あるところに
ミランといううつくしい
おうじょさまがいました 。
そのおうじょさまには
エレンというおうじさまがいます。
ふたりはあいしあっていました。
ふたりはけっこんし
ふたりにこどもができたとき
とても、よろこびました。
いつしかとしをとり
ねたきりになってしまったおうじょさま。
おうじさまもげんきをなくし
だんだんやつれてしまい
おうじさまはしんでしまいました。
かなしかったおうじょさま。
たくさんないて
おうじょさまもげんきをなくしてしまいました
てんごくでまたむすばれよう
そういっておうじょさまは
しずかにめをとじました
そのめはもうにどと
ひらくことはなかったのです。
真弓
おしまい……
真弓
(私が幼稚園のときによんでいた絵本)
真弓
(本棚の整理をしていたら)
真弓
(落ちてきた)
真弓
なんと、まぁ……
真弓
幼稚園児がこんなものをみていたもんね
真弓
真弓
ん…電話だ
真弓
もしもし?
真弓
お母さん?
加奈子
真弓!
加奈子
お、お父さんが…
加奈子
事故で…っ
真弓
お父さん…が?
真弓
どうして……?
加奈子
大木病院にいるから…早く!
真弓
わ、わかった!
真弓
嘘よね……
真弓
……
真弓
お父さん………!
お父さん……
お父さん…
お父さん!!
真弓
お父さん!!!
加奈子
ま、ゆみ…
加奈子
お父さんは………もう
真弓
………ぇ
真弓
お父さん…
真弓
お父さん…
その数週間後
お母さんも、病気をわずらい
後を追うように逝った
真弓
なんで?
真弓
どうして?
バサバサッ
真弓
いったぁ~……ん?
真弓
これって…絵本?
真弓
前の続き?
真弓
(興味本位だった)
ペラッ
こどもはひとりになった
真弓
っ……
真弓
(なぜかその言葉が痛いくらい刺さる)
ないてもないても
だれも、いない。
ひとりでなくばかり 。
なきはらしたころ
こどもは
真弓
この絵って
真弓
わ、私?
こどもは
真弓
なに、これ
真弓
怖い……怖い………
こどもは
真弓
(怖い……!)
真弓
(ページをめくる手が震える)
真弓
(こどもって、私のこと!?)
真弓
(じゃあ、お父さんとお母さんも…)
真弓
この絵本のとおりに…
ペラッ………
真弓
!!
真弓
か、か…ってに…!
真弓
本が
真弓
あ、あぁ……
真弓
見たくない見たくない見たくない
真弓
い、
しんだ
だれも、ほんとうのしあわせには なれませんでした
ほんとうの…しあわせには…
おしまい