ON & ON

FUMINORI side

くだらない。

3階の教室から１階の端にある自販機まで行って5人分の飲み物を買って戻ってくるのにどれだけ急いでも10分弱はかかる。

勝ち負けのリスクを考えればこっちにメリットなんてない。

そんな勝負を受けるのなんて、

頭の悪いアイツくらいだ。

俺はアイツが好きじゃない。

教室で騒ぐクラスの一軍に属している時点で迷惑な集団のうちの一人でしかないが、それよりもあのヘラヘラ笑う姿が気に入らない。

アイツは所謂“いじられキャラ”だ。

いつも馬鹿やって笑われて 無茶振りにも全力で答えて 今みたいなただのパシリみたいな事も楽しそうに乗っかる。

いつも笑っていて、俺とは真逆の人間で、眩しくて、見ていて腹が立つ。

俺の、ただの、嫉妬だ。

その掛け声と共にアイツは走り出した。

アイツが教室を出た瞬間笑い出す一軍の奴ら。

アイツは所謂一軍で、いじられキャラ。

でも、本当は一軍にいい様に使われているだけ。

腹が立つのは、本当は、俺と同じ人種なのに無理に一軍に属しているからで.....

あの、ヘラヘラした笑顔が作られたものだというのに気づいているのに、

何もしてやれない

自分自身だ。