朧気な意識の中、目を覚ます
ミナト
無造作に並べられた机 見慣れた緑の黒板 懐かしい雰囲気の大きな掃除用具 でかでかと名前の書かれた名札
ミナト
ズキズキと痛む頭を抑えながら ゆっくりと立ち上がる
ミナト
状況が理解できず、 落ち着けないまま意味もなく部屋を歩くと 黒板横の掲示板に目が止まる
『 ████小学校からのおしらせ📢 明日から動物あいご週間がはじまります! み近な動物さんにはやさしく!🐶🐱 イベントなどにもさんかしましょう!』
ミナト
ミナト
マナ
マナ
ミナト
考えるのに集中しすぎていたあまり 後ろのドアに立つ少女に気づけずにいた。
マナ
マナ
ミナト
マナ
マナ
ミナト
マナ
マナ
彼女の言葉に俺は小さく頷き 教室を後にした。
彼女に連れてこられた先は どうやら食堂のような場所で 確かに複数人の男女が腰掛けていた。
小学校に食堂?と思ったのも束の間 そんなことよりも衝撃的な物を俺は目にすることとなる。
イービル
イービル
ミナト
イービル
イービル
俺の目には猫?のような生物が 肘をつき、足を組み、流暢に日本語を話す姿が飛び込んできた
ミナト
ミナト
イービル
イービル
何に見えるってのさ。
カナエ
レオ
トシキ
トシキ
だったら説明してくれよ。
ツムギ
ツムギ
なんで私たちを集めたの?
ツムギ
ミナト
イービル
イービル
サラ
イービル
イービル
あるゲームをしてもらう為だよ
マナ
イービル
マコト
イービル
お互いの勝利を目指すパーティゲームだよ
イービル
まて!しといてね
トシキ
イービル
イービル
ちょっとはこっちの事情も考えてよね!
ユイ
イービル
生きるか死ぬかだけど?
イービルと名乗る猫の発言に 皆は少しざわつき始める。
ユイ
ユイ
イービル
カイ
イービル
イービル
イービル
イービル
ここで色々説明してくれるよ!
イービルから配られたのは小型のスマホのようなものだった。
全員が起動を始めるのに便乗し 俺も軽く指で触れて起動させた。
セトウチ ミナト 登録完了
この端末を受け取り使用した時点で ゲームへの参加を同意したものとみなし 途中棄権などの行為は一切禁止する
ミナト
ミナト
ーーー以下 全体ルール ーーー
① 他参加者 及び 主催者である イービルに対する暴力行為を禁止禁止とします。 (人狼の襲撃時においての参加者への暴力は◎)
② 建物内の設備 及び 建物内で配られた 器物の破壊行為を禁止とします。
③ 最初に受け取った電子手帳に名前が 登録されて以降の貸与・借用・破壊を禁止とします。
④ 建物外への脱走行為を禁止とします。
⑤ 他参加者に自分の役職カードを見せる行為を禁止とします。
⑥参加者は午後16時より地下1階の 『議論室』に集まり午後19時までに 1人処刑する人間を決め、投票してください。 決められなかった場合、全員死亡します。
⑦投票で最多表を集めたものが複数人いた場合 その者達を覗いた参加者で決選投票を行ってください。決選投票でも処刑先が決まらなければ その日の処刑はありません。
ーーー村人ルールーーーー
① 村人陣営の皆さんは 夜11時から朝9時までは部屋にいてください。 この間にドアや窓を開ける行為は禁止とします。
②夜の間は必ず自分の個室での就寝を行ってください。 他参加者の個室での就寝は禁止とします。
ーーー人狼ルールーーー
①人狼は夜11時から深夜2時までの間に 誰か1人を決めて殺害してください。 殺害できなかった場合、人狼陣営の負けとします
② 夜11時前の武器庫の立ち入りを禁止とします。
ーーー以下 役職説明 ーーー
配役 村人陣営 市民 ・・・ 4人 占い師・・・ 1人 霊能者 ・・・ 1人 狩人 ・・・ 1人 遺言者・・・ 1人 人狼陣営 人狼 ・・・ 2人 狂人 ・・・1人 道化師 ・・・ 1人
市民 ・・・ なんの能力も持ちません
占い師 ・・・ 毎夜誰か1人を選び その人物が『人狼である』か『人狼でない』かを知ることができます。占いたい人物の名前を監視カメラに向かって伝えると、結果が個室のテレビに表示されます。 (狂人 ・ 道化も人狼でないと表示されます)
霊能者 ・・・ 毎夜その日処刑した人物が 『人狼である』か『人狼でない』かを知ることができます。 結果は個室のテレビに表示されます。 (狂人・道化も人狼でないと表示されます)
狩人 ・・・ 毎夜誰か1人を選び、 その人物を人狼の襲撃から守れます。 自分自身を守ることはできません。 夜に護衛対象の名前を監視カメラに向かって伝えると その人物の部屋に電子ロックがかかります。
遺言者・・・ 毎夜遺言を『残す』か『残さない』かを選択できます。能力が使えるのは一度きりで 『残す』を選択した場合、この役職を持つものが死亡した時、遺言が発表されます。
人狼 ・・・ 毎夜誰か1人を襲撃できます。 狩人によって護られている人を襲撃した場合失敗となり、 その日は誰も殺せません。仲間の人狼は役職発表と同時に教えます。
狂人・・・ 人狼が勝利した場合に勝利します。 人狼が誰かを知らず、人狼も誰が狂人か知りません。夜は村人と同じアクションを行ってください。
道化師・・・ 人狼陣営が勝利した場合勝利となります。 誰が人狼かを知らず、人狼も誰が道化師かを知りません。 自身が処刑で殺された場合にのみ1人を選んで その人物を道連れにすることができます。 夜は村人と同じアクションを行っってください。
セトウチ ミナト様の役職を開示します。
貴方の役職は
『 市民 』
です
市民陣営として勝利できるように 頑張りましょう。
ミナト
俺だけじゃない
まるで全員の顔が強ばる様子が ヒシヒシと伝わる
カナエ
カナエ
イービル
イービル
イービル
サラ
イービル
イービル
イービル
イービル
イービル
イービル
イービル
それだけ言い残し、イービルは まるで魔法のようにパチッと姿を消した。
知らない場所で「自由に動け」と言われても 全員がそんな気分になるわけがなく
俺たちはただ円を書くように座るしかなかった
そんな沈黙を破ったのはトシキさんだった。
トシキ
トシキ
トシキ
カナエ
人狼ゲームとかしらないし…。
レミ
レミ
トシキ
トシキ
トシキ
カイ
トシキ
トシキ
自分が占い師だという人間は名乗り出て欲しい。
マコト
トシキさんの言いたいことは何となく分かる。
意味もなく発言や提案している訳でなく、きちんと理論やロジックを組み立てて村人に有利な状況を作ろうとしている。
きっとこの人は味方だ。
ミナト
ユイ
ミナト
ミナト
ミナト
ツムギ
ツムギ
ユウキ
ユウキ
レミ
トシキ
トシキ
トシキ
マナ
マナ
ツムギ
レオ
ツムギ
ツムギ
レオ
ユイ
ツムギ
じゃあとりあえずは占い師だけでいいかもね。
マコト
トシキ
トシキ
トシキ
トシキ
トシキ
カウントダウンが終わり 手を挙げていたのは2人。
サラさんと、マコトさんだった。
サラ
マコト
サラ
サラ
サラ
マコト
マコト
嘘ついてるのはそっちでしょ?
ツムギ
マナ
マナ
カイ
レオ
レオ
ミナト
ミナト
サラ
マコト
カナエ
マナ
ユウキ
ユウキ
レミ
トシキ
今日は2人は様子見と行こう。
トシキ
レオ
トシキ
ミナト
トシキ
カナエ
カナエ
カイ
サラ
サラ
その後俺達は全員バラバラに 行動することとなった。
PM 13:20 大図書室
ミナト
図書室だな…。
ミナト
本を読みに来たわけではない。
ただ静かになれそうな場所といえば ここくらいしかなかったのだ。
個室にもいってみたが、窓は外から木板を打ち付けられていてとても心地いい環境ではなかった。
マナ
マナ
ミナト
マナ
ミナト
マナ
何を話せばいいのか分からず、 嫌な沈黙が続く
マナ
マナ
マナ
誰に入れるか考えましたか…?
ミナト
ミナト
マナ
マナ
ミナト
みんなマナさんと同じだと思う…。
ミナト
マナ
ミナト
ミナト
マナ
ミナト
例えば俺とマナさんがそれぞれ6票ずつで同数になる
ミナト
マナ
マナ
ミナト
ミナト
マナ
ミナト
ミナト
ミナト
マナ
マナ
ミナト
ミナト
マナ
古めかしい大きな扉を開け、 俺達は図書室を後にした。
PM 15:48
あれから2時間弱すぎた俺は 1人部屋で心中穏やかでは居られなかった。
マナさんにああいった手前 自分の作戦が上手くいくかどうか 不安で堪らなかったのだ。
ミナト
天を仰ぎ、軽く目を瞑る。
コンコン
目が覚めたら全て夢でした… なんて淡い期待を抱くのを意図も容易く打ち砕くように、部屋にはノックの音が木霊する。
ゆっくりと少しだけ扉を開けると そこにはレオくんとカナエさんが立っていた。
レオ
カナエ
ミナト
カナエ
ミナト
それよりどうしたの?
レオ
レオ
カナエ
ミナト
何気く呟いた一言に 空気が静まり、心做しか2人の表情も暗くなった気がする。
ミナト
カナエ
3人で無機質な廊下を進む
レオくんは静かなのが苦手なのか 旗またこれから起こることに対してか 少し気まずそうな表情
カナエさんもどこか神妙な表情を浮かべている
カナエ
レオ
カナエ
カナエ
カナエさんの不意の言葉に 俺とレオくんは咄嗟に顔を見合わせる
ミナト
レオ
レオ
なんかみんな怪しく見えないっていうか…。
俺たちの言葉にカナエさんは 少しだけ表情を緩める。
カナエ
カナエ
カナエ
カナエさんの言葉に俺達は小さく首を横に振る
そんな会話をしながら、気づけば 食堂に着いていた。
イービル
カイ
イービル
イービル
レミ
イービル
イービル
ユイ
イービル
イービル
イービル
イービルの案内で俺達は地下室へと到着した。
それぞれの名前が書かれた12脚の椅子が円を書くようにぐるりと置かれており
イービルの命令で俺たちはそれぞれの椅子に腰掛ける
ツムギ
イービル
ユウキ
イービル
マコト
マコト
マコトくんのその言葉に 全員の表情が少し暗くなる
イービル
イービル
マナ
イービル
イービル
イービルは俺たちと少し離れた 小さな椅子にドスンと腰かける
イービル
イービル
イービル
イービル
イービル
イービル
ミナト
イービル
マジな顔になってきたよ。
イービル
イービルはそう掛け声を放つと カツンを砂時計をひっくり返した
これから、誰かが1人死ぬかもしれない。
全員が唾を飲み、お互いがお互いの顔色を伺う
命懸けの議論が、幕を開けた。







