ボクはキミに恋をした

応援団の応援合戦、徒競走と、 プログラムは順調に進んでいってる

そして次は、僕らの出る二人三脚

姉さんと一緒にスタート地点まで 来て、自分達の順番を待っていた

本番の今日まで、一緒に頑張って 練習してきたんだ！

とうとう僕らの順番が来て、 スタート地点に立つ

姉さんに足首で紐を結んでもらって、 肩を組んだ

実は、結び方もちょっと工夫しててね

八の字で結ぶと、紐が解けにくい上に 走りやすいんだって

姉さんがネットで見つけてきて、 僕らはその結び方で練習してきた

息を合わせるために、こんなふうに いくつか決め事もしたんだ

放送委員の人が、運営テントの 放送席で実況を始める

左のインコースの方を見てみると、 僕らの2つ隣に、96月の2人がいた

絶対勝たなきゃ、と言って、 俄然やる気が出ている姉さん

コースの内側にいる先生が、 ピストルを持って構える

パァンッ！

スタート直後、 姉さんの合図で走り出す

1、2と掛け声を合わせながら、 スピードを徐々に出していった

今は2位で、僕らの前には、 やっぱり96月の2人が

同じ白組の女子ペアが転んだのか、 少し後ろから悲鳴が聞こえた

必死に足を動かして、段々と トップの2人に近づいてくる

姉さんが前の2人を 挑発するように言った

天ちゃんの焦りも虚しく、 足がもつれてドテッと転んだ2人

そして僕らは、その横を 颯爽と抜けていく

珍しく、ニヤリと悪そうな笑みを 浮かべた姉さん

たしかに96ちゃんは、 ちょ〜っとだけ背が小さいけど……

地面を強く蹴って、 どんどん進んでいく

いつの間にか、僕らの後ろまで 追い上げてきていた

放送委員の実況と共に、 白組のテントから歓声が上がる

そう言って、姉さんがその場で 飛び跳ね……ようとした

ドテッ！

僕らの足は紐で結ばれてるから、 姉さんが跳べるはずもなく、 2人揃って転んでしまった

自分よりも先に、 僕の心配をしてくれる

ならよかった……って！？

チラッと視界に入った姉さんの膝が、 土で汚れて血も出ていた

あはは、と本人は呑気そうに 笑ってるけど、見るからに痛そう

急いで足の紐を解いて、 救護テントまで連れて行く

保健医の先生に処置をしてもらって、 膝に大きめの絆創膏を貼られた姉さん

僕も先生にお礼を言って、 白組のテントへ戻っていった