茜
よーやく授業終わったか
茜
今日も今日とて帰ってすぐに布団にダイブだな
茜
やはり家が1番だと思うのだよ僕は
茜
そうと決まったら早く荷物をまとめて…
美波
美波
伊都町さん?
茜
ん?
茜
どうしたの美波さん?
美波
もしかして今帰り?
茜
そうだけど…
美波
よかったら一緒に帰りませんか?
茜
別に構わないけど
茜
家はどこ方向なの?
美波
伊都町さんと同じ方向ですよ
美波
途中にY字路みたいなのがあると思いますけど
美波
私はそこを左に行きます
茜
へぇー
茜
僕は右だけど結構帰路のルート同じなんだね
茜
それじゃあちょっと待っててね
茜
今荷物まとめるから
美波
はい
美波
結衣ちゃんからのお節介どうです?
茜
どうって言われてもな…
美波
成果なしって感じですか?
茜
まぁ、それに近いかな
茜
第一僕は恋愛に興味ないって話してんだけど
茜
聞く耳を持たなくてね
茜
恋愛しないなんて勿体ないって
美波
それは私も思います
茜
勿体ないって?
美波
はい
美波
恋愛自体はいつからでも出来ますけど
美波
大人になればその機会も少なくなって
美波
時間を作ることすらままならないって
美波
私は思うからです
茜
そうなのかもしれんが…
美波
それに大人になった時の恋愛と
美波
学生時代の恋愛って価値が違うと思うんです
茜
と言うと?
美波
なんていいますか…
美波
やっぱり学生って金銭的にも余裕がないじゃないですか?
美波
その金銭的に厳しいからこそ何処に行くか
美波
その計画を立てる時間がとっても密度が高いと思うんです
美波
もちろん大人になってからでもそれは言えるかもしれないですが
美波
大人と学生の違いはお金の有無と時間なんです
美波
学生は金銭的に辛い代わりに時間に余裕はあります
美波
逆に大人は金銭的に余裕がありますが時間がありません
美波
そう考えた時大人と学生では価値も変わってくるんじゃないのかなって
美波
あくまで私個人の感想なんですけどね
茜
なるほどなぁ…
茜
言いたいことは何となくわかったよ
茜
けどやっぱり僕には恋愛自体向いてないかな
美波
どうしてですか?
茜
何度も言うようだけど僕は人に興味を持てないんだ
茜
薄情な人かもしれないが
茜
僕以外の人の事なんてどうでもいいんだ
茜
僕が良ければそれでいい
茜
いわゆる自己中心的な考えをしてる人でね
茜
それ故に僕は人と関わるのを避けてるんだ
茜
嫌でしょ?自己中心的な考えを持つ友人がずっと一緒なんて
美波
そんなこと……
茜
まぁ美波さんがそう思ってなくても
茜
僕自身が他の人に迷惑をかける
茜
それを理解してるからこそ関わらないんだ
茜
人に興味を持てたとしても自己中心的な僕に
茜
寄り添える人はきっと少ない
茜
だから僕は人と関わるのを避けてる
茜
そしてその考えが芽生えたことで不思議と他人に興味を持てなくなった
茜
茜
ちょっと暗い話になったかもしれないけど
茜
今言ったことが僕の本心でもある
茜
こんな考えを持つ僕が人に興味を持つ
茜
ましてや人を愛するなんておこがましい…
美波
伊都町さん…
美波
美波
もし、迷惑でなければ私に過去の話を聞かせてくれないですか?
美波
私の知ってる知識でもしかすると
美波
何とかなるかもしれないんで…
茜
いや……
茜
気持ちは嬉しいけど
茜
人には話したくない過去の1つ2つはあるもんだから
茜
ごめんね美波さん
美波
う、ううん
美波
そうだよね
美波
さすがにズカズカと相手のプライベートを聞くようなことはダメだよね
茜
気持ちはとっても嬉しいけどね
美波
それじゃあ私はこっちだから
茜
うん
茜
それじゃあまた明日
美波
うん
美波
美波
伊都町さんの過去については聞けなかったけど
美波
どんな考えを持っているのかは知れた
美波
伊都町さんは自分を過小評価してる
美波
自分に自信がないから人に興味を持てないんだ
美波
本人も言ってたけど卑屈になり過ぎてる
美波
それが足枷になって恋愛はおろか
美波
人付き合いすらも上手くいかないんだ
美波
彼はきっとこの先暗い世界を生きていく
美波
結衣ちゃん程ではないけど
美波
私も彼を救ってあげたい
美波
だって……
美波
気になってる人が元気ないなんて嫌だから