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ダルマ様の家にはなにが御座る

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ダルマ様の家にはなにが御座る

3 - ダルマ様の家にはなにが御座る 第3話 -幻想の影に-

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2021年09月04日

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村人1

ああいうのも、手足落とせば大人しくなるんだがな

箒川葵

──え…?

箒川葵

(今この人、なんて言ったの?)

箒川葵

(手足を、落とす?)

箒川葵

あの、それってどういう…

村人2

ッ、馬鹿!脅かしてどうする!

村人1

ぁ痛っ!!

村人2

悪いな、コイツは口が悪くて…

村人2

もちろんそんなことはせんよ

村人1

…申し訳ない、つい口がすべった

箒川葵

(…こういうの、口がすべったって言うのかな)

箒川葵

ビックリしたけど大丈夫ですよ

箒川葵

分かってます、冗談ですよね

村人2

しかしお兄ちゃん、綺麗な顔だな

村人1

うんうん、姫が欲しがりそうだ

箒川葵

(…『欲しがりそう』?)

箒川葵

(人間に使う言葉だっけ?)

蔦枝洋介

あの人には宿まで案内してもらいました

蔦枝洋介

妙にベタベタされて困りましたよ

蔦枝洋介

やたらすり寄ってくるし、慎みがない

村人1

あの子は好みじゃないかね

蔦枝洋介

好みと真逆です

村人2

確かにこの子はあの子と真逆だな

村人1

頭も良さそうだし、胸も尻もデカい

箒川葵

きゃっ!?

軽い調子で尻を掴まれ、思わず悲鳴をあげる

村人1

姫は美人だが、学も胸もねぇからなぁ!

村人2

ははは!違いねぇや!!

シュルルルルル…

箒川葵

(あれ?この音…)

村人1

う、うわぁああああ!!

箒川葵

っ、え!?

箒川葵

(これ、姫さんが連れてた蛇でしょ?)

箒川葵

(なんでそんなに怖がるの!?)

箒川葵

(村の人は、蛇なんて見慣れてるんじゃ…)

村人2

す、すみません勘弁してください

村人2

決して、決して悪口などでは…!

箒川葵

(なに!?なんで怯えてるの、この人たち!)

シュルルルルル…

箒川葵

…行っちゃった

箒川葵

(まるで警告でもしてたみたい…)

蔦枝洋介

あの蛇、姫さんのですよね

蔦枝洋介

あの人、具体的にどういう人なんですか?

村人1

…巫女だよ

箒川葵

巫女さん、ですか

村人2

今のことは忘れてくれ

村人1

うん、アンタらは関わらんほうがいい

村人1

ただ一個だけ言っておく

村人2

…姫の機嫌を損ねんようにな

箒川葵

(…なに、それ)

箒川葵

あー、気をつけ、ますね

箒川葵

ところでダルマ様を撮っていいですか?

箒川葵

とても風情があるので、是非

村人1

ん?あぁ、いいよいいよ!

村人2

アンタらなら歓迎だ!

箒川葵

(なんだろう、なんかモヤモヤする)

箒川葵

(でも気にしないほうがいいんだろうな)

箒川葵

(ダルマ様になっちゃうとかって…)

箒川葵

(アレってどういう意味だろう)

箒川葵

あれ?

写真データを見返し、首を傾ぐ

箒川葵

なんだろう、なんか…

箒川葵

この村の写真、変じゃない…?

蔦枝洋介

この村が変?

蔦枝洋介

田舎だし、多少はあるだろ

箒川葵

そういうのじゃなくて

箒川葵

もっと根本的な違和感なんだって

蔦枝洋介

でもまだ言語化できない、と

箒川葵

そう

蔦枝洋介

俺は感じてないけど…

蔦枝洋介

葵が言うなら、なにかあるのかも

蔦枝洋介

あとで検証しようか

箒川葵

ありがと!

箒川葵

少し気が楽になったわ

蔦枝洋介

今から一番のお楽しみだしな

蔦枝洋介

ほら、ライトアップが見えた!

箒川葵

うわぁ…!!

箒川葵

すごい、写真よりずっとキレイ…!!

箒川葵

あ、お土産物屋さんがある!

箒川葵

桜のアロマオイル!美容パック!

箒川葵

これもあとで買おう!

箒川葵

っ!あの傘とあの枝の角度!

箒川葵

いい!!

蔦枝洋介

目移りが凄まじいな

こんばんは洋介さん

あらあら、ほったらかしねぇ

蔦枝洋介

あ、どうも

箒川葵

洋介、こっちで背中貸し…!

箒川葵

…うわ

箒川葵

(あ、口に出ちゃった)

楽しんでもらえてる?

箒川葵

ええ、はいもちろん

そう、お招きした甲斐があったわ

だけど写真にかまけてばかりは、ねぇ

洋介さんがかわいそうよ

箒川葵

アーハイソウデスネー

ねぇ、よければ一緒に回りません?

箒川葵

え゙

蔦枝洋介

いいですね、是非

箒川葵

(洋介!?)

蔦枝洋介

葵に見所を案内してやってください

…はい?

姫の口がポカンと開いた

蔦枝洋介

この旅行の主役は葵ですから

蔦枝洋介

案内すべきは葵でしょう

蔦枝洋介

俺は1人で回るから、よろしくお願いします

箒川葵

(おお…姫さんの顔ヤバいな)

箒川葵

(私に興味ないってこと!?って書いてある)

箒川葵

なんか、すみませんね

…あなたが謝ることじゃないわ

──用事を思い出しちゃった

ご案内できなくてごめんなさい

箒川葵

いえ、1人のほうが気楽なんで

箒川葵

(ここまで露骨だといっそ清々しいな)

箒川葵

今が秋だなんて信じられないわ

箒川葵

秋風、桜吹雪、和傘のライト

箒川葵

色々あるけど、来てよかった

???

──なにがそんなに面白いんだか

箒川葵

(え?)

振り向くと、高校生くらいの男子が立っていた

箒川葵

(わ、私に言ってる?)

箒川葵

(なんだかすごく怒ってるみたい)

箒川葵

えぇと、きみ…

???

うるさい!

???

ケガレがつく前に、よそ者はさっさと帰れ!

箒川葵

え、ちょっと!

箒川葵

…行っちゃった

箒川葵

田舎の洗礼ってやつかな、怖ぁ…

…………!

箒川葵

ん?

箒川葵

今なにか、聞こえたような…

箒川葵

なに、あそこ

箒川葵

あの家だけ、明かりがついてない

箒川葵

(こんなに近いのに、全然気づかなかった)

箒川葵

(光の影に隠してるみたいな…)

なんとなく後ろめたい気持ちで、一歩踏み出す

箒川葵

(…なんだろう)

箒川葵

(一歩外れただけなのに、空気が重い)

じっとりと湿度を増したような雰囲気に汗が滲んだ

箒川葵

(枯れ葉1枚踏む音がやけに怖い)

箒川葵

(なにか、ある気がする)

箒川葵

(あそこの中に、なにか)

建物に近付くにつれ、生臭さが鼻をつく

箒川葵

(さっきからなんの匂いだろう)

箒川葵

(なんだか、まるで…)

箒川葵

(あの建物、窓がわざと塞がれてるみたい)

箒川葵

(だけど光の漏れてるあそこから覗けば)

箒川葵

(なにか…)

ダルマ様の家にはなにが御座る

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