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名前の無い殺人鬼

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名前の無い殺人鬼

4 - 【読切】#月が綺麗ですね

♥

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2020年09月07日

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SNSで知り合った彼は

背が高くて

顔が小さくて

愛想も良く

知的な雰囲気がした

顔だって悪くない

それなのに

恋人はいないという

どうして恋人がいないんですか?

その気になれば作れそうなのに

不躾な質問だったけれど

彼は乾いた笑みをこぼし

うーん…何でですかね?

そう言って首を傾げた

私の性格に問題があるもかもしれません

えーそんな風には見えませんけど

なんて言って笑い飛ばし

空を見上げる

彼もつられて空を見る

「月が…綺麗ですね…」

知らない人が聞けば

月を誉めただけの言葉

でも、

知っている人が聞けばそれは……

「私の夜空は真っ暗です」

え…

私が驚いて彼を見ると

彼はまだ空を見上げていた

それは

「断り」を意味する言葉

そ、そうですか…

ここまで良い雰囲気だったのに

なんだか拍子抜けだ

でも…

え?

「明日の月は綺麗でしょうね…」

彼はそう言って

笑った。

!!!

背筋がゾワリとした

それ…

おや?

意味をご存知でしたか?

笑う彼が怖かった。

ポケットに入れていた手が動くのを見て

私は咄嗟に逃げ出した。

(逃げなきゃ!)

(ヤバい!!)

走って

走って

つまずいて転んで

振り返った私が見たのは

ナイフを持って

追いかけてくる彼の姿

「明日の月は綺麗でしょうね…」

それは…

いや…

来ないで!

来ないで!!!

殺害予告の言葉…

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