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もう一度

あたたかい手を

握りたい

橘 彩奈

あ、もしもし?

千崎 大和

久しぶり、彩奈!

橘 彩奈

久しぶり笑

橘 彩奈

最近なんか怖いウイルス流行ってるみたいだけど

橘 彩奈

大和は元気そうで安心した笑

千崎 大和

俺は元気だよ笑

千崎 大和

家でちょこちょこ勉強してるくらい

千崎 大和

あとは近くの公園の周りをランニングかな

橘 彩奈

少しはじっとしてなよ笑

千崎 大和

だって勉強嫌いだし笑

千崎 大和

それにしても、彩奈から電話なんて久しぶりだな

千崎 大和

なんかあったの?笑

橘 彩奈

…実はさ

橘 彩奈

最近なんだか調子がおかしくって

千崎 大和

…え?

橘 彩奈

病院にいったの

橘 彩奈

そしたら。手術が必要な病気だったんだ…

千崎 大和

…なぁ。嘘だろ?

橘 彩奈

でも今。新型のウイルスが流行ってるでしょう?

橘 彩奈

病院はそっち優先するみたいだから手術は当分待たなきゃいけないみたい。

千崎 大和

…で、でも。

千崎 大和

彩奈は助かるんだろ?

橘 彩奈

…それは手術をすればの話。

千崎 大和

そんな…

橘 彩奈

…私はね。新型ウイルスにかかっているたくさんの人達が治る方が優先だと思ってる。

千崎 大和

でも、そしたら彩奈は…

橘 彩奈

"しょうがない”んだよ。

橘 彩奈

入院をしてもお見舞いにそうやすやすと来れないと思う。

千崎 大和

…!

千崎 大和

なんでだよ!

橘 彩奈

病院には当然、ウイルスがある。何も無い人がお見舞いやなんかにきて感染してしまうのを防ぐために。

千崎 大和

俺は…何も出来ない上に

千崎 大和

彩奈を見ることすらできないのか?

橘 彩奈

…そうだよ

千崎 大和

俺は…ウイルスにかかっても彩奈に会いたい。

橘 彩奈

バカじゃないの!

千崎 大和

…!

橘 彩奈

大和までウイルスにかかったら色んな人達が大変なんだよ。

千崎 大和

そんなことは分かってる。

橘 彩奈

感染が広がらないようにたくさんの人達が対策をして、我慢してきているのに

橘 彩奈

大和が感染してしまったらそれすら無下にすることになる。

千崎 大和

…っ

橘 彩奈

それに私は。大和に感染してもらいたくない。

橘 彩奈

生きていて欲しい。

千崎 大和

俺だって、彩奈に生きていてほしいよ!

橘 彩奈

…私だってもっとたくさん生きていたい

橘 彩奈

みんなと、大和ともっとずっと一緒にいたい。

彩奈の声は震えていた

橘 彩奈

だけど、こんな状況だから"しょうがない”んだよ。

橘 彩奈

それに大和までかかってしまったら、私みたいな人達はみんなどうなっちゃう?

千崎 大和

橘 彩奈

…大和。

長い長い沈黙の中

最後に彩奈から 発せられた言葉は

橘 彩奈

…別れよう

わたしはいま 病院にいる

ああ、目の前が 真っ暗だ

どちらかと言えば

寒い

人の体温に触れていたい

それすら、叶わないのかな

あや…

どこからか 声が聞こえる

…やな…あや…な

私が大好きな声

今1番聞きたい声

千崎 大和

彩奈!

なんだろう

何も見えないのに

視界が真っ白だ

けど、さっきより なんだかあたたかい

千崎 大和

…彩奈。

千崎 大和

手、握っててやるからな。。

私の大好きな声は

震えてる

ああ、悲しませたくない

千崎 大和

俺な、ここまで来るのに頑張ったんだよ

千崎 大和

彩奈のそばにいるために

千崎 大和

彩奈を支えてやるために…

ふふっ…大和らしいね

千崎 大和

…彩奈?

千崎 大和

泣いてる…?

気づいたら

泣いていた

でももうここには いられない

橘 彩奈

やま…と…

千崎 大和

…!

千崎 大和

あっ、彩奈!

橘 彩奈

あり…が…と…

ピ─────ッ

千崎 大和

…彩奈

千崎 大和

今、ウイルスは落ち着いたよ

千崎 大和

俺、最後に彩奈に会いに行った時

千崎 大和

すごい格好してたんだけど、俺だって分かったかな。笑

千崎 大和

…俺ね、決めたんだ

千崎 大和

彩奈みたいな大切な人を守るために

千崎 大和

この状況がんばって乗り切るからね。

脳裏に

彩奈の優しい笑顔が

浮かんだ

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155

コメント

2

ユーザー

うう、、悲しい…早くおさまってほしいな

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