――さん
―ンナさん
杏奈
杏奈
杏奈
一度顔を洗いに行っては?
杏奈
先生
バタン
杏奈
杏奈
廊下に出た私はその塾に似合わない重い、重い溜息をついた。
私、どうしてここに居るんだっけ。
ここは全国でも有名な進学塾「煌樹」 小学校受験を主とした塾で、より勉学に励むために、と、親が希望する場合のみだが寮もありそれこそ一日中… ちょっとした森の中だから静かで良いけれど。
まぁでも、そこまで辛くは無い。 ここは「小学校受験」を主としているからだ。
第三次ベビーブームが起きたからか、 小学校側はなるだけ『特別な』生徒を取りたがる。
だから、その『特別』になる為に 工作や科学の実験…沢山の『初めて』に触れる事で私達の才能を引き出すのだ。
だから楽しい…けれど…
もうすぐその『本番』がある。
だからか、みんなピリピリして、先生や、偶に訪れる母のプレッシャーで押しつぶされそう。
あーあ…
私、かの『少子化だ』なんて言われてた時代に産まれたかったや。
そうしたら、子どもが少な過ぎて沢山取ってくれるだろうし。
いやでも… そうしたら不便か!
…そんな事考えてたらなんかどうでも良くなってきた。
杏奈
ネガティブな事考えてた気がするけれど、今更そんな事気にしてたって、ね!
先生
やっと戻ってきましたね。
杏奈
少し眠かっただけだったみたいです!
先生
少し暗い顔をしていたから先生心配していたのですよ?
杏奈
私は明るく元気なのが取り柄だからです!
先生
杏奈
ご、あ、すみません!
先生
では、杏奈さん、今日は工作の日なので一度席に付いて貰っても?
杏奈
先生
杏奈
先生
杏奈
先生
杏奈
先生
今日は『ピタゴラスイッチ』です。
そこの長机にあるものを使ってなるべく複雑なものを作って下さい。
自分には難しい作業だな、と感じたら大人に言ってください。いいですね?
杏奈
もう作っても?
先生
今日って工作の日だったんだ。
じゃあ外に遊びには行けなそうだなぁ…
工作の日…と言うか殆ど全てに当てはまるけど、こういった課題は時間制限が無い。…いや一応明日までだけど。
だから好きなタイミングで先生に出していいのだけれど…
その先生が一回目でOKはまずしない
だから朝課題開始しても完成は夕方…とかはザラだ
杏奈
私が一番好きな課題!
長机には大きな板、竹、あとガチャのカプセルに、箸置き、ビニール袋に… どうしよう…沢山あって選べない。
今回はビー玉を籠に入れたらゴールだから…
杏奈
だって竹は割ったら安定した道になるしね!
杏奈
あとは…
杏奈
とりあえず持って帰って土台作ろうっと
杏奈
玲香
先生が居るから…
杏奈
ありがとう玲香さん。
ここでは原則敬語。 でもそれじゃ色々面倒だから先生がいる時だけでもそうするんだったね
玲香
杏奈
とりあえず土台を、と思い竹とダンボールを持ってきてみました。
玲香
玲香
杏奈
なら急いでグループと合流を…
すみません、失礼しますね。
玲香
杏奈
うわぁー! 先生!私のグループの人なら絶対もう移動してるしアイディアもまとまって制作取り掛かってるよ!もう!!
杏奈
先生に見つかったら絶対怒られるけどこれは緊急事態なんだっ!許して!
どこかな?図工室?それとも模様とか貼るためにPC室?
杏奈
誰だこんな所に箱なんか置いたやつ!
杏奈
そんな事考える暇があったら普通に止まれば良かったのだろうけど私はそこまで頭が働かずそのまま
転んだ
…?なんでココに銀生が…?
杏奈
だってココ檜(ひのき)使ってるし。
杏奈
杏奈
寮生ではない…ですよね?
先程も言ったが、この塾には二種類の生徒が居る。
一つが私達のような寮生。 この塾には学校のような制服があるのだが、その制服の襟に金と青のストライプが入ったリボンを付けている。
そしてもう一つが本校生。 こちらは銀と赤のストライプ。
名前的には本校生の方が偉そうだけれど、寮生は入塾テストで上位20名に入れた者のみしか入れない。
だから私達は裏で 私達は金 本校生を銀 そう表していた。 …どこかもどんな所かも知らないけれど銅なんかもあるみたい。
数年に1名程度で寮に入らない選択をした生徒もいたそうだがそれはそれで「学習意欲のない怠け者」として見下していた。
実際用事で向こうの校舎に行った時も授業中なのにお喋りをしていたりと不真面目な生徒が多かった訳だし。 …まぁ周りに喫茶店とかあってキラキラしていて…少し羨ましかったけど。
杏奈
杏奈
杏奈
杏奈
杏奈
優斗
また、あったらもっと話そうね!じゃあ!
杏奈
私は足早にその場を立ち去った。
ガラッ
杏奈
慎二
杏奈
紗良
杏奈
紗良
杏奈
杏奈
蒼
杏奈
慎二
杏奈
紗良
杏奈
蒼
杏奈
ボーン…ボーン…
杏奈
蒼
杏奈
慎二
杏奈
紗良
杏奈
紗良
まぁ…皮肉のつもりかしら?
蒼
慎二
俺があそこに行ってたら必死に勉強して繰り上がりするわ!
杏奈
咲
杏奈
だって相当頑張らないと…
蒼
咲
杏奈
先生
先生
杏奈
紗良
杏奈
先生
咲
先生
慎二
慎二
ミニバケツが裏にあって最初スタートする時の門を開けたら水が出るようにしました!
慎二
先生
個人戦の時の足の引っ張り合いが嘘の様です。
杏奈
紗良
私がお手伝いから帰ってきた際に偶然同じ様な設計図があって、偶然私が計算を間違えて設計図に記入しただけです。
咲
偶然私が筆を落としてしまって、隣の方の絵に絵の具がかかってしまった!それだけです。
蒼
皆さんの言う通り僕達は偶然失敗した事柄が周りに迷惑をかけてしまう事になってしまっただけであって…
先生
皆さん大人びた方だと思っていたのですが、そこはまだ五歳の子どもなのですね。安心しました。
杏奈
咲
杏奈
先生
杏奈
先生
先生
杏奈