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紬希と善はベンチに腰を下ろした。

栗原 紬希

それで、話…って?

紬希の心臓はドキドキと高く跳ねていた。

栗原 紬希

(告白の返事…だよね)

栗原 紬希

(わー、上手く顔見れないよ……)

伊東 善

わかってると思うけど

伊東 善

告白のこと…なんだよね

栗原 紬希

……っ

栗原 紬希

あ、あのっ

栗原 紬希

約束してほしいことがあるのっ

伊東 善

ん?

栗原 紬希

もし、善くんが私を振ったとしても

栗原 紬希

これからも善くんとお友達で…いたい

紬希の握る拳はプルプルと震えていた。

伊東 善

……ふふ

栗原 紬希

(…ふふ?)

善は優しく紬希の拳の上に手のひらを置いた。

栗原 紬希

伊東 善

ごめんだけど、それは杞憂かな

栗原 紬希

紬希は息をするのも忘れ、善の顔を見つめた。

伊東 善

付き合おうか、俺ら

栗原 紬希

……え

栗原 紬希

ええええええええっ!?!

伊東 善

っはは!

伊東 善

声でか〜w

栗原 紬希

だだだだだ、だって

栗原 紬希

私のことそんな目で見たことないって!

伊東 善

これから見ればいいでしょ?

栗原 紬希

……そ、そうだけどっ

伊東 善

俺と付き合うの嫌だ?

栗原 紬希

ううんっ

栗原 紬希

付き合いたい!

伊東 善

なら決まりだね

伊東 善

よろしくね、紬希ちゃん

栗原 紬希

よ、よろしくお願いします……

まだこの状況に理解が追いつかない

でも、

胸がいっぱいで、すごい嬉しい。

栗原 紬希

ここでいいよ。送ってくれてありがとう!

伊東 善

ちゃんと帰れる?

栗原 紬希

角曲がったらすぐだよ!

伊東 善

よかった!

栗原 紬希

えへへ……

伊東 善

……

善は紬希をグイッと引き寄せてポスッと抱き寄せた。

栗原 紬希

!?!?!?

伊東 善

おやすみ、紬希ちゃん

栗原 紬希

!?!?!?!?

紬希は固まって真っ赤な顔で帰る善の姿を見送っていた。

栗原 紬希

ただいまー

バタバタバタとリビングから善が走ってくる。

栗原 理仁

紬希

栗原 理仁

大丈夫か

栗原 理仁

遅かったから心配した

栗原 紬希

ごめんね

栗原 理仁

電話も出ないし

栗原 紬希

(全然気づかなかった…)

栗原 紬希

えへへ

栗原 理仁

…?

栗原 理仁

何かいい事あったのか?

栗原 紬希

実はね

栗原 紬希

善くんと付き合っちゃっ!た、の……

栗原 紬希

……あ

栗原 紬希

(あれ、これ)

言っちゃダメなやつ…?

栗原 紬希

(いや、善くんには何も言われてないし良いのかな…?)

栗原 理仁

……は?

栗原 紬希

(ヤバい、深堀りされる!)

栗原 紬希

とと、とりあえず

栗原 紬希

私お風呂入って来るっ

栗原 理仁

……

紬希は逃げるように風呂場に駆け込んだ。

理仁は玄関から動けずにいた。

栗原 理仁

(付き合った……って?)

しかも相手が善だって?

何考えてんだよ、あいつは

俺が紬希を好きだって知ってるだろ

知ってて……?

いや、まさかな

栗原 理仁

(本気で紬希を好きになったのか……?)

いや。もういいや

どんな理由でも、ぶっ飛ばしてやる

栗原 理仁

……クソ

理仁はガララ、と教室へと入った。

一直線に善の方へと歩み寄っていく。

伊東 善

お、理仁!おはよ__

栗原 理仁

おい

栗原 理仁

ちょっと話がある

伊東 善

おー

伊東 善

わかったよ

伊東 善

おー。校舎裏?

伊東 善

何?俺殴られんの〜?

栗原 理仁

……

理仁は善を壁に押付け、逃げ場を無くすように壁に手をついた。

伊東 善

なんで壁ドンだよ

栗原 理仁

……ふざけんな

栗原 理仁

昨日聞いたぞ、紬希から

栗原 理仁

お前らが付き合ったって話

伊東 善

……あーね

栗原 理仁

どういうつもりだ

栗原 理仁

紬希のこと弄んでるつもりなら相手が善でも容赦しない

伊東 善

弄んでるつもりなんてない

伊東 善

俺は本気だよ

栗原 理仁

俺が紬希のこと好きなの知ってただろ

伊東 善

じゃあ断ればよかった?

栗原 理仁

……は?

伊東 善

ちなみに告白してきたのは紬希ちゃんからだよ?

栗原 理仁

……!

伊東 善

理仁のために断ればよかった?

伊東 善

理仁のせいで紬希ちゃんを傷つければよかったわけ?

