SNSで知り合った彼は
背が高くて
顔が小さくて
愛想も良く
知的な雰囲気がした
顔だって悪くない
それなのに
恋人はいないという
不躾な質問だったけれど
彼は乾いた笑みをこぼし
そう言って首を傾げた
なんて言って笑い飛ばし
空を見上げる
彼もつられて空を見る
知らない人が聞けば
月を誉めただけの言葉
でも、
知っている人が聞けばそれは……
私が驚いて彼を見ると
彼はまだ空を見上げていた
それは
「断り」を意味する言葉
ここまで良い雰囲気だったのに
なんだか拍子抜けだ
彼はそう言って
笑った。
背筋がゾワリとした
笑う彼が怖かった。
ポケットに入れていた手が動くのを見て
私は咄嗟に逃げ出した。
走って
走って
つまずいて転んで
振り返った私が見たのは
ナイフを持って
追いかけてくる彼の姿
「明日の月は綺麗でしょうね…」
それは…
殺害予告の言葉…
コメント
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