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多良木音弥

莉子さん!大丈──

卯木莉子

音弥くん!

音弥がドアを開けると 全裸の莉子が抱きついてくる

多良木音弥

ちょ!莉子さん?

多良木音弥

何で裸なの?

音弥は莉子が裸だと言う事に 若干戸惑っているようで 顔を赤くしいる

卯木莉子

お母さんから
脱がされちゃって

卯木莉子

罰だからって・・

多良木音弥

しかもこの傷は何?

莉子の二の腕には切り傷があり 鮮血が溢れ出ていた

卯木莉子

お母さんに・・・

卯木莉子

包丁で・・・

多良木音弥

え!?お母さんに?

近隣住民

とりあえず
莉子ちゃんに服を
着せてあげましょう

近隣住民

そうよ!このままじゃ
莉子ちゃんが可哀想よ

多良木音弥

そ、そうですね・・・

多良木音弥

莉子さん!とりあえず

多良木音弥

なんか服着ようよ!ね?

多良木音弥

それからこんな家
さっさと逃げよう

卯木莉子

音弥くん・・・

卯木莉子

ありがとう・・・

音弥は莉子に服を着せて 外に出る

多良木音弥

莉子さんはとりあえず
俺の家に連れて行きます

多良木音弥

こんな家・・・

多良木音弥

今すぐ離れた方がいい

近隣住民

うん!それがいいわ!

近隣住民

あと警察にも
通報しといたから!

卯木莉子

け、警察!?

近隣住民

今さら何驚いてるの

近隣住民

これは立派な
傷害なんだから!

卯木莉子

そう・・ですよね

多良木音弥

なら俺たちは行きますので

近隣住民

莉子ちゃんを
お願いね?

多良木音弥

はい!

多良木音弥

今日は色々と
助かりました!

多良木音弥

ありがとうございます

音弥と莉子は深々と頭を下げると 足早にその場を立ち去る

近隣住民

莉子ちゃんにも

近隣住民

あんな頼れる
彼氏が居たのね

近隣住民

ほんとね!

近隣住民は立ち去る2人の後ろ姿を 暖かな眼差しで見つめる

多良木音弥

よし・・こんなもんかな

音弥は莉子の腕に 包帯を巻いて応急処置をする

卯木莉子

ありがとう・・

多良木音弥

でもこのレベルの傷だと

多良木音弥

縫わなきゃ
塞がらないだろうから

多良木音弥

明日一緒に病院行こ?

卯木莉子

なんか・・ごめんね

卯木莉子

色々迷惑かけちゃって

多良木音弥

何言ってんの!

多良木音弥

迷惑なんて思ってないよ

多良木音弥

彼女を助けるのは
彼氏とし当たり前でしょ?

音弥は莉子の頭を優しく撫でる

卯木莉子

う゛ん゛・・・

卯木莉子

ぐすっ・・・

多良木音弥

でもさ?

多良木音弥

本当なの?

多良木音弥

実のお母さんが
こんな事したなんて

卯木莉子

う、うん・・・

多良木音弥

まじかよ・・・

卯木莉子

私が悪いから・・・

卯木莉子

お母さんの事
裏切ったから

多良木音弥

いや何があったにせよ

多良木音弥

実の娘を裸にして
監禁するなんて
絶対間違ってる!

多良木音弥

おまけに包丁で
切り付けるなんて!

卯木莉子

・・・・・

多良木音弥

辛いかもしれないけど

多良木音弥

詳しく話を聞かせて
くれないかな?

多良木音弥

何であんな事に
なったのか

卯木莉子

わ、わかった・・・

莉子はゆっくりと口を開き 事情を説明する

卯木莉子

私ね・・お母さんと
ある約束をしてたの

多良木音弥

約束?

多良木音弥

それって莉子さんが
破ったっていう?

卯木莉子

うん・・・

多良木音弥

どんな約束なの?

卯木莉子

外食をしない

卯木莉子

お母さんが作った
料理だけを食べる

卯木莉子

そういう約束

多良木音弥

なんか変な約束だね

多良木音弥

まぁ、でもその約束なら

多良木音弥

確かに莉子さんは
破ってるよね

多良木音弥

俺が莉子さんを
初めて見かけたのも
定食屋だったし

多良木音弥

でも、だからって
あんな事するかな?

卯木莉子

お母さんも
昔はあんなじゃ
無かったんだよね

多良木音弥

そうなの?

卯木莉子

特にお母さんは
家族で外食するのが
好きでね

卯木莉子

昔はよく
お父さんとお母さん

卯木莉子

それから私の3人で
外食に行ってたんだ

多良木音弥

今とは真逆だね

多良木音弥

でもそんなお母さんが

多良木音弥

何で極端な
外食嫌いになったの?

卯木莉子

外食が嫌いって言うより

卯木莉子

私が外食に行く事を
恐れてるんだと思う

多良木音弥

恐れてる?なんで?

多良木音弥

だって只の外食でしょ?

卯木莉子

お父さんの不倫が
原因なんだと思う

多良木音弥

不倫?

卯木莉子

その不倫相手がね

卯木莉子

よく行くレストランの
店員さんだったの

多良木音弥

なるほど・・・

卯木莉子

それからしばらくして
2人は離婚したんだけど

卯木莉子

その頃からなの

卯木莉子

お母さんが今みたいに
外食するな!って
言い出したのは

多良木音弥

外食に行くと
お父さんの時みたいに

多良木音弥

今度は莉子さんが
お母さんの元から
離れて行くかもしれない

多良木音弥

それを恐れるあまりに

多良木音弥

莉子さんに外食に
行かないよう

多良木音弥

自分の側に縛り
付けてるって感じ?

