どうも
タクシー運転手の川平と申します
運転手歴30年と、ベテランなわけですが
長い間やっているので、そりゃあ色んな客に会います
一言も喋らない客
行き先も伝えてくれない客
不審な動きをしている客
などなど…色んな客に会いました
そんな中、1番印象に残っている客を紹介します
雨のよく降る深夜の出来事です
その日は夜勤でした
小雨がシトシトと寂しく降る中
1人の客がやって来ました
女性
白野澤駅までお願いします…
川平
…分かりました
その女性からは異様な空気を感じ
すぐにこの世のものでは無いと分かりました
川平
今日は雨がずっと降ってますね…
川平
それも小雨
川平
すぐ止みそうで止まないですね
女性
そうですね…
女性の声が車内で小さく響きます
私は確信しました
川平
ところで…お客さん
川平
この世のもんじゃないでしょう?
女性
……
女性
…よく分かりましたね
川平
まあ長年やってるのでね
川平
色んな客がいたもんですよ
そうこうしているうちに
いつの間にか行き先に着いていました
川平
お客さん、着きました
川平
料金は…
川平
…お客さん?
後ろを向くと
シートは真っ赤に染まっていました
それだけでは終わりません
後ほど分かったことなのですが
白野澤駅では
数年前、小雨の降る夜に
1人の若い女性が飛び込み自殺をして亡くなったそうです
なんだかゾワッとしませんか?
余談ですが
意外とこの世のものでは無い人は沢山いるものです
人と接する職業をしているので尚更そう感じます
え?例えば?
そうですねえ…
この私とか。