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いっちゃんとたっくん

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いっちゃんとたっくん

16 - いっちゃんとたっくん16

♥

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2020年02月13日

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説得を開始してから数時間

郁美の母

そもそも、それまで一度もその子に会ったことなかったんでしょ?

郁美の父

それで急にこんな話……

未だに難色を示している両親に

今度は私との初対面について語る二人

郁美

兄が弟に会いに来てはいけませんか!?

いっちゃんが親戚達に怒っている時

母の叔母がぐったりした私を発見

いっちゃんは衰弱して痩せ細った私を抱き上げて

郁美

なんでこんな……

大粒の涙を流した

郁美

凄く痩せてたの……

郁美

もう少し発見が遅れてたら危険だったってお医者さんに言われて……

郁美

そんな状態なのに……

郁美

あの場にいた大人達は……

郁美

誰一人動かなかった……

郁美

パニックを起こした母親のことばっかり気にして……

郁美

意識のないあの子を放置したの!

郁美

母親が"あんなのもう要らない"って言ったから

郁美

だったらくださいって……

郁美

もう耐えられなかった……

郁美

あんなところにあの子を置いておけない

郁美

あの母親のところに帰したら……

郁美

きっとまた……

気がつくとまた

いっちゃんの目からは涙が溢れて

たっくんが何度も肩や背中を摩り

その姿を見たいっちゃんの両親は

考え込むように押し黙ってしまった

長い長い沈黙の後

いっちゃんのお母さんが

郁美の母

わかった

郁美の父

お母さん!

郁美の母

その子もあんたになついているんでしょ?

郁美

また会いに行くって……約束したの……

拓郎

私と郁美さんと……あの子と三人で……

三人で交わした約束の指切り

私はそれを信じていた

ここに来て数日

児童相談所の職員さんは優しかったが

私はどうしてもいっちゃん達に会いたくて

何度も二人に会いたいと伝えたが

"会いに来てほしい"なんて連絡をしてはもらえず

窓の外を眺めながら

郁美

絶対に会いに行くからね

いっちゃんの言葉を何度も思い出して

幸せな気持ちをいっぱいにして眠りについた

最初の日曜日

いっちゃんの言葉を信じて

私は二人を朝からずっと待っていた

児童相談所には既に何人か子供がいて

声をかけてくれた子もいたが

どうしても心を開く気になれず

その子は不機嫌そうに部屋を出ていってしまった

他の子達の話し声が聞こえて

"ここには誰も迎えに来ない"と言う言葉が聞こえた時

私はショックでお昼に食べたものを全て戻してしまった

樋口(職員)

直ぐにキレイにするからね

もう嫌だ……

いっちゃん達に会いたい

病院で私が戻してしまった時

郁美

大丈夫だよ~

郁美

苦しかったね……

いっちゃんは抱き締めて背中を摩ってくれた

もうお昼も過ぎた時間

三人で指切りしたのに

もう来ないのかな?

そう思った直後

郁美

美結!

いっちゃんの声がした

郁美

美結……吐いちゃったの?

美結

いっちゃん……

郁美

苦しかったね……

いっちゃんは私のことを

優しく抱き締めてくれた

いっちゃんとたっくん

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