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朧気な意識の中、目を覚ます

ミナト

ここ…どこだ…?

無造作に並べられた机 見慣れた緑の黒板 懐かしい雰囲気の大きな掃除用具 でかでかと名前の書かれた名札

ミナト

学校か…?

ズキズキと痛む頭を抑えながら ゆっくりと立ち上がる

ミナト

でもここ…俺の通ってる学校じゃないぞ…?!

状況が理解できず、 落ち着けないまま意味もなく部屋を歩くと 黒板横の掲示板に目が止まる

『 ████小学校からのおしらせ📢 明日から動物あいご週間がはじまります! み近な動物さんにはやさしく!🐶🐱 イベントなどにもさんかしましょう!』

ミナト

小学校?!

ミナト

なんで小学校なんかに…。

マナ

マナ

あの…。

ミナト

!?

考えるのに集中しすぎていたあまり 後ろのドアに立つ少女に気づけずにいた。

マナ

脅かしてしまってごめんなさい…!

マナ

あの、貴方も連れて来られた方ですよね…?

ミナト

貴方もってことは、君も…?

マナ

はい、私の他にも大勢の方が…。

マナ

私は貴方を起こして連れてこいと言われてここに来ました

ミナト

それでわざわざ…ありがとうございます。

マナ

気にしないでください!

マナ

私が案内しますので、みなさんのところに向かいましょう。

彼女の言葉に俺は小さく頷き 教室を後にした。

彼女に連れてこられた先は どうやら食堂のような場所で 確かに複数人の男女が腰掛けていた。

小学校に食堂?と思ったのも束の間 そんなことよりも衝撃的な物を俺は目にすることとなる。

イービル

イービル

あのさぁ…君遅すぎ。

ミナト

え・・・。

イービル

えじゃないよ。

イービル

たしかに眠らせたのはボク様だけどさ、眠るにしても限度ってもんがあるでしょ?

俺の目には猫?のような生物が 肘をつき、足を組み、流暢に日本語を話す姿が飛び込んできた

ミナト

いや・・・。

ミナト

猫・・・?

イービル

はぁ?何言うかと思ったらそんなしょうもないこと?

イービル

どっからどう見ても猫だろ?
何に見えるってのさ。

カナエ

そんな格好だと誤解されて当然よ。

レオ

実際猫には見えねぇっスもんね!

トシキ

そんなことはどうでもいいんだよ。

トシキ

これで全員揃ったんだろ?
だったら説明してくれよ。

ツムギ

そうだよ!ここはどこなの?

ツムギ

あなたは一体何者なの?
なんで私たちを集めたの?

ツムギ

そもそもこれはなんの集まりなの?

ミナト

それにさっき、眠らせたのはボク様って…。

イービル

あー、うるさいなぁもう。

イービル

ボク様聖徳太子じゃないんだからいっぺんに言わないでよね。

サラ

ちゃんと説明しないからよ。

イービル

分かった分かった、説明すればいいんでしょ?

イービル

ここにキサマらを集めた理由は
あるゲームをしてもらう為だよ

マナ

ゲーム…?

イービル

そう、そのゲームの内容はズバリ『人狼ゲーム』!!

マコト

なにそれ?

イービル

簡単に言うと2チームに別れて
お互いの勝利を目指すパーティゲームだよ

イービル

詳しい説明は後でするから
まて!しといてね

トシキ

何の為に俺達にそんなゲームをさせる?

イービル

それは生き残った人だけのお楽しみだよ!

イービル

今言ったら面白くないでしょ?
ちょっとはこっちの事情も考えてよね!

ユイ

生き残ったらって・・・どういうことですか?

イービル

どうもなにもそのまんま!
生きるか死ぬかだけど?

イービルと名乗る猫の発言に 皆は少しざわつき始める。

ユイ

つまり…命懸けの人狼ゲームをさせる為に

ユイ

私たち12人を集めたということですか?

イービル

ピンポン!大正解!

カイ

命懸けって…ウソだろ?

イービル

ウソじゃないよ。ネコに二言はないよ。

イービル

てことで、さっそくゲームの説明…と行きたいところだけど

イービル

ボク様から説明してたらまたキサマらいちいち『あれは?これは?』ってうるさいからな

イービル

この電子手帳、人数分あるし
ここで色々説明してくれるよ!

