TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

お風呂あがりに気がついた。

私の手首から『何か』が生えている。

淡いピンクでハート型、少ししっとりとしている。

これは、桜の花びらだ。

お母さん、これ、みて

お母さん

ん?どうしたの?

体から、桜、が

お母さん

……あぁ、あなたももうそんな年頃なのね…

お母さん

…それは放っておいても大丈夫、お母さんも若い頃なったから知ってるわ。

これ、何?

お母さん

それは『恋の花びら』よ

恋?

お母さん

お母さんも、そのまたお母さんもそう。皆年頃になると体から桜の花びらが生えてくるの。ウチはそういう家系みたい。

お母さん

大丈夫!運命の人と出会えたら剥がれてなくなるわ。

お母さんは出会えたの?その『運命の人』

お母さん

それは…

お父さん

それは父さんだよ

お父さん

父さんと母さんは運命で結ばれていたんだ。

お母さん

まぁ、お父さんったら!

幾つになってもお熱いことで。

れんげ

花!おはよう!

おはようれんげ

れんげとは『名前が花』繋がりで仲良くなった。

しょっちゅう遊びに行ったりする仲だ。

…れんげになら、花びらについて相談してもいいかもしれない。

……ねぇ、れんげ

これ、見て

れんげ

なになに?

れんげ

れんげ

手首から…桜?

れんげ

絵じゃ…ないね。

お母さんが言うには『運命の人』と触れ合えば治るんだって

れんげ

手を繋ぐとかでもいいのかな?

たぶんね〜。

れんげ

わ〜!ロマンチック〜!

でもこれ目立っちゃうし〜…

れんげ

あっ、じゃあさ、探そうよ!その『運命の人』!

れんげ

案外近くにいたりして!

まっさか〜!

れんげ

てゆうか見たい!花の運命の人!

れんげ、アンタ楽しんでるでしょ(笑)

???

???

あれは…花?

れんげ

ねぇ、『運命の人』の話だけど

れんげ

花はどんな人が理想なの?

う〜ん……

やっぱりカッコイイ人がいいけど「理想」って言われるとモヤッとするなぁ…

れんげ

カッコイイ人ね、

れんげ

じゃあ樹君とかは?

樹君?うちのクラスにいるの?

れんげ

え?

れんげ

同中でしょ?

え…?!

れんげ

幼稚園から一緒で弟みたいだって言ってたじゃない

言った…っけ?

ッ…!

幼なじみの樹君?について 考えたとたん、手首に痛みが走った。

思わず見ると、桜が少しだけ浮いていた。

これって……!!

「樹君」が私の運命の人?

やっぱりあれは花だ。

距離はあったけど、間違いない。

幼稚園からの幼なじみを見間違う俺ではない。

でも、それはありえないんだ。

だって、花は、去年、

死んだ…はずだから。

その日、私とれんげはテラーナルド に来ていた。

私が「樹君」について覚えていない理由を解明するために。

れんげ

しつこいようだけど、ほんっとに覚えてないんだね?!

うん…

中学校の思い出はあるけど、「樹君」なんていないと思うよ。

れんげ

アルバムは?

なくした。ていうかお父さんが落としてきた。

れんげ

何やっとんねんお父さん!

なぁ、その声、花…だよな?

え…?(誰…?)

れんげ

おや樹くんいいところに!

れんげ

おや、私はこれから急病の母を見舞いに行かなくては!

れんげ

2人で公園に行ってきなよ!今は桜がキレイだよ〜

え!ちょっとれんげ!!

れんげ

ホラホラ〜行っといで行っといで!

え、え?ちょっと志摩さん?

…………

…………………………………

気まずい…。正直喋ることが無い…。

桜、キレイだな。

えっ、あ、そ、そうだね…。

……なぁ、

お前は「花」なのか?

え…?

樹君、いきなりどうしたの?

……花は俺の事は「樹」って呼んだ。

それに花は……

風が吹く。桜が揺れる。

去年事故で死んだはずなんだ。

や、やめてよ冗談でしょ?私今生きてるよ?

冗談はそっちだ。俺は確かに見た!

桜の下に…花が埋められた所を……

そ、そんなはずない!私は、今ここでこうして立ってる!

手!繋いで!触れるでしょ?

確かに、その手に触れた。

一瞬だけだった

触れたら壊れてしまった。

触れた端から崩れてしまった。

(…何が?何が崩れた?)

花がいた場所には大量の桜。

花は桜になった。

そんなことしか、思えなかった。

お母さん

……結局、また失ってしまったのね…

お父さん

……花の命は短いと、初めから決まっていたのかもな…

お母さん

やっぱり夢物語なのね…

お母さん

亡骸を桜の下に埋めて、降ってきた花びらで体を作るなんて……

お母さん

それを器に死者が蘇るなんて…

お父さん

愛しい人への想いで甦り、その愛しさは記憶になく、愛しい人に触れればまた喪われる…

お父さん

“あのひと”はそういったよな

お父さん

『可哀想な運命だ』と…。

これは悲しい悲しい桜の花の物語。

輪の上で踊る僕ら

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

1

ユーザー

最後のお父さんの台詞について、書いた本人が???ってなったので、整理~ 主人公 花は中3の時事故で亡くなり、悲しんだ両親が何者かと取引をしたことで甦った。 それには制約があり、花は恋心を代償に甦ったので、樹に対しての恋心を記憶ごと失っている。両親が取引した相手は用心深く、花が樹と触れ合えば恋心を取り戻すかもしれないと危惧し、花を死者に戻した。 命と恋心の等価交換ということです。(たぶん)

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