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真っ暗な闇

右も左も、前も後ろも

上も下も、全てが暗闇

自分がどこに立っているのかも

そもそも立っているのかも分からない

エリック

わー...

エリック

ど、何処なんだろ〜なぁ...

本を開く前はあんなに楽しみだったのに

摩訶不思議な事が自分の身に降り掛かると、こうも不安で怖くなるものなのか

僕はそろりと手を伸ばし、何かしら触れられる物がないか探った

エリック

あの〜

エリック

誰か...

エリック

ダラー?

エリック

ひょんっ!?

確かに触れた

何か柔らかい物が確かにこの手に触れた

エリック

なっ、なになになに...

エリック

し、失礼しまぁ〜す...

その存在を明らかにする為、僕はもう一度手を伸ばす

指先に触れ、少し躊躇うも今度はしっかりとこの手に納めた

エリック

柔らかい...けど

エリック

少し硬い?

エリック

それにしても、触り心地が良いなぁ

触れて害の無い物だと判明すると

その触り心地の良さを遠慮無く堪能する

はしたなく手を動かしていると、どこからか音が聞こえてきた

ぁ...め...

エリック

や......ぉ

エリック

声?

や、め...

エリック

...ラーメン?

ダラ

止めろっつってんだろーが!!

エリック

わああああっ!?

柔らかい何かが手から離れ、代わりに硬い何かで手を叩かれた

ハッキリと聞こえたその声は、間違い無くダラだ

また、ダラだ

エリック

ダラ!?

エリック

君なの!?

ダラ

うるせぇ、落ち着け

ダラ

お前は無事なのか?

エリック

僕は何ともないよ!

エリック

ダラこそ、無事?

ダラ

あぁ

見えない向こう側で、ダラが動いているのが感覚で分かる

が、どこに居て何をしてるのかは全然分からない

ワタワタと手を動かすも、先程の感触には出会えずに空を切るばかりだった

物語的にもそろそろこの暗闇を脱したいのだが、出口が全く見えてこない

ダラ

エリック、お前何処に居るんだ?

エリック

声は近いけど...

ダラ

さっき俺のケ...

エリック

ダラ?

ダラ

いや、何でもない

ダラは何かを言いかけて言葉を詰まらせた

少しして、近くでカツンカツンと音がする

それがダラの靴音だと理解したのは、ダラの声が遠ざかって行ったから

ダラ

歩きゃどっかに辿り着くだろ

エリック

あ、待ってダラ!

エリック

置いていかないでよ!

ダラ

何?

ダラ

また泣いてんの?

エリック

だっ!

エリック

だから泣いてないってば!

ダラの声を頼りに、何の上かも分からない道を歩く

周りを見渡すと方向が分からなくなる為、僕はずっと前を向いたまま歩いた

ダラとの距離を確かめたくて、名前を呼んで手を伸ばす

エリック

ダラ

ダラ

何?

エリック

ちょっと止まって

ダラ

ダラ

何だ、どうした?

足音が止み、ダラが立ち止まったのを確認する

あちこち探っていたが、丁度目の高さ位の所で手を止めた

サラサラでツルツルな物に触れたからだ

ダラ

ぅお、ビックリした...

エリック

あ、やっと見付けた!

触れた物はダラの髪だった

そこからスルスルと手を下に滑らせ

僕より少し大きいダラの手を掴む

エリック

ダラが僕の手を握り返した瞬間

まるで僕達を囲っていた壁を取り払ったかの様に

パッと真っ暗闇が消え去った

エリック

あ...え?

ダラ

何処だぁ、ココは...

暗闇に慣れていた目は、ボンヤリとした淡い光にも眩む

目を細めて辺りを見渡す

どうやらココは森の中の様だ

先程の真っ暗闇に比べれば全然明るい

が、暗い

動物の声や風の音は一切聞こえない

遠くの方に一際光る物がある

目を凝らしてみても、ここからでは全く見えない

エリック

ダラ...

エリック

向こうの方に

ダラ

あぁ、見えてる

ダラ

...行くか

エリック

う、うん

ダラが居てくれてとても心強い

繋いだ手はそのままに、僕とダラは光に向かって歩き出した

先程とは違って、僕達の足音は響かない

となると、やっぱり壁みたいな物に覆われていたんだろうか

それにしたって

僕もダラも適応能力が高いなぁと思う

普通ならこれ、発狂したり泣き叫んだりするんじゃないのかな

伊達にファンタジー読んでないですよ

それに、2人居るってのが大きな助けになっているのかもしれない

僕が1人きりだったら、真っ暗闇から抜け出せずにゲームオーバーだっただろう

ダラ

エリック

エリック

何?

ダラ

前、見てみろ

エリック

わぁ...

ザクザクと土を踏みしめながら歩く事20分くらい

やっと光の元へと辿り着いた

のだが

エリック

ちっさ

ダラ

何だこれ、家か?

目の前に現れたのはスイカサイズの小さな家だった

エリック

まるでシルバニ

ダラ

言うなエリック

ダラ

それはダメだ

言ってはいけない某ファミリーみたいな家を、ダラと一緒にぐるりと観察する

こんなに小さいのに、結構遠くまで光が届いていた事に驚きだ

小さな家にはもちろん明かりがついており

細部までしっかりと造られているようだった

目線を低くして観察をしていると、家の中で影の様な物が動いた

エリック

ダラ!

ダラ

ん?

エリック

今、何か家の中で動いた...

ダラ

よくある小人の家ってか?

ダラ

なら...

ダラはペロリと唇を舐め、小さな家の小さな玄関前にしゃがみ込む

その表情はとても楽しそうで

あぁ、そう言えばダラは冒険するのが大好きだったなぁ

と幼い頃を思い出させてくれる

ダラは人差し指を曲げ、小さな扉を優しくノックした

ーコンコンッー

ダラ

ごめんくださーい

エリック

誰かいらっしゃいますかー?

ダラ

...

エリック

...

特に返事は返ってこない

その代わりとでも言う様に、家の中で影が1つ

右に左に行ったり来たりと、確かな存在を示してくれていた

僕はダラと顔を見合わせ、そしてもう一度扉をノックする

ーコンコンッー

ダラ

Trick or Treat!

エリック

え?

ダラ

出て来てくんないと、この家にイタズラするぞ

わー!待て待て!

お前、何て無礼な奴なんだ!

開ける!開けるからイタズラするなよ!

エリック

声もちっさ...

ダラが半ば脅しの様な言葉を口にすると、家の中から慌てた声が聞こえてきた

これまた小さな可愛らしい音で鍵が開き

キッと控え目な音で扉が開く

???

一体全体

???

何の用だ!

エリック

...

ダラ

...

中から出てきたのは

小さな金髪の妖精さんだった

第2話 『真っ暗闇と森と家』

読書好きとばけものたち

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