この作品はいかがでしたか?
303
この作品はいかがでしたか?
303
あの雨の日に借りた傘をその日の うちに返そうと思ったが案の定残業 で終わった頃には時計の短針は八時 を示していた。
雨上がりの夜中急いでコンビニ まで走って駆けつけるも青柳さん の姿はもうなかった。
彰人
彰人
明日は休日だ、彼が明日もいる 保証はないが行ってみる価値は ある。片手に持った傘をギュッ と握りマンションに帰った。
翌日、晴れ晴れとした昼下がりに コンビニの前に着いた。程々なくらい に人が店内をうろついていて混んでないとは言え今のタイミングで傘を返す のもなと気が引けた。
まず彼が居るのかどうかも分から ないのにそう決めつけるのは良く ない。外から様子を覗き見してみ たが、彼の姿は見当たらなかった。
彰人
彰人
晴れているのに傘を持っている オレをチラチラ見る人達に嫌気が 差してコンビニから去った。
もう居ないことが分かったのなら さっさと傘を自室に置いていけば いいものの、何故かどこかでバッタリ 会えるんじゃないかと期待している。
そのままオレは近くの通りにある 服屋に赴いた。
ここの店はオレが携わっていない 他ブランドの店だ。
情報収集かつオレの趣味も兼ねて こうやって色んな店のファッション 傾向を見定めている。
彰人
彰人
ふむふむと品物を吟味しているとふと服の間で先の通りを横切った男に 目がいった、見覚えのあるツートン カラーにバッと頭を振り向きすぐさま その方向へ小走りで近付いた。
彰人
冬弥
こんな偶然があっていいのだろうか。 けれど今目の前に青柳さんが立って いる。とんでもない巡り合わせだ。
冬弥
彰人
彰人
冬弥
彰人
彰人
肘に掛けていた彼の傘を 手渡した。やっと返す ことが出来て一安心した。
冬弥
彰人
冬弥
彰人
彰人
彰人
バイトの時は指定の制服だった ためそれ以外での服装は見たこと がなかった。シンプルな裾出しの白シャツにスラッとした青のジーパン。 パッと見冴えない姿だが顔面偏差値 が高いおかげかカバー出来ている。 恐るべし。
彰人
彰人
冬弥
冬弥
冬弥
冬弥
彰人
青柳さんの気持ちは分からなく もない、そもそもマネキンは コーディネートの見本でそれを 手本にして自分の好きなコーデ に仕立てるものだ。
彼のような一人もいなくはない わけで、自分の好みが分からい 以上はそうやって見本をそのまま 買う手段しかない。
彼の場合、何着てもサマに なるのが問題ではないが 彼の好みを分けられない 問題でもある。
少々、いや行き過ぎたお節介 ではあるが、ここは傘のお礼 も兼ねて彼をコーディネート してみるのはどうだろうか。 彼が嫌でなければ。
彰人
彰人
冬弥
彰人
彰人
冬弥
冬弥
冬弥
深々とお辞儀をする彼に慌てて そこまで下げなくていいと言うと きょと、と何故?というような顔 をしてきて、逆に笑ってしまった。 失礼だけど。
こうして青柳さんのための 衣装を見繕うことにした。
オレの本領発揮、見せてやる!
コメント
2件