イービルから配られたのは小型のスマホのようなものだった。

全員が起動を始めるのに便乗し 俺も軽く指で触れて起動させた。

セトウチ ミナト 登録完了

この端末を受け取り使用した時点で ゲームへの参加を同意したものとみなし 途中棄権などの行為は一切禁止する

ミナト

(!?)

ミナト

(勝手に登録された上に、ゲームにも強制参加させられた…。)

ーーー以下 全体ルール ーーー

① 他参加者 及び 主催者である イービルに対する暴力行為を禁止禁止とします。 (人狼の襲撃時においての参加者への暴力は◎)

② 建物内の設備 及び 建物内で配られた 器物の破壊行為を禁止とします。

③ 最初に受け取った電子手帳に名前が 登録されて以降の貸与・借用・破壊を禁止とします。

④ 建物外への脱走行為を禁止とします。

⑤ 他参加者に自分の役職カードを見せる行為を禁止とします。

⑥参加者は午後16時より地下1階の 『議論室』に集まり午後19時までに 1人処刑する人間を決め、投票してください。 決められなかった場合、全員死亡します。

⑦投票で最多表を集めたものが複数人いた場合 その者達を覗いた参加者で決選投票を行ってください。決選投票でも処刑先が決まらなければ その日の処刑はありません。

ーーー村人ルールーーーー

① 村人陣営の皆さんは 夜11時から朝9時までは部屋にいてください。 この間にドアや窓を開ける行為は禁止とします。

②夜の間は必ず自分の個室での就寝を行ってください。 他参加者の個室での就寝は禁止とします。

ーーー人狼ルールーーー

①人狼は夜11時から深夜2時までの間に 誰か1人を決めて殺害してください。 殺害できなかった場合、人狼陣営の負けとします

② 夜11時前の武器庫の立ち入りを禁止とします。

ーーー以下 役職説明 ーーー

配役 村人陣営 市民 ・・・ 4人 占い師・・・ 1人 霊能者 ・・・ 1人 狩人 ・・・ 1人 遺言者・・・ 1人 人狼陣営 人狼 ・・・ 2人 狂人 ・・・1人 道化師 ・・・ 1人

市民 ・・・ なんの能力も持ちません

占い師 ・・・ 毎夜誰か1人を選び その人物が『人狼である』か『人狼でない』かを知ることができます。占いたい人物の名前を監視カメラに向かって伝えると、結果が個室のテレビに表示されます。 (狂人 ・ 道化も人狼でないと表示されます)

霊能者 ・・・ 毎夜その日処刑した人物が 『人狼である』か『人狼でない』かを知ることができます。 結果は個室のテレビに表示されます。 (狂人・道化も人狼でないと表示されます)

狩人 ・・・ 毎夜誰か1人を選び、 その人物を人狼の襲撃から守れます。 自分自身を守ることはできません。 夜に護衛対象の名前を監視カメラに向かって伝えると その人物の部屋に電子ロックがかかります。

遺言者・・・ 毎夜遺言を『残す』か『残さない』かを選択できます。能力が使えるのは一度きりで 『残す』を選択した場合、この役職を持つものが死亡した時、遺言が発表されます。

人狼 ・・・ 毎夜誰か1人を襲撃できます。 狩人によって護られている人を襲撃した場合失敗となり、 その日は誰も殺せません。仲間の人狼は役職発表と同時に教えます。

狂人・・・ 人狼が勝利した場合に勝利します。 人狼が誰かを知らず、人狼も誰が狂人か知りません。夜は村人と同じアクションを行ってください。

道化師・・・ 人狼陣営が勝利した場合勝利となります。 誰が人狼かを知らず、人狼も誰が道化師かを知りません。 自身が処刑で殺された場合にのみ1人を選んで その人物を道連れにすることができます。 夜は村人と同じアクションを行っってください。

セトウチ ミナト様の役職を開示します。

貴方の役職は

『 市民 』

です

市民陣営として勝利できるように 頑張りましょう。

ミナト

(なんなんだよこれ…)

俺だけじゃない

まるで全員の顔が強ばる様子が ヒシヒシと伝わる

カナエ

なによこれ…。

カナエ

死亡しますとか、殺してくださいとか、嘘でしょ?