栗原 理仁

……

栗原 理仁

信用ないんだよ、女遊びばかりしてるお前が

伊東 善

大丈夫大丈夫。

伊東 善

もう女の子たちの連絡先全部消したし

伊東 善

必要なら確認してもいいけど

栗原 理仁

(これは本当……っぽいな)

栗原 理仁

いや、大丈夫……

伊東 善

……というか

伊東 善

俺に告ったこと紬希ちゃんがお兄ちゃんの理仁に話してるかと思ったけど…

伊東 善

意外と紬希ちゃん、理仁と違って自立してんね

栗原 理仁

……うっせーよ

伊東 善

俺はただ紬希ちゃんの気持ちに応えただけ

伊東 善

理仁はそれを否定するの?

栗原 理仁

してない

伊東 善

ならいいじゃん

伊東 善

シスコンも程々にしないと嫌われるよ

栗原 理仁

……っ

栗原 理仁

(何も言い返せない……)

伊東 善

とりあえず

伊東 善

俺は紬希ちゃんを大切にしてるよ

伊東 善

傷つけるつもりなんてない

栗原 理仁

……

伊東 善

そろそろ解放してくれる?

伊東 善

課題終わってないんだよね

栗原 理仁

……っ

理仁は唇をかみながら善から離れた。

伊東 善

ありがと

伊東 善

じゃあ先戻ってるね

善は手を振って背中を向けて歩いていった。

「告白してきたのは紬希ちゃんから」

「理仁のために」

「理仁のせいで」

「紬希ちゃんの気持ちに応えただけ」

栗原 理仁

……腹立つ

無責任なあいつにとても腹が立つ。

人の気持ちにばっかり敏感になって、

人の気持ちを言い訳ばかりにして

自分の気持ちは何も教えてくれない

栗原 理仁

(ほんとにアイツは紬希のことが好きなのか…?)

放課後になった。

栗原 紬希

おいしいーっ!

紬希はクレープを美味しそうに頬張っていた。

伊東 善

美味しいでしょ

伊東 善

駅前のクレープ屋さん、凄く美味いって有名なんだよ

栗原 紬希

へぇー

栗原 紬希

私、SNSとかに疎いから全然知らなかったっ

伊東 善

紬希ちゃん。クリームついてる

栗原 紬希

え!

すると善は紬希の口元に手を伸ばし、指で拭った。

栗原 紬希

っ!?

紬希の顔は真っ赤に染まる。

栗原 紬希

(今の、少女漫画みたいっ!!)

伊東 善

おっちょこちょいで可愛いね

栗原 紬希

〜っ!?

栗原 紬希

……ここ、これ以上

栗原 紬希

私の心臓を破裂させないでください……

伊東 善

えーごめんね

栗原 紬希

まさかの無意識っ!?

伊東 善

どうだろうね?

善はいやらしくニヤリと笑った。

栗原 紬希

(絶対わざとだーっ!!)

栗原 紬希

ぜ、善くんはこういうのに慣れてそうだね

伊東 善

んー……

伊東 善

逆に紬希ちゃんは不慣れそう

栗原 紬希

……その通りだよぉ

伊東 善

なんで?

伊東 善

紬希ちゃんって普通に可愛いよね?

伊東 善

普通っていうか結構可愛い

栗原 紬希

そ、そうかな

伊東 善

うん

伊東 善

元カレとかはいないの?

栗原 紬希

いないいない!

栗原 紬希

善くんが初、彼氏、です……

伊東 善

へぇ

伊東 善

理仁が牽制、頑張ってるんだね

栗原 紬希

栗原 紬希

なんでお兄ちゃん?

伊東 善

理仁はね、紬希のボディガードってこと

栗原 紬希

????

伊東 善

っはは

栗原 紬希

(どういう意味だろ…?)

栗原 紬希

……あ!

栗原 紬希

聞きたいことあったの思い出したっ

伊東 善

んー?

栗原 紬希

お兄ちゃんとなんで仲良くなったの?

栗原 紬希

お兄ちゃんって結構冷たい人…だし

栗原 紬希

あ、本当は優しくて凄くかっこよくて大好きなんだけどね!

伊東 善

……ははっ

伊東 善

それは俺も知ってるし

伊東 善

理仁のこと大好きだよ

栗原 紬希

だよね……!

伊東 善

……

伊東 善

俺と理仁が出会ったのはね__

善は遠くを見ながらゆっくりと口を開けて話し始めた。

私の大好きなお兄ちゃんたち

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コメント

4

ユーザー

投稿お疲れ様です~!善君と付き合っちゃった!これからどうなるんだろう。楽しみすぎます!

ユーザー
ユーザー

マジか.....!?理仁くん、これから何するのか気になるっ~~~!! 優しく見守るか...?? まぁ、付き合うとかはなぁ、ちょっと... ね...? 見てて楽しすぎるっ✨️最高です⭐️

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