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見ちゃった

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見ちゃった

1 - 見ちゃった 第1話

♥

291

2020年12月19日

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サキの母

サキー!そろそろ出ないと

サキの母

電車、乗り遅れるわよ!

サキ

分かってるってば!

サキ

もう出るって!

サキの母

もう…準備に時間かかるなら

サキの母

もっと早くに起きなさいよ

サキ

今日は朝寒かったから

サキ

ちょっと寝坊しただけじゃん…

サキ

じゃ、いってきまぁす!

サキの母

はいはい、いってらっしゃい

サキ

はぁ、間に合った…

サキ

(この電車に乗らないと)

サキ

(待ち合わせに間に合わないもんね)

アナウンス

次はぁ、××駅──

サキ

あ、アカリが乗ってくる駅

サキ

もう次か

サキ

…?

サキ

(なんだろう、今何か見えたような…)

サキ

木?…いや、ロープ…?

サキ

(線路のそばの家、かな)

サキ

(なんで見えたんだろう…?)

サキ

(あ、揺れてるのか)

サキ

今日は風が強かったもんね…

サキ

っていうか

サキ

(なんで、木にロープが)

サキ

(ぶらさがってるの…?)

サキ

(…変なの)

サキ

(なんであんなところにあるんだろ)

アナウンス

××駅、××駅ぃ──

サキ

あ、着いちゃった

アカリ

うーんと…あ!いたいた!

アカリ

サキ、おっはよー

サキ

アカリ!おはよっ

サキ

(ま、なんでもいっか)

アカリ

あ、サキ

アカリ

明日、私当番だから

アカリ

先に教室行っててね

サキ

あ、境内の掃除?

サキ

神社の娘も大変だねぇ

アカリ

まぁ、仕方ないよ

アカリ

そういう運命だったってこと

サキ

神社の娘、って響きは

サキ

超かっこいいんだけどね

サキ

でも…なりたくはないかな

アカリ

ちょ、それ私に対して

アカリ

結構失礼じゃない?

サキ

ごめんごめん!

サキ

いやほら、お祓いとか除霊とか

サキ

アカリのお母さん、結構有名じゃん?

サキ

偏見の目もあるし…

サキ

この前も、ほら──

アカリ

ああ、テレビの取材ね

アカリ

あれは神社の方の取材だけど

アカリ

除霊に関しては答えないようにしてるし

サキ

アカリのお母さん、かっこいいもんねぇ

サキ

こう、姉御!って感じ!

アカリ

え、ちょっと、やめてよ!

サキ

本当のことじゃん!

次の日

サキ

(今日は待ち合わせじゃないけど)

サキ

(つい、いつもの電車に)

サキ

(間に合うように動いちゃうんだよね)

アナウンス

次は、××駅──

アナウンス

急行の為ぇ、〇〇駅には止まりません──

サキ

あ、昨日の家…

サキ

(あれ、結局ロープだったのかな?)

サキ

今日はちゃんと、見てみようかな…

サキ

…あれ?

サキ

(木の下に、人がいる)

サキ

(あ、ロープ!)

サキ

(ってことは…)

サキ

なぁんだ

サキ

(なんか作業してるってことかぁ!)

サキ

(なるほどね!)

サキ

(それでロープが木にくくられてんのね!)

サキ

(でも、一体なんの作業を──)

???

…………

サキ

男と目があった瞬間

男はロープに首をかけ

首を吊った

サキ

は…?

サキ

え、なに…?

サキは慌てて周囲を見回す

サキ

(だ、誰も気づいてない…?)

電車はそのまま家の前を通り過ぎてしまう

サキ

気のせい…?

サキ

(そ、そうだよね)

サキ

(きっと作業中で)

サキ

(首を吊ったように見えたってだけ)

サキ

(うん、目があったように見えただけで)

サキ

(まさか電車の中にいる私を見てた、なんてこと)

サキ

(…あるはずない)

サキ

(首を吊ったように見えたのも)

サキ

(目の錯覚、だよ)

サキ

気のせい気のせい!

アナウンス

××駅、××駅ぃ──

アナウンス

次は、△△駅にぃ、止まります──

翌朝

サキ

最悪…

サキ

なんか、寝たはずなのに

サキ

すっごく、疲れた…

サキの母

ちょっと、サキ?

サキの母

大丈夫?顔色が悪いけど…

サキの母

最近急に寒くなったし

サキの母

風邪でもひいたんじゃないの?

サキ

うーん、そうかも…

サキ

(異様にだるいし…)

サキの母

今日、学校休む?

サキ

…………

サキ

いや、行くよ

サキ

(気になる事もあるし…)

サキの母

…そう?

サキの母

無理しないようにね

サキ

(ごくっ…)

アナウンス

次は、××駅ぃ──

サキ

(き、きた…っ)

サキ

(うう、見たくない)

サキ

(見たく、ないんだけど…)

サキ

…っ

サキは思い切って窓の外を見る

サキ

(あ、れ…?)

サキ

ロープが、ない…

サキ

あ、あぁ…

サキ

(そっか、良かった)

サキ

(じゃあ、あれはやっぱり)

サキ

(あの家の人が作業してただけで)

サキ

(ぶら下がったように見えたのは)

サキ

幻覚、だったんだ…

乗客

…?

サキ

あっ、すみません

サキ

なんでも、ないんです

サキ

(やば、変な人かと思われてる)

アナウンス

××駅、××駅ぃ──

アカリ

サキ、おはよー

アカリ

…サキ、どうしたの?

サキ

あ、アカリ…おはよ

サキ

どうしたの、って

サキ

なんもないよ?

アカリ

そう…

アカリ

ねえ、そういえば

アカリ

〇〇駅近くで

アカリ

自殺があったの、知ってる?

サキ

えっ…

アカリ

なんでも、線路から見える家で

アカリ

乗客が気づいたんだとか…

アカリ

朝からそんなニュース見ちゃってさぁ…

アカリ

なんか、お母さんもそれ見てなぜか怒ってたし…

サキ

(う、うそ…じゃあ)

サキ

(私が見ちゃったのは、本当に)

サキ

(自殺の瞬間、だったの…?)

放課後──

アカリ

ねえサキ、本当に大丈夫?

アカリ

送っていこうか?

サキ

大丈夫だよ…

サキ

(学校にいる間、何も手につかなかった)

サキ

(もし、私があの時)

サキ

(すぐに通報していたら)

サキ

(あの人は助かったかもしれない)

サキ

(たとえ見間違いだったとしても)

サキ

(通報しておくべきだった?)

サキ

(私が──)

アカリ

ねえ、サキ…

アカリ

何か気になってるの?

サキ

…ううん、なんでもない

サキ

(でも、私には)

サキ

(どうすることもできなかった訳だし…)

サキ

(あー、モヤモヤする)

アカリ

…気をつけて、帰るんだよ?

サキ

うん、アカリもね

アナウンス

××駅ぃ、お降りのお客様は──

アカリ

じゃあ、また明日!

数分後──

サキ

(あの家を、通り過ぎる…)

サキ

(私のせいじゃないし)

サキ

(気にしすぎ、だよね)

サキ

えっ

サキ

(木の下に、誰かいる)

サキ

(自殺した人の知り合いかな?)

???

…………

サキ

うわっ

サキ

(嘘でしょ)

サキ

(いま、あの人)

サキ

(こっちを、見てなかった…?)

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