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テラーノベル(Teller Novel)

―翌日、秋彦の通う高校―

秋彦

ふぁ〜あ

秋彦

AIイラストの手直ししてたら、すっかり朝になっちまった

秋彦

高校なんてバックれて、イラストと話の続きでも書きたい……

秋彦

でも、まずはこれだ

秋彦

俺をフォローしてきた、AIアイコンメーカーとかいうアカウント

秋彦

こいつは一体なんなんだ?

秋彦

名前からして、AIイラストを生成してアイコン用にしてるんだろうけど、確認がてらちょっと見てみるか

秋彦

まあ、セラーノベルに出てくるんだから当然自己紹介小説?ってか雑談は載せてるよな……

盛大にひとり言をこぼす彼を横目に、クラスメイト達はヒソヒソと話を始める。

秋彦

ちっ、どいつもこいつもうっぜえな……

秋彦

ねえ。そんなに俺の絵が気になっちゃう?特別に見せてあげようか?

ヲタクそうな女子

え?い、いや別に

秋彦

これ見りゃあ、そんなぶつくさ文句も消えるって

ヲタクそうな女子

いや、ホント、そういうのいいから

女子生徒は無理やりにでも、秋彦の言葉をさえぎる。

あからさまに会話を拒否された秋彦は、当然だが、すっかりすねた様子で自分の席へと戻って行った。

秋彦

ったく。そんな反応するならさあ、一々ヒソヒソするんじゃねーよ

秋彦

正面から言って来いっての

はっきりと言おう。 秋彦はこのクラスから浮いていた。

自分が面白いと思っていることを、他人に押し付ける性分であること。この自分勝手な性格が、彼を一人にしてしまっていた。

そして極めつけは、何かにつけてクラスメイトにマウントを取る、ムカつく程の調子の乗りっぷり。

当然、自分を見下してくる相手と仲良くしようとする者はいない。

要は自業自得、なるべくしてなった結果がこの「クラスからの孤立」であった。

神経質そうな男子

うわぁ……大丈夫?

ヲタクそうな女子

平気。2週間もとなりの席だと慣れてくる

神経質そうな男子

……そっか。無理しないでね

おしゃれな女子

ほんっと、かわいそ〜!変な絵直視してない?

ヲタクそうな女子

え?バッチリだけど

おしゃれな女子

ぎゃーっ!

ヲタクそうな女子

エロいことに興味持ったばっかの中学生が、なりふり構わず飛びつきそうなやつ

神経質そうな男子

うわ。おれの前でそういう事言わないでよ

おしゃれな女子

あんたもそれ見せられたの?マジかあ

おしゃれな女子

昨日もさ、裸同然の女の子のイラストに名前つけて喜んでたし

やんちゃそうな男子

ホントあいつ、マジで何考えてんだろうな

ヲタクそうな女子

さあね

ヲタクそうな女子

周りにあれこれ言ってるけど、実は何も考えてなかったり……なんて

ヒソヒソと言われ続ける中、秋彦は画面に映る文字に集中していた。

彼の画面に表示されているのは、小説投稿サイト、セラーノベルのアプリ。

自分をフォローしてきた、『AIアイコンメーカー』のアカウントの文章を、秋彦は見つめていた。

AIアイコンメーカー

セラーノベルのみんな、こんにちは!

AIアイコンメーカー

わたしたちはAIアイコンメーカー

AIアイコンメーカー

名前の通り、AIを使用してイラストを作るアカウントです!

AIアイコンメーカー

このサイトのお話は聞いています

AIアイコンメーカー

やれ無断転載だ、盗作だ、悪用だって、もう散々言われてしまっていますね

AIアイコンメーカー

でも安心してください!私達のイラストを使えば、そんなことは言わせません!

AIアイコンメーカー

わたしたちの作るイラストは、オリジナルと一緒です

AIアイコンメーカー

権利は全てフリー!!

AIアイコンメーカー

皆さんがダウンロードして使っても、なーんの問題もナシってことですね!

AIアイコンメーカー

ぜひ私をフォローして、うざったい著作権の問題や、通報厨から解放されましょう!

AIアイコンメーカー

というわけで、こちらは皆さんへのプレゼント!

AIアイコンメーカー

スクショして、好きに使ってください!

秋彦

秋彦

げっ!こいつ、AIイラストを配ってやがる!

秋彦

これじゃあ、俺の作品の方がいい絵使ってるって、アピール出来なくなるだろうが!

秋彦

しかもこいつの方がクオリティ高い!ちくしょう、なんでだよ!

秋彦

元絵がいいのか?探してみるか

秋彦

秋彦

くそっ、画像で探しても出てこねえ

秋彦

よっぽど加工しまくってんだな……

秋彦

なんならAIイラストを更にAIにかけて、元の絵を分からなくさせているのかも

秋彦

まあいい、こいつが使ってる画像も、どうせ誰かの無断転載に決まってる

秋彦

ただ、こいつが問題なのは……

秋彦はAIアイコンメーカーの『自己紹介』文につけられた、大量のコメントへと目を向ける。

秋彦

どいつもこいつもキショいくらい、媚び売ってんな

秋彦

芸能人かなんかかよ

秋彦

それに……なんだか知らねえけど、俺より人気の作者だってのがムカつく

スクロールしても、コメントを読んでみても、書いてあることはどれも同じ。

「自分のキャラをイメージした、イラストを作ってほしい」

相手のことを考えず、自分のして欲しい事だけをつき通す、あまりにも身勝手な言葉である。

秋彦

なんだこれ、ふざけんな!

秋彦

なんでこんなハイクオリティのAIイラストを、無料で使わせるんだよ!?

秋彦

こんなことされたら、確実に俺の作品は読まれなくなる!

秋彦

俺の作品は、誰にも負けないハイクオリティな文章と、プロ顔負けのイラストが売り!

秋彦

今は見てくれる人が少ないけど、俺はこれから、どんどん読者を増やせるはずなんだ!

秋彦

なのに……こういうやつのせいで、俺の持ち味が減っていく!

秋彦

こいつ、さては嫌がらせのために俺をフォローしたな!?

秋彦

秋彦

ああもう、どうすればいいんだ!

秋彦は頭を抱える。

彼の生成したAIイラストは、AIアイコンメーカーのイラストのクオリティに、到底及ばないものばかりだからだ。

そんな彼が出した決断は……

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