に、 壱茶が答えた。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
百峰 桃音
早乙女 瑠花
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は慌ててスマホを取り出し、 処理班に電話をかけた。
プルルル📞
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
そう言って、桃音は電話を切った。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
神楽 凜々愛
※処理班も遠征あり※
早乙女 瑠花
百峰 桃音
今度は医療部に電話をかけた。
プルルル📞
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
桜木 壱茶
桃音が壱茶に視線を向けると、ちょうどそのタイミングで、川に落ちてびしょ濡れの彼ががくしゃみをした。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
神楽 凜々愛
電話を切った。途中から表情や口調がパァっと明るく変わった桃音の様子に、凜々愛は首を傾げた。
百峰 桃音
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桜木 壱茶
嬉しい報告に喜びの声があがった。その様子を見る悟郎は、前髪と口元の包帯で左目しか見えていないが、その下では微笑んでいるようだった。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
しかしそんな中、悟郎の隣で彼の手を握る凜々愛は黙り込んでいた。彼に寄り添っている彼女の、その手を握る手は、離すつもりは全くないように見えた。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
悟郎の手を、痛くない程度で握りしめた。無理もない。今回の任務で1番心が重かったのは彼女だ。ここに来る前からずっとそうだった。少女時代に最愛の双子の弟を失った凜々愛が、今度は唯一の幼なじみを失うかもしれないと、恐れていたからだ。
狼石 悟郎
神楽 凜々愛
優しく頬んでそう言う悟郎に凜々愛は何だっけと首を傾げた。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
神楽 凜々愛
悟郎が笑いながらそう言うと、思い出したのか、凜々愛はあたふたした。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
百峰 桃音
桜木 壱茶
意外な一面に目をむく桃音たち。凜々愛は恥ずかしくて頬を赤らめていた。村が崩壊したあの日、自責の念でいっぱいになった悟郎が死を持って償うと言ったあの時、凜々愛はビンタしたというものの、衝動的なものだったため、彼女にとっては黒歴史だった。
百峰 桃音
百峰 桃音
神楽 凜々愛
すると桃音はふと思い出して言った。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
ギクッとする凜々愛。桃音の言う通りだった。凜々愛は足を捻らせていた。
百峰 桃音
百峰 桃音
神楽 凜々愛
桜木 壱茶
早乙女 瑠花
↑フォローしようとする助っ人ゴリラ's
百峰 桃音
狼石 悟郎
百峰 桃音
狼石 悟郎
狼石 悟郎
百峰 桃音
百峰 桃音
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は真剣な顔で問いかけた。ここにいる誰もが気になっていた。あの路地裏、あの血痕、そして悟郎のその姿。今ここで、真相を明らかにしたいと、他3人も悟郎に視線を向けた。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
狼石 悟郎
悟郎は遠くを見つめながら、 一週間前からの出来事を語り始めた。
〜一週間前の路地裏〜
あれは任務帰りに壱茶と別れてしばらくした時じゃった。背後から浪人笠の男に声をかけられた。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
ザッ…!
狼石 悟郎
ザシュッ!
狼石 悟郎
生き残りは居ないと思っていた同族がいて心臓が止まったかと思った。衝撃のあまり油断してしまってのう…右腕切られて不利になってしまったんじゃ。
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桃音たちはここに来る前に訪れた殺人現場のような、荒れ果てた路地裏を思い浮かべ、そこでの出来事に想像しゾッとした。背後からの不意討ちとはなんて卑怯なんだ。この時、3人はそこから痛めてつけられて拉致されたと予想した。
狼石 悟郎
シャキッ!
村人達(浪人笠)
村人達(浪人笠)
狼石 悟郎
狼石 悟郎
桃音「そっちぃ!?」
百峰 桃音
早乙女 瑠花
狼石 悟郎
予想外の展開ですかさずツッコむ桃音と瑠花。悟郎は口角を上げて言った。 いわゆるドヤ顔だ。
百峰 桃音
百峰 桃音
桜木 壱茶
壱茶は話を聞いて、あの川にいた浪人笠を被った村人2人から血の匂いがしたこと、怪我人であることに納得がいった。
百峰 桃音
狼石 悟郎
狼石 悟郎
百峰 桃音
神楽 凜々愛
それから奴らの目的を聞き出したんじゃ。凜々愛殿も殺すつもりと行っておったからのう、我は兎も角、このままでは凜々愛殿も巻き込まれてしまう。
嫌じゃったんじゃ。凜々愛殿を復讐の道具として利用されるのが……
凜々愛「悟郎……」
桃音(ともかく ちゃうて)
そこで我は決心した。 殺られる前に殺ると。
我は村へ乗り込んだのじゃ。
桃音「え?アンタ自分から 行ったん!?」
瑠花「カチコミじゃん!?」
狼石 悟郎
村人達(浪人笠)
狼石 悟郎
狼石 悟郎
瑠花(ヤクザより性悪)
本拠地に辿り着くまでは路地裏であった男たちを人質にして進んでいったが、竹林では結局大半を殺した。
凜々愛(……!だから竹林、 荒れてたんだ)
村人たち
狼石 悟郎
狼石 悟郎
狼石 悟郎
村人たち
村人たち
狼石 悟郎
狼石 悟郎
ズバッ
村人達(浪人笠)
村人達(浪人笠)
狼石 悟郎
浪人笠の男たちはその場で切り捨て、力ずくで本拠地へたどり着こうとした。
じゃが我は既に右腕を切られておったからのう……さすがに限界があった。
頭(かしら)
狼石 悟郎
結局は奴らの思う壷になった。気が付けばあの時と同じ場所…昔我が処刑されかけた”粛清の間”というで、あの時と全く同じ状態になっていた。
ドクンッ!