卯木莉子

うん・・多分
そうだと思う

多良木音弥

多分?

卯木莉子

お母さんも全部を
私に説明してくれてた
訳じゃ無いから

卯木莉子

断言はできないけど

卯木莉子

お母さんの言葉からして
そうだと思う

多良木音弥

お母さんの
言葉って?

卯木莉子

お母さんがいつも
言ってたの

卯木莉子

莉子は私にとって
たった1人の
家族だから

卯木莉子

私の元から
離れていかないでって

多良木音弥

なるほどね・・・

多良木音弥

でもさ・・・

卯木莉子

ん?

多良木音弥

お母さんの事は分かった

多良木音弥

でもさ・・・
莉子さんのは

多良木音弥

やっぱそのストレスが
原因なのかな?

卯木莉子

私の?

多良木音弥

莉子さんの・・その

多良木音弥

か、過食嘔吐・・・

卯木莉子

!!!!!!

音弥の言葉を聞いた莉子は 目を見開いて驚く

卯木莉子

か、かしょく?

卯木莉子

な、なんの話?

多良木音弥

それ・・・

音弥は莉子の手を指差す

卯木莉子

ん?私の手?

多良木音弥

その指の付け根のキズ

多良木音弥

それって吐きダコ
って言うんだよね?

卯木莉子

あっ!!!

卯木莉子

こ、これは・・・

莉子は焦った様子で 吐きダコをもう片方の手で隠す

多良木音弥

莉子さんがさ・・・

多良木音弥

この前ウチで食事した後
トイレに行ったでしょ?

卯木莉子

・・・・・・

多良木音弥

それからの莉子さん

多良木音弥

なんか元気が
無かったからさ

多良木音弥

野暮だとは思ったけど
気になって調べたんだ

卯木莉子

・・・・・

多良木音弥

でも俺はそれを
責めるつもりは

卯木莉子

ごめんなさい!

莉子は音弥の言葉を 遮るように頭を下げる

多良木音弥

ちょ!莉子さん!

多良木音弥

俺は別に莉子さんを──

卯木莉子

音弥くんの言う通り

卯木莉子

私は過食嘔吐なの・・

多良木音弥

・・・・・

卯木莉子

最初はね?

卯木莉子

お母さんの目を盗んで
買い食いをしたのが
はじまりだったの

多良木音弥

・・・・・

卯木莉子

ウチのお母さんね

卯木莉子

ホテルの清掃の
仕事をしてて

卯木莉子

週に2日だけ

卯木莉子

県外のホテルに
泊まり込みで
仕事に行ってるの

卯木莉子

その日だけ
お母さんに内緒で
外食に行ってたの

多良木音弥

だから週に
2回だけしか

多良木音弥

大食い出来ない
って言ってたのか

卯木莉子

うん・・・

卯木莉子

でも最初の頃は
少し食べる程度だったの

卯木莉子

でもそれを
続けて行くうちに

卯木莉子

実は自分が人より
たくさん食べれるんだ
って事に気づいたの

多良木音弥

・・・・・

卯木莉子

それからは
音弥くんも知ってる通り

卯木莉子

制限なく
食べるようになって

卯木莉子

そしたらある時に
お母さんから言われたの

多良木音弥

なんて言われたの?

卯木莉子

最近太って来たねって

多良木音弥

なるほど・・・

多良木音弥

お母さんの手料理だけ
食べてるんなら
太るはずが無い

多良木音弥

そうなったら
いずれ外食がバレる

卯木莉子

そう・・・

卯木莉子

それが怖くて
食べ終わった後に
吐くようになったの

卯木莉子

でもそれをやったら
癖になっちゃって

卯木莉子

バレたらどうしよう

卯木莉子

お母さんに怒られる

卯木莉子

そう考えると
吐かなきゃ!

卯木莉子

って気持ちになって

卯木莉子

抜け出せなくなったの

多良木音弥

そういう事か・・・

卯木莉子

ごめん・・・

卯木莉子

この前だって

卯木莉子

せっかく音弥くんが
手料理を振る舞って
くれたのに・・

卯木莉子

私・・・
全部吐いちゃって

卯木莉子

本当に・・・

卯木莉子

本当にごめんなさい

莉子は涙を流しながら頭を下げる

そんな莉子を音弥は優しく抱きしめる

多良木音弥

俺・・怒って
なんかないよ?

卯木莉子

え?

卯木莉子

で、でも私・・・

多良木音弥

俺なりに過食嘔吐に
ついて調べて見たんだ

多良木音弥

過食嘔吐は
ストレスが原因で
なる事が多くて

多良木音弥

それで悩んでる人も
大勢居るって・・・

卯木莉子

音弥くん・・・

多良木音弥

一人で抱え込んで

多良木音弥

辛かったよね?

音弥は莉子の頭を優しく撫でる

卯木莉子

ぐすっ・・・

多良木音弥

俺こそごめんね?

多良木音弥

事情を知らずに
手料理だなんて

卯木莉子

なに音弥くんが
謝ってんの!

卯木莉子

私・・嬉しかったよ?

卯木莉子

私なんかのために
手料理を・・・

多良木音弥

でもさ?調べたけど

多良木音弥

実際に過食嘔吐を
克服した人も居るんだよ

多良木音弥

俺さ・・協力するよ!

卯木莉子

音弥くん・・・

多良木音弥

莉子さんが
吐かなくてもいいように

多良木音弥

俺に手伝える事があるなら
何だってやるからさ!

多良木音弥

だから謝らないで?

卯木莉子

音弥くん・・・

卯木莉子

ありがとう・・・

莉子は音弥の胸に顔をうずめて 声を殺して泣く

大食いの彼女には秘密がある

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