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猫屋敷古物商店の事件台帳

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猫屋敷古物商店の事件台帳

38 - 第5話 疑われた一里之 解決編【1】

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2025年12月05日

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千早

それでは査定結果をお伝えします。

千早

まず、最初に明らかにしておきたいのは、店の手提げ金庫からお金を盗ることができたのは、やはり暗証番号を知っていた一里之君か店長しかいない――ということです。

千早

そして、店長に関しては、まず動機というものが掴めません。

千早

なぜなら、お金がなくなってしまって困るのは、個人商店を経営している彼自身です。

千早

それに、お金を着服しようとするのであれば、もっと別の――誰にも気づかれないような形で横領することが可能だったはず。

千早

彼は経営者なのですから。

千早

わざわざ、自分と一里之君に容疑がかかるような環境で、お金を盗るとは思えません。

千早

よって、店長がやったとは考えにくい。

斑目

ということは、やっぱり――。

斑目は自然と一里之のほうへと視線をやる。

一里之

いや、本当にやってないんですって!

斑目

でも、猫屋敷さんも言ってたでしょ?

斑目

お店の手提げ金庫からお金を盗ることができたのは、暗証番号を知っていた人間だけだって。

斑目

そして、そこから店長が除外されるわけですから、必然的に残った一里之君が――。

そこで千早が小さく咳払いをする。

千早

あの、あくまでも私は【お店の手提げ金庫】からお金を盗るのは限られた人間だけと言っただけです。

千早

もし、それが――【お店の手提げ金庫】ではなかったとしたらどうですか?

一里之

店の手提げ金庫じゃない?

千早

はい、おそらくこれ……昨晩、一里之君と綾茂さんがお金を仕舞った手提げ金庫ではないんですよ。

斑目

それって――。

千早

犯人があらかじめ用意していた【同じメーカー】から出ている【同じ型番】の手提げ金庫なんです。

千早

少なくとも、ネットで調べれば取扱説明書が出てくる程度には、世の中に流通している形なのでしょう。

千早

まず、犯人はそれをあらかじめ用意しておきました。これを金庫【B】としましょう。お店の手提げ金庫を【A】とします。

千早

犯人は昨晩、おそらく夜中になってから事務所に忍び込んだ。

千早

たまたま、綾茂さんが事務所の鍵を閉めていなかったそうですが、実はこの時点で一里之君は犯人ではないと思われます。

斑目

なぜです?

千早

私の考えが正しければ、犯人は一度店を離れた後、お金を盗みに店に戻っています。

千早

それが可能だったのは、鍵を持たされていた綾茂さんと凛子さんだけです。

千早

すでに犯人から外れていますが、店長も可能でしょう。

斑目

――でも、事務所の鍵は開いていたんですよね?

千早

はい、しかし――それを一里之君が事前に知ることはできませんでした。

千早

鍵を持っていない一里之君は、普段ならば鍵がかかっている事務所には入れませんでした。

千早

それが前提としてあるのに、わざわざお金を盗みに店に戻る馬鹿はいませんし、一里之君もそこまでではないと私は思っています。

一里之

……なんか、軽くディスられた気がする。

斑目

となると、犯人は綾茂さんか凛子さんのどちらか――ということになりますね。

千早

左様です。

千早

私の考えと同じ方法で金庫のお金を盗ったのであれば、おふたりには犯行が可能だったことになります。

斑目

その方法とは?

千早

さきほども言いましたが、犯人はあらかじめ店の手提げ金庫【A】と全く同じ手提げ金庫【B】を用意しました。

千早

そして、店に戻って店の手提げ金庫【A】を盗みます。

千早

もしかすると、その場でお店の手提げ金庫【A】を開けてしまったのかもしれません。

斑目

――暗証番号も分からないのに?

千早

金庫を開けるだけなら、暗証番号なんて必要ありませんよ。

千早

バールか何かを使ってこじ開けてしまえばいいのですから。

斑目

金庫を――こじ開けた?

一里之

そんな力業――。

千早

はい、力業です。しかし、金庫をこじ開けることは、犯人にとってはふたつのメリットが生じます。

千早

ひとつは、当然ながら中のお金を盗ることができます。

千早

そして、もうひとつは――金庫に設定されていた暗証番号を知ることができます。

斑目

手提げ金庫の暗証番号は中で設定して、それがセグメントに表示される仕様になっていた。

斑目

それを見れば、元々の金庫の暗証番号を知ることができた。

一里之

でも、肝心の金庫はすでに壊されたわけだし、暗証番号が分かったところで――。

千早

暗証番号は金庫を開けるために知る必要があったのではなく――。

千早

犯人があらかじめ用意しておいた手提げ金庫【B】の、暗証番号を設定するために必要だったのです。

斑目

そうか――犯人は金庫をこじ開けてお金を盗り、元々の暗証番号を知った。

斑目

その暗証番号を、あらかじめ自分が用意しておいた手提げ金庫【B】に設定をして、壊した店の手提げ金庫【A】は持ち去ったのか。

千早

そうです。

千早

だから、正確に言えば、盗まれたのは手提げ金庫の中のお金だけではありません。

千早

お金が入った手提げ金庫ごと盗まれていたわけです。

千早

犯人はこうして【A】と【B】の金庫を入れ替えると、何食わぬ顔をして店を後にした。

一里之

翌日、店長が手提げ金庫を開ける。

一里之

この金庫は店の手提げ金庫【A】じゃなくて、【A】と外見が全く同じで、さらに同じ暗証番号が設定された、金庫【B】だった。

一里之

まさか金庫そのものが別物になっているとは思わない店長は、そのまま金庫を開け――そしてお金が中に入っていないことに気づいた。

千早

お金なんて入っているわけがないんです。

千早

なぜなら、一里之君達がお金を仕舞った金庫と、翌日店長が開けた金庫は、全くの別物だったのですから。

斑目

して、犯人は誰なのでしょうか?

斑目

この方法なら、鍵を持っていた綾茂さんと凛子さん、どちらにも犯行は可能です。

千早

もう、答えは出ているようなものですが――。

千早

犯人は――。
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