狼石 悟郎
狼石 悟郎
恐怖で息が詰まりそうになった。あの時のを痛みはまだ我の中に、トラウマとして在り続けておったのじゃ。
頭(かしら)
村人達(浪人笠)
狼石 悟郎
殺したはずの浪人笠の男たちは生きておった。利き手で斬った時、致命傷を与えることができず、包帯を巻いて治療済みになっておった。
ザシュッ
狼石 悟郎
あやつらは我が歩けぬよう、アキレス腱を切ったんじゃ。あの時のように拘束で身動きが取れぬというのに。
ドカッ!ドカッ!
狼石 悟郎
それからはひたすら拷問が続いた。あの時と同じ…いや、もっと壮絶じゃった。想像を超える苦痛じゃった。
ジュウ…ッッ!!
狼石 悟郎
狼石 悟郎
狼石 悟郎
同じ位置に烙印を二重に押され、あの時のように木刀で殴られ下駄で蹴られるのと他に、指を折られ、水責め、爪剥ぎ…
ついさっきまでは走馬灯が見えた。
狼石 悟郎
遠くを見つめながら語りだした悟郎。それを聞いていた桃音たちは皆、開いた口が塞がらなかった。
桜木 壱茶
百峰 桃音
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
狼石 悟郎
百峰 桃音
それから15分ほど経った。医療部の黒い大型の車がこちらに向かってきた。
桜木 壱茶
神楽 凜々愛
車は桃音たちの近くに停り、中から数人の医療部たちが降りてきた。
百峰 桃音
モブ医療部たち
百峰 桃音
モブ医療部たち
百峰 桃音
モブ医療部たち
医療部の彼は指を指して言った。見ると森の中へ続く、入ると神隠しに遭いそうな、洞窟を思い浮かばせる大きめの道があった。
百峰 桃音
百峰 桃音
モブ医療部たち
そんな1人の医療部が桃音と会話をしている間に、他の医療部の数人が悟郎のそばに来て言った。
狼石 悟郎
モブ医療部たち
狼石 悟郎
モブ医療部たち
※水無しでは4〜5日程度※ ※食事無しでは2〜3週間※
狼石 悟郎
モブ医療部たち
狼石 悟郎
早乙女 瑠花
モブ医療部たち
百峰 桃音
主に医療部たちが驚愕する中、桃音は後ろから悟郎の髪を触って納得した。確かに悟郎の髪は半乾きになっていた。
モブ医療部たち
百峰 桃音
狼石 悟郎
狼石 悟郎
咳と共に血反吐が出た。
モブ医療部たち
モブ医療部たち
急に悪化しはじめて焦り始めた医療部は車からストレッチャーを引っ張り出し、要救助者の悟郎を乗せ搬送した。車の中は救急車と全く同じだ。
モブ医療部たち
モブ医療部たち
モブ医療部たち
搬送しながら、医療部たちは悟郎のあまりにも酷い容態に息を飲んだ。
早乙女 瑠花
モブ医療部たち
モブ医療部たち
百峰 桃音
モブ医療部たち
百峰 桃音
医療部の車に乗せられた。開けられたトランクの中から悟郎の容態を確認する声が聞こえる。
モブ医療部たち
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
そう言いながら車に近寄ってきた瑠花。その横で凜々愛が心配そうに悟郎を見つめる。よく見ると不安なのか、瑠花の手を握っている。
百峰 桃音
百峰 桃音
モブ医療部たち
モブ医療部たち
外側から見て手前に乗っている医療部は、悟郎の両足首の傷を見て、どれぐらい経ったものかを推測した。
神楽 凜々愛
モブ医療部たち
モブ医療部たち
まだ車に乗っていない1人の医療部は、桃音たちに怪我をしていないか尋ねた。
百峰 桃音
モブ医療部たち
桃音が言うと、医療部は桃音の身体中の痣を見て言った。
早乙女 瑠花
モブ医療部たち
桜木 壱茶
モブ医療部たち
神楽 凜々愛
モブ医療部たち
最も軽傷の凜々愛を最後に、医療部は1人ずつ怪我の報告を確認した。
神楽 凜々愛
モブ医療部たち
モブ医療部たち
百峰 桃音
凜々愛の思いもよらない行動によって怪我したことにツッコむ医療部に、桃音は軽く手を挙げながら言った。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
モブ医療部たち
凜々愛はふくれっ面をして桃音を見て言った。桃音は自分の方が圧倒的にマシだと言わんばかりの顔で反論した。
百峰 桃音
モブ医療部たち
桃音は自分が飛び降りた場所、途中で壊れた崖の階段に指を指して言ったが、凜々愛と同等にツッコまれた。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
車の中へ運ばれてから抜け殻のようになっていた悟郎が、ハッと意識を取り戻したかのように、車の天井を眺めながら途切れ途切れに言った。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
恐らく”粛清の間”で痛めつけるために全て取り上げられたのであろう。察しのいい凜々愛はそう尋ねた。
狼石 悟郎
狼石 悟郎
桜木 壱茶
百峰 桃音
凜々愛のご名答だったが、悟郎はその場所を思い出そうと少し黙ったが、我を忘れてバグってしまった彼は、気づいたら村に出ていたという感覚だったため、結局思い出せなかった。
早乙女 瑠花
モブ医療部たち
モブ医療部たち
百峰 桃音
早乙女 瑠花
どこにあるか分からない荷物は一旦置き去りにすると決定した桃音たちは、車に乗った。、ドアが閉まると医療部が来た道を通って村を立ち去った。
モブ医療部たち
『暗黒街の銃声』 〜山吹村編〜
ーー終ーー