イービル

あのさぁ…キサマらしつこくない?

イービル

なんでキサマらに嘘つくために拉致なんて面倒くさいことしなきゃなんないのさ

イービル

この状況が嘘じゃないって証明だよ。

サラ

そんなに胸を張って言われても困りますけど。

イービル

あれ?そう?

イービル

ま、いっか!

イービル

ボク様はしばし休憩に入るからさ、キサマら自由に動いていいよ。

イービル

それぞれの個室を用意してるから、そこで休むもよし

イービル

建物内を探索するもよし

イービル

ルールの範囲内だったら好きにしてどーぞ!

イービル

じゃ、また後ほどね〜。

それだけ言い残し、イービルは まるで魔法のようにパチッと姿を消した。

知らない場所で「自由に動け」と言われても 全員がそんな気分になるわけがなく

俺たちはただ円を書くように座るしかなかった

そんな沈黙を破ったのはトシキさんだった。

トシキ

ちょっといいか。

トシキ

こうしていても仕方がない。

トシキ

どうするかを話し合わないか?

カナエ

どうするって言われても…。
人狼ゲームとかしらないし…。

レミ

それにあのイービルとかいう猫の言うことがマジなら、今日誰か死ぬんでしょ?

レミ

死ぬ人を今から決めましょうってこと?

トシキ

そういうことじゃない。

トシキ

いいか?さっき画面を見てたなら分かると思うが

トシキ

殆どの人間が何かしらの能力を持っているんだろう?

カイ

占い師とか、霊能者のこと?

トシキ

そうだ。

トシキ

その占い師についてなんだが、
自分が占い師だという人間は名乗り出て欲しい。

マコト

え、なんで?

トシキさんの言いたいことは何となく分かる。

意味もなく発言や提案している訳でなく、きちんと理論やロジックを組み立てて村人に有利な状況を作ろうとしている。

きっとこの人は味方だ。

ミナト

人狼達に口裏を合わせないようにするためですか?

ユイ

どういうこと?

ミナト

人狼の説明のとこに書いてあったよね?

ミナト

「仲間の人狼は役職発表と同時に教えます」って

ミナト

つまり人狼同士はもう既に誰が仲間か分かってるって状態なんだよ。

ツムギ

たしかにそれはそうなんだろうけど…。

ツムギ

それと占い師を名乗り出させるのと何か関係があるの?

ユウキ

なるほどね

ユウキ

今ここで解散したら2人の人狼はどっちが占い師として名乗り出るか相談できるってこと?

レミ

でもそれ人狼が占い師って言っても狂人や道化師が名乗り出てきたら人狼としては意味なくない?

トシキ

だからこそ今名乗り出て欲しい。

トシキ

瀬戸内くんや小川くんが言ってくれたように

トシキ

人狼陣営同士のコンタクトが取れてないなら、人狼陣営同士で被るかもしれない。

マナ

なるほど…。

マナ

それを狙うならたしかに名乗り出させるのはありですね。

ツムギ

そもそもなんでそんなにゲームに前向きなのかが分からないんだけど…。

レオ

まぁ、何よしないよりかはいいんじゃないっスか?

ツムギ

でも出させるの占い師だけでいいの?

ツムギ

霊能者も出させた方が良くない?

レオ

いきなりそんなに役職出たら頭追いつかないっスよ!

ユイ

あと遺言者や狩人もバレちゃうかも…。

ツムギ

そっか。
じゃあとりあえずは占い師だけでいいかもね。

マコト

で、いつ占い師出すの?

トシキ

今から俺が3数えるから

トシキ

数え終わったら占い師は手を挙げて欲しい。

トシキ

3

トシキ

2

トシキ

1

カウントダウンが終わり 手を挙げていたのは2人。

サラさんと、マコトさんだった。

サラ

あら、貴方もですか?

マコト

あなたもっていうか…僕が占い師だよ。

サラ

なるほど?

サラ

嘘をつくっていうことは

サラ

マコトさんは狼陣営ってことですね?

マコト

よく言うよ。

マコト

本物ですって顔してるけど
嘘ついてるのはそっちでしょ?

ツムギ

これどっちが本物なの!?

マナ

それはまだ分かりませんよ

マナ

まだ名乗り出てもらっただけですから…。

カイ

完全にああ言えばこう言う状態だな…。

レオ

うーん…これってどっちか狼陣営なら

レオ

どっちかが処刑候補ってことっスか?

ミナト

いや、それだと出てもらった意味がなくなります。

ミナト

それに2人ともまだ役職を貰っただけで一回も占い師の能力を使えてないと思いますし…。

サラ

そうですね、個室に行ってませんし

マコト

てかそもそもまだ夜迎えてすらないでしょ。

カナエ

うーん、だったら2人は処刑候補にはあげない方がいいのかも…。

マナ

そうですね…。占い師の能力は重宝しないと。

ユウキ

それにまだ霊能者が名乗り出てないから、狩人に守らせてもいい。

ユウキ

そうすれば人狼にも襲われにくくなると思うから。

レミ

たしかに1/2で失敗するなら迂闊に占い師は襲えないかもね!

トシキ

明日以降はともかく
今日は2人は様子見と行こう。

トシキ

長くなったが俺からの提案は以上だ。

レオ

トシキさんのおかげでいい基盤が作れたっスよ!

トシキ

いや、まだこれからだ。

ミナト

…?

トシキ

他に何もないなら俺は自由に動こうと思うが、君達はどうする?

カナエ

あ、じゃあ私もちょっとゆっくりしたいかも

カナエ

色々ありすぎて疲れたから…。

カイ

だな、イービルが言ってたみたいに一回みんな解散するか。

サラ

次集まるのは16時ですね。

サラ

それでは、私も失礼します。

その後俺達は全員バラバラに 行動することとなった。

PM 13:20 大図書室

ミナト

小学校とは思えないくらいの
図書室だな…。

ミナト

でも…落ち着く…。

本を読みに来たわけではない。

ただ静かになれそうな場所といえば ここくらいしかなかったのだ。

個室にもいってみたが、窓は外から木板を打ち付けられていてとても心地いい環境ではなかった。

マナ

マナ

あっ

ミナト

あ、マナさん。

マナ

ミナトさんも来てたんですね。

ミナト

うん、ここなら静かに落ち着けそうだと思って

マナ

私もです。

何を話せばいいのか分からず、 嫌な沈黙が続く

マナ

マナ

…あの

マナ

ミナトさんは…今日の投票
誰に入れるか考えましたか…?

ミナト

…いや、まだ考えてないけど

ミナト

なんで?

マナ

…私、怖いんです

マナ

誰かを殺す投票なんて…。

ミナト

…うん、俺も…というか
みんなマナさんと同じだと思う…。

ミナト

でも、投票で誰も殺さない方法だってあるよ?

マナ

…え?

ミナト

ルールでは、複数人が最多表を集めたらその人たちを除いて決選投票。

ミナト

決選投票でも票が割れれば処刑はなし、でしょ?

マナ

…はい

ミナト

俺たちは12人。
例えば俺とマナさんがそれぞれ6票ずつで同数になる

ミナト

次の決戦投票で俺とマナさんを除いた10人でそれぞれ5票に割れば俺もマナさんも死なないってこと。

マナ

たしかに、それなら処刑は対策できますね…!

マナ

あ、あと夜は狩人さんの護衛能力でなんとかできるかも?

ミナト

そう、狩人と人狼が上手いこと襲撃先を照らし合わせれば

ミナト

犠牲を出さずに済むってこと

マナ

ミナトさん、すごいです!

ミナト

そんなことないよ

ミナト

この作戦、議論の時みんなにも話したいんだ。

ミナト

マナさんにも手伝ってもらえると有難いんだけど…。

マナ

もちろんですよ!

マナ

できることならお手伝いします!

ミナト

ありがとう。

ミナト

俺は考えを改めてまとめるために1回個室に戻るけど、マナさんは?

マナ

なら私も一緒に戻ります。

古めかしい大きな扉を開け、 俺達は図書室を後にした。

PM 15:48

あれから2時間弱すぎた俺は 1人部屋で心中穏やかでは居られなかった。

マナさんにああいった手前 自分の作戦が上手くいくかどうか 不安で堪らなかったのだ。

ミナト

…いや、みんなもきっと犠牲を出さない為に協力してくれるはずだ。

天を仰ぎ、軽く目を瞑る。

コンコン

目が覚めたら全て夢でした… なんて淡い期待を抱くのを意図も容易く打ち砕くように、部屋にはノックの音が木霊する。

ゆっくりと少しだけ扉を開けると そこにはレオくんとカナエさんが立っていた。

レオ

あ、ミナトさんっスよね?

