TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
シェアするシェアする
報告する

「花の国、朽ちることなく」

「永遠を望み、死を美しきものと思うのだ」

「何故ならば、死とは永遠からの解放であり」

「永遠を求める我らにとって幸福だから」

この国の人間なら誰でも知ってるおとぎ話

この世界は、花に意味が

「花言葉」と呼ばれるものがある

その「花言葉」が死に近ければ近いほど神に近いという意味となる

この世界で最も必要とされてないもの

それは「不老不死」や「長寿」、「不滅」などの「死」と反対の意味を持つ花

この世界には花を司る人が存在する

毎回「死」を司る花は違い

今回の花は「スノードロップ」だった

花言葉はもちろん「死」に関するものである

そして、花の国唯一の

ある日突然消えた女王でもある

困惑する国民

そんな国民の唯一の希望が

消えた女王が残したある植物の種

国民は死ぬ気でその植物を育てた

その植物はアスナロといい

花言葉は「不滅」

女王に好かれた植物は

国民全員に嫌われた

アスナロには「不葉」(ひば)という名前が付けられ

城の中で「死」を待った

この世界で長寿は「短命」だ

だが、頭のおかしい人間はいくらでもいる

短命の寿命を削り新たな女王を別世界から召喚しようとしている

……だが、それも今日で終わり

元々少ない寿命だ

それを削っているのだから

もう寿命が残ってない

だから、この召喚で終わり

不葉

 

それでは、この場所へ

不葉

……

こんな少ない寿命で別世界から飛ばされる人なんて頭がおかしいに決まっている

だから、期待なんてしてないし

法則のせいで死にかけているのだから世界なんか大嫌いだ

無くなればいいのに

不葉

……

 

それでは、召喚を行います

ぎり…と歯を食いしばる

何回やっても慣れない痛みは存在する

幼い頃から何回も何回も何回も

寿命を引き摺り出され無へと返した

それはまるで身体の中を切り刻まれている様な感覚がする

初めこそ泣きじゃくって嫌だと叫んだが

それも無駄だと知った時何に関しても弱音を吐かず泣きもしなくなった

無駄なことをしても気力を失うだけだから

来るであろう痛みを予想し死ぬ気で耐える

どうせ今回で終わりだ

不葉

……っ

何回感じても死ぬほど苦しい

何も変わらない痛みの中で

突如「それ」は現れた

神々しい光と共に

柔らかく記憶に残る匂いと共に

その「美女」は現れた

 

ん〜っ!!!

 

いい天気〜!!

 

あ……あぁ……!!

 

お!?ここが花の国か〜

 

初めまして!

銀木犀

私は銀木犀

銀木犀

よろしくね

 

あ…新たな女王様……

 

我らに庇護をお与えください…!!

銀木犀

は…?庇護…?

銀木犀

この国には女王が居るはずだよ

銀木犀

なんで居ないの?

不葉

……

…あれが、僕のちっぽけな寿命で召喚された物好きか

横目で見つつふらふらと部屋に戻る

あいつら…最期だからっていつも以上に寿命を取りやがった…

銀木犀

…あ

 

我らの女王は昔に消えてしまいました

 

どうか…どうか我ら花の国をお救い下さい…

銀木犀

あれが探す予定だった「不滅」の子?

その割にはその魂に希望を感じなかった

あのまま薬を作っても効果は得られないだろうな

…何故こんなことになってるんだ?

銀木犀

…女王は考えられないから

銀木犀

せめて代理を見つけることならできる

銀木犀

それでどう?

 

ありがとうございます…

 

なんとお呼びすればいいでしょうか…?

銀木犀

ん〜そうだね〜

銀木犀

……

銀木犀

神祖

銀木犀

そう呼んで

 

かしこまりました…

銀木犀

あ、あともうひとつ

銀木犀

私はこの国を救うから

銀木犀

私が何をしても口を挟まないこと

銀木犀

等価交換ってやつ

銀木犀

いいね?

 

かしこまりました…!!

銀木犀

そ、なら交渉成立だね

銀木犀

必ず代理を見つけてあげる

 

ありがとうございます…!!

不葉

っ…はぁ…

部屋に戻っても痛みが抜けない

まるでなにか大切なものをごっそり持っていかれたような感覚がする

息をするのすら苦しくてしょうがない

不葉

はぁ…

不葉

こんな世界…大嫌いだ…

銀木犀

あ、見つけた

不葉

………君、確か…

不葉

召喚された女王さま…?

銀木犀

いや、違うよ

銀木犀

私はこの世界の女王の代理を見つけることになった

不葉

…そっか

不葉

それで……?

不葉

なんの用?

不葉

人が苦しむの見る趣味でもあるの?

銀木犀

そんな趣味ないよ

銀木犀

私、君に興味があるんだよね

銀木犀

良ければ一緒にこの世界を探索しない?

銀木犀

多分君箱入り息子でしょ?

不葉

何言ってんだ…

不葉

断るよ

不葉

どうせ死ぬのに死に急ぐことはしない

銀木犀

君、アスナロでしょ?

銀木犀

花言葉は「不滅」

銀木犀

「死」が尊いこの世界では嫌われてるの?

不葉

…そこまで分かっていてさっきの質問かよ

不葉

皮肉効いてんな

銀木犀

……?

銀木犀

嫌われているからここに居るんじゃないの?

不葉

嫌われてるだけなら良かったな

不葉

僕、短命なんだよ

不葉

それに加えて寿命を取られたから

不葉

もう死ぬよ

不葉

と言うか、死に際くらい分かるから

不葉

長くて今年の夏までしか生きれない

銀木犀

……そっか

不葉

同情なんて惨めだから辞めてよね

不葉

どうせ死ぬのになんで外に行かなくちゃいけないの

銀木犀

…なら

銀木犀

誘い方を変えるね

銀木犀

私は君に用事があってこの世界に来たの

銀木犀

君が死ぬまでに思い出を作らない?

不葉

…は?

不葉

何言ってるの

銀木犀

君の魂には希望が無い

銀木犀

私は希望に満ちた君の魂が欲しいんだよね

銀木犀

だから私のワガママに付き合いながら思い出作らない?

不葉

…要は使い潰したいって話?

銀木犀

悪い言い方するねぇ君

不葉

…別に悪くないと思えてきたけど

不葉

名前くらい教えろよ

銀木犀

……あ、確かに

銀木犀

ごめん忘れてた

不葉

なにこいつ…

銀木犀

私の名前は銀木犀!

銀木犀

吸血鬼なんだ

銀木犀

よろしくね!

不葉

…吸血鬼って、あの長生きの?

銀木犀

まぁそういう感じ?

不葉

…僕と真反対のタイプかよ

不葉

いいよ

不葉

お前と思い出を作れるなら

不葉

悪くねぇな

第2話・金木犀の刀を

枯れる前の夏、最期は優しい香りで

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

700

コメント

2

ユーザー

設定とか凄く面白いです!

ユーザー

新連載、開始です。 よろしくお願いします。

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store