佐々木亜美
明石照也
佐々木亜美
佐々木亜美
明石照也
トーク画面を閉じて、スマホをポケットにしまう。
亜美からの誘いがある日は大抵部活のない日。
俺の部活事情を知ってるなんてちょっと気味が悪いけど、まあそれほど気にしてはいない。
放課後
佐々木亜美
不在着信
佐々木亜美
不在着信
佐々木亜美
佐々木亜美
明石照也
明石照也
明石照也
佐々木亜美
佐々木亜美
明石照也
スマホをポケットにしまい、仕事を再開する
早く委員会を終わらせないと、亜美が待ってる。
「なー、照也ぁ。」
「なに。」
「これ終わったらあの子のとこ行くのか?」
「ああ、そうだよ。」
同じ委員会の俊平は、亜美のことを知っているらしくそれがきっかけで話すようになった。
ただ、亜美のクラスとか誕生日についてはプライバシーだとか言って教えてくれない。
まあ、めっちゃ知りたい!って訳でもないしいいんだけど。
「…照也は、亜美のことが好きなのか?」
「は?」
仕事をしていた手が止まる。
好き?
俺が?
亜美を?
「馬鹿言うなよ。」
「でも、お前亜美の話してる時すげぇ楽しそうだよ。」
「…まじ?」
「うん。」
うわ…そうなのか。
確かに、亜美が笑ってるのみると胸が苦しくなったり
他の奴の話してると嫌な気持ちになったりはしていた。
この感情にもし、名前をつけるとしたならそれは
「完璧に恋してるべや。」
“恋”
というのだろう。
「好き…なんだ。」
なんか、自覚したらさらに早く会いたくなってきた。
「さっさとこれ終わらすぞ。」
「照也。」
「なに。」
「…亜美は、好きにならないほうがいいぞ。」
「は?」
いやいや、何言ってんだ。
お前が気づかせたんだろうが。
…まさか、俊平も亜美が好きなのか?
「なんで俺が諦めなきゃなんねーんだよ。」
お前なんかに亜美を譲るかよ。
「はい、俺の分終わった。」
「は?え、ちょ、はや!」
「じゃあな。」
「ちょ…照也!」
「…あーあ、行っちゃった。」
404教室
「あ!遅いよ!」
「ごめん。委員会の仕事長引いちゃってさ。」
「私が何回メッセージ送ったと思ってんのよ!」
佐々木亜美
佐々木亜美
佐々木亜美
佐々木亜美
佐々木亜美
不在着信
佐々木亜美
不在着信
佐々木亜美
不在着信
うわ、えぐいな…
通知画面にはこれでもかと言うほどのメッセージ。
よく送ってきたな。
「今日はね、あきに言いたいことがあるの。」
「ん?」
…なんか、ドキドキするな
俊平がこの気持ちに気づかせてくれなかったら、こんな場面もなんとも思わなかったのだろう
「…私たち、もう会えない。」
「…ぇ…?」
なんて言った?
もう、会えない?
なんで、
どうして、
「…なんで、」
やっと声になった言葉は思った以上に小さく、弱々しかった
「…ごめん。」
それは、何に対してのごめんなんだ?
今まで俺に隠してたこと?
もう会えなくなること?
「…んだよ、それ。」
俺は亜美を一度睨んでから、教室を出ていった
そのときの悲しそうな顔なんて、俺は見ていない
翌日
スマホの画面にでかでかと映されたニュース。
ほんの興味で、俺はそれを開いてみた。
“10年前に起きた女生徒自殺事件
原因はクラス内で起きたいじめだったという。
その事件の主犯格であった山下容疑者が有罪判決を受けた。
被害者の母親である佐々木美江さんは、娘はこれで報われたと話す。____”
普段なら気にしないであろうこんなニュース。
けど、妙に引っ掛かりを覚えたのだ。
この違和感は…なんだ。
俺はニュースの画面を閉じる。
すると、あることに気がついた。
亜美とのトークルームがなくなっていることに。
何度探しても、まるで最初からなかったかのようだ。
「…亜美…!」
俺は教室を飛び出した。
亜美のいる404教室を目指して。
404教室
「亜美!」
勢いよくドアを開けて入った教室
そこに、亜美の姿はなかった
代わりに