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ーー戻るつもりなんてなかった
本当に。
重いとか近すぎるとか
全部最もらしい理由を並べて、
俺は離れた。
楽になるはずだった
なのに、
放課後やけに静かで
誰からも見られてない気がして
息がしずらい。
……あいつは
何もしてこない
連絡も、偶然も
『 大丈夫? 』
の一言すらない
それが、
1番キツかった
忘れようとすると、
思い出す
声、
隣に立つ距離
何も言わず、逃げ道を塞ぐあの感じ
俺が1番弱い時に
"わかる"じゃなく
"いる"を選ぶヤツ
ある日、
廊下ですれ違った
目が合ったのは、
ほんの一瞬
笑わない。
呼び止めもしない
責めない
……ずるい
あれだけ俺の中に入り込んでおいて
今更、
無関係な顔すんなよ
気づいたら、
俺から声をかけていた
黒尾 ( クロオ )
黒尾 ( クロオ )
言った瞬間
負けたって分かった
あいつは、
少し驚いた顔をして
それから、
1番安心する笑い方をした
月詠 ( ツクヨ )
月詠 ( ツクヨ )
ーー嘘だ。
何もしてないのに、
俺はここに戻ってきてる
黒尾 ( クロオ )
黒尾 ( クロオ )
言葉にしたら
全部決まった
肩が近い。
逃げようとすれば逃げられる
でもーー
しない。
多分俺は
手を引かれたんじゃない。
立ち止まる場所を、
最初から用意されていただけだ
それでもいいって
思ってしまった
隣にいると、
考えなくて済む。
壊れるのが先か
依存するのが先か
もう、どうでもよかった