テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

第62話 - 幕間　【14】

2025年01月27日

#ミステリー

#心理戦

#デスゲーム

#推理

#第4回テノコン

日比野響

十一月二十九日

くっそ……。

元の世界に戻るなり、十一月二十九日がぽつりと呟いた。

十一月二十九日

この方法なら絶対に負けないはずだったんじゃねぇのかよ――。

七星

その言い草だと、誰か手引きした者がいるな？

十一月二十九日

あぁ、別に隠す必要もないから教えてやるよ。

十一月二十九日

十二単って男だよ。

十一月二十九日

あいつが、俺の特性を知って、さっきのゲームを提案してきたんだよ。

七星

色盲を利用した不正を使ってきた割に、スポットライトに赤色が混じっていたりしたのは、貴様が全てを考案したわけではなかったから――ということか。

十一月二十九日

あの世界ってのは、勝負を仕掛けた人間の認知に依存するからな。例のトリックを使うために、赤のない世界を作るわけにはいかなかったから、逆に意識しすぎたのかもしれない。

七星

なるほど――。

十一月二十九日

で、どうすんだ？

十一月二十九日

俺はろくな人生送ってこなかったから、別に今すぐ人生が終わってもいいと思ってる。

十一月二十九日

俺を殺すことに罪悪感を抱く必要はない。

七星

あぁ、しかし私とて貴様の命を取ったところで、なんのプラスにもならないんでな。

七星

ここは大人しく絵本を譲渡してもらおうか。

七星

その代わり、譲渡が終わったら、捕縛権を放棄してやる。

七星

その先は自由にすればいい。

七星

私には関係ないことだ。

十一月二十九日

この絵本の悪いところは、それを拒否できねぇところだな。

十一月二十九日

ほらよ、俺の絵本だ。

十一月二十九日が言うと、七星の中に絵本が入り込むイメージが頭の中に走る。

七星

かぐや姫か――。

七星

ごく普通のバトルならば、バリエーションもあるから強そうだが。

十一月二十九日

さて、これで俺はお役御免ってわけだ。

十一月二十九日

それじゃあ、邪魔したな。

七星

あ、あぁ。

七星

随分あっさり引き下がるんだな。

十一月二十九日

もう絵本も奪われてんだ。

十一月二十九日

これ以上、あんたと関わっても仕方がない。

十一月二十九日

まぁ、俺の他にも絵本持ってるやつがいるからよ。

十一月二十九日

気をつけろよ。

十一月二十九日

分かってると思うけど、そいつらの狙いはあんたの絵本だ。

七星

――忠告として受け取っておこう。

十一月二十九日

あぁ、じゃあな。

負け犬に居場所はない。

十一月二十九日はそこで踵を返すと、七星の前から姿を消した。

十一月二十九日

さて、これからどうするか……。

十一月二十九日

まぁ、あいつらのところに帰るわけにもいかない。

十一月二十九日

もう俺には関係ないことだしよ。

七星邸を後にすると、自分に言い聞かせるかのごとく呟く。

すると、背後から聞き慣れた声が飛んできた。

？？？？

十一月二十九日、独り言をぐちぐちとキモい。

振り返ると、そこには二ツ木の姿があった。

十一月二十九日

あ？

十一月二十九日

どうしたんだ二ツ木。

二ツ木

どうせ十一月二十九日のことだろうから、そろそろ負けて帰るかと思って。

十一月二十九日

……図星だからムカつくんだよなぁ。

二ツ木

やっぱり負けたか。

二ツ木

あの七星には勝てないと思ってたから、ここで待っていて正解だった。

十一月二十九日

で、俺に何の用だ？

十一月二十九日

お前の考えた通り、まんまと負けた俺は、もう所持者じゃねぇ。

十一月二十九日

あ、っていうか二ツ木もすでに所持者じゃねぇのか。

十一月二十九日

場外に退場した者同士ってわけだな。

二ツ木

……十一月二十九日、プレロス知ってるか？

十一月二十九日

あ、あぁ。知ってるけど。

二ツ木

あれのタッグ戦では、基本的にリングの中にいる人間しか戦うことができない。

二ツ木

でも、リング外からパイプ椅子で殴りかかったり、下手したらリング外の人間同士でやり合ったりもする。

二ツ木

そして、私達もまたリング外の人間というだけで、試合には出ているんだ。

十一月二十九日

その、二ツ木……例えがマニアックというか、ふんわりと分からない感じになってるんだが。

二ツ木

諦めたらそこで、試合終了だぞ。十一月二十九日。

二ツ木

ついて来い。

二ツ木

十一月二十九日にやって欲しいことがある。

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