珈琲の香り。
かをり
どうしたの?
かをり
急に呼び出して
優馬
ああ
優馬
ごめんごめん
優馬
座って?
かをり
...ええ
何故か君のその表情から
嫌な予感がするのは
気のせい?
優馬
なんか頼もっか
かをり
え、いいの?
優馬
ああ
優馬
...最後だからな
かをり
え?
優馬
優馬
ああ
優馬
なんでも...ない
かをり
...そう
はっきり聞こえた
「最後」っていう単語が
カフェの人
ご注文は?
優馬
あ、ブラックコーヒー1つと
優馬
優馬
かをりは何にする?
かをり
エスプレッソがいいな
優馬
じゃあエスプレッソを1つ
カフェの人
かしこまりました
カフェの人
少々お待ちください
優馬
最近どう?
かをり
なにが?
優馬
仕事とかいろいろ(笑)
かをり
...上手くいってるよ
優馬
そう?
かをり
うん(笑)
優馬
それならよかった(笑)
彼は優馬
もうすぐ付き合って3年になる
でも何故か嫌な予感がする
かをり
(考えすぎかな)
なんて思い込むしか今は 出来なかった
カフェの人
お待たせしました
カフェの人
ブラックコーヒーと
カフェの人
エスプレッソです
カフェの人
カフェの人
ごゆっくり─
かをり
ありがとうございますっ
「いただきます」
かをり
ふふ...
優馬
はは...w
そう2人でいいながら
仲良く珈琲を飲む
こんな時間がいつまでも
続きますように_
優馬
あのさ
優馬
話したいことがあるんだけど...
かをり
なに?
ものすごく嫌な予感がする...
優馬
あのさ...
この後の言葉を聞いたら
もうこのように珈琲を飲むことが
出来なくなるんじゃないか─?
優馬
終わりにしよう...
そう思った頃には遅かった
かをり
かをり
な...んで...
かをり
私...何かした...?
優馬
ごめん
優馬
俺の事情なんだ
優馬
優馬
これカフェ代
優馬
じゃあ...さようなら
かをり
優馬─っ...
カランカラン...
かをり
なんでよ...っ...
店内は静けさで包まれ
寂しげな音が響いていた
かをり
...うう......
泣きながら君と頼んだ
"エスプレッソ"を飲む
今の私には甘いとか苦いとか
そんなことわからなかった
ただ辺りには
私のではない
苦い珈琲の香りが
残ったままだった
いつかこの珈琲の香りも消える
私の失恋と一緒に。







