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薄暗い部屋に窓から光が差し込む。その光を手で遮りながらゆっくりと目を開けた。
まだ意識がハッキリしない状態だが周りを見ると、何年も使われていないような家具が置いてある部屋にいた。
ミズキ
たしか夢を見て、その夢の中でお爺さんの話を聞いて、それで……異世界に飛ばされたんだった。
お爺さんが最後に言っていた言葉を思い出し頭の中で「ステータス」と念じた。
すると自分の能力が頭の中に浮かんだ。
南 水木(ミナミ ミズキ) 性別:男の娘 年齢:14 魔法属性:複合魔法【全属性】
ミズキ
ミズキ
ミズキ
だが魔法の使い方なんてミズキは全く知らない。そのうち誰かに聞かなきゃと思うが、今は現状の把握が優先だと判断する。
そして僕は両手を顔の横で広げ、勢いよくそれを閉じた。
バチィン————! !
痛々しい音がなにもない室内に響く。
そして音が鳴り終わった時には僕は涙目になっていた。
ミズキ
ミズキ
自分の両頬を真っ赤に腫らし、ここは先程までいた夢の世界ではなく現実の世界であるということは理解した。
だが、夢で会ったお爺さんの言う通りであれば日本ではなく異世界ということになるのだが、周りを見渡しても放置され続けた家の一室って感じの部屋だった。
ミズキ
ミズキ
ミズキは部屋に1つしかない窓に近よると、閉まっているカーテンを掴んだ。
たしか、夢で会ったお爺さんの言っていたことが本当ならここは異世界のはず。
このカーテンの向こうには…………
僕は胸の高鳴りが抑えきれずにいた。そして好きな子から貰ったプレゼントを開けるような気持ちで勢いよくカーテンを開ける!!
ミズキ
ミズキ
だがミズキの目の前には裏路地しか写っていなかった。さっきまでの胸の高鳴りは消沈し、なんとも虚しい気持ちなる。
ミズキ
ミズキ
誰も聞いていないのに、つい口に出して愚痴ってしまう。すると、裏路地に何人かの人がやってきた。僕は急いで身を隠し、カーテンの隙間から裏路地にやってきた者たちの方を見た。
————と言うかなんで僕は隠れているんだろう
隠れている理由を考えてると、だんだん距離が近くなり男たちの野太い声が聞こえてくる。
男A
そしてその声の中からは女の子の声も聞こえてきた。
少女A
なっ!! 女の子か!! 助けて上げたいんだけど…………
ミズキは僕は喧嘩など中学生以来したことがない。魔法とやらが使えるならなんとかなるとも思ったが、その使い方もまだ知らないのだ。
それにまだこの世界のことすらも知らないのだ。そして男達は2人いる。本当にヤバそうだったら身を呈してでも助けようと心に決め、観察を続けることにした。
必死に男の手を振りほどこうとしているのは、今の僕と同い年くらいの女の子だった。カーテンの隙間からじゃ顔は分からないが、紺碧の髪の毛はまるで深い海のようで、僕はその髪に吸い込まれるように見入っていた。
少しの間見入っていると、先程男達がやってきた裏路地の入り口から誰かが走ってくる。その者は急いで追ってきたのか肩で息をしていた。
少女B
少女B
おお!! ヒーロー参上ってやつだな…………
心の中で思いながら目を凝らしてその子をみると、ミズキはあることに気付いた。
ヒーローっていうかあの外見僕じゃん!! 胸が大きくなってる!? お爺さんに見せてもらった映像じゃわからなかったが、女の子なのか!?
もう1人の自分らしき者を見て、軽いパニック状態になっていた。
一方裏路地では
助けにやってきた人物を見て、男達の中の1人が舌打ちをしながら剣を抜き、後から来た女の子に向かって構えた。 だが、その女の子は向けられた剣に臆する事なく、剣を構えている男にゆっくり近付いていく。
男A
少女B
強気でものを言い、女の子も構えるように向き合った。当然それを目にしていたミズキは、思わず突っ込んでしまう。
いやいや! 体格差ありすぎだから! 完全に勝てないでしょ!
そして男が先に動いたのだ。
男A
男は女の子との距離を一瞬でつめ、剣を振りかぶる。
スピードに反応できてないのか、女の子は構えた状態から動かない。
少女A
捕まっていた女の子が叫ぶ!
少女B
瞬間、男の身体を雷の槍が一閃した。男は膝から崩れ落ち、体をピクピク痙攣させていた。
なんだ今の!? なにもない所から急に雷が発生したぞ!! …………あれが魔法なのか?
男B
仲間がやられて残った男が怒り狂い、掴んでいた女の子を引き寄せ首に刃物を当てる。
男B
その行動に、エスティは芋虫をかみつぶしたかのように顔を歪めた。
少女B
これってまずい状況だよね…… 隙があればあのエスティって子ならなんとかできるような気がするけど、どうやって隙をつくれば…………叫んでみるとか?
——いや、ダメだ。そんなことをすれば僕のことがバレてしまう! あー、いい方法がない!
確かに僕が叫べは一瞬の隙など簡単に作れるが、この世界のことが全くわからない状態で面倒ごとに巻き込まれてしまうなどまっぴらゴメンだ。
そして、思考をフルに回転させていると、ミズキはあることを思い出す。
確かステータスを確認した時、全属性の魔法が使えるとなっていたはず、それならさっきの魔法も使えるんじゃないか?
ミズキは窓から少し離れ、大きく深呼吸する。目を閉じながら、先ほど見た魔法を強くイメージをした。すると、自分の体内で何かが流れているのを感じる。
次の瞬間、バリバリと音を立てながら雷の槍が出現し、窓の外に向かって一閃する。
ミズキ
発生した魔法の反動で吹き飛ばされたのだ。部屋の壁に激突したミズキはうずくまっていた。
ミズキ
ミズキ
ミズキ
ミズキ
ミズキは急いで窓に近づき、外の様子を確認する
ミズキ
ミズキ
そう、ミズキが再び外を確認するとそこには既に女の子は助けられていて、男が数十メートル先の壁にもたれかかるように倒れていたのだ。
その光景を見ながら呆けていると、彼女達がこちらを振り向いてきた
ミズキ
ミズキ
少ししてから、そぉっと外を見ると、既に彼女達は裏路地から姿を消していたのだ。そしてミズキはバレなかったことに安堵の息を漏らしていた
それにしても魔法って凄いな…………全属性か、そのうち確認してみようかな
考え事をしていたミズキは一気に気が抜けたのか、すごい眠気に襲われていた
ミズキ
ミズキ
そして、そのまま意識を手放すのであった