カナエ

もしかして寝てた?

ミナト

うん、ちょっと頭が痛いから…。

カナエ

え?大丈夫?ごめんね、起こしちゃって。

ミナト

気にしないでいいよ。
それよりどうしたの?

レオ

あ、もうそろ16時になるんで

レオ

イービルさんが参加者収集しろって

カナエ

それで私とレオくんはミナトくんを起こして来てほしいって頼まれたの。

ミナト

もう16時…

何気く呟いた一言に 空気が静まり、心做しか2人の表情も暗くなった気がする。

ミナト

…ごめん、行こうか。

カナエ

うん。

3人で無機質な廊下を進む

レオくんは静かなのが苦手なのか 旗またこれから起こることに対してか 少し気まずそうな表情

カナエさんもどこか神妙な表情を浮かべている

カナエ

…ねぇ

レオ

はい?

カナエ

2人はさ、私の事疑ってる?

カナエ

てか誰が狼だと思う?

カナエさんの不意の言葉に 俺とレオくんは咄嗟に顔を見合わせる

ミナト

いや…まだなんとも…

レオ

俺も全然わかんねぇっスよ

レオ

カナエさんだけじゃなくて…
なんかみんな怪しく見えないっていうか…。

俺たちの言葉にカナエさんは 少しだけ表情を緩める。

カナエ

…そっか

カナエ

そうだよね。

カナエ

ごめんね変なこと聞いて。

カナエさんの言葉に俺達は小さく首を横に振る

そんな会話をしながら、気づけば 食堂に着いていた。

イービル

キサマらやっと全員揃ったの?

カイ

また集めて今度はなんだよ。

イービル

何?って分かってるクセに

イービル

議論会場へ行く準備だよ。

レミ

何それ。ここでするんじゃないの?

イービル

おいおい、ここは神聖な食事処なんだぞ?

イービル

血なまぐさい殺し合いなんかやめてくれよ。

ユイ

…貴方がやらせてるんですけどね…?

イービル

あーうるさいうるさい!

イービル

もう、とにかく議論場へ案内するよ!

イービル

キサマら全員、イービル様の後ろに着いてこい!

イービルの案内で俺達は地下室へと到着した。

それぞれの名前が書かれた12脚の椅子が円を書くようにぐるりと置かれており

イービルの命令で俺たちはそれぞれの椅子に腰掛ける

ツムギ

やだ…何ここ、薄気味悪い…。

イービル

何ってこれからキサマらがお世話になる議論場だよ。

ユウキ

こんな所で話し合いって…。

イービル

いいだろ?いかにもって感じの場所だろ?盛り上がるだろ?

マコト

盛り上がるわけありませんよ。

マコト

これから誰か1人死ぬかもしれないんですから。

マコトくんのその言葉に 全員の表情が少し暗くなる

イービル

だからこそ盛り上がるんだよ

イービル

見てくれてるみんなもきっと誰が死ぬかワクワクしてるよ?

マナ

みんなって…?

イービル

おっとっと、こういう話はNGだね。

イービル

君たちが気にすることじゃあないよ。

イービルは俺たちと少し離れた 小さな椅子にドスンと腰かける

イービル

ゴホン…

イービル

それでは仕切り直しまして

イービル

これより第1回人狼ゲームの議論を開始してもらいまーす!

イービル

制限時間は3時間!

イービル

それまでに投票できなかったら、キサマら全員別世界行きだよ!

イービル

あ、処刑とかはキサマらに任せたりしないからそこの心配はしないでね

ミナト

(…全然嬉しくはないが…。)

イービル

いいねいいね、キサマら全員
マジな顔になってきたよ。

イービル

では、さっそく話し合いを始めてくださーい!

イービルはそう掛け声を放つと カツンを砂時計をひっくり返した

これから、誰かが1人死ぬかもしれない。

全員が唾を飲み、お互いがお互いの顔色を伺う

命懸けの議論が、幕を開けた。

人狼ゲーム - De:cide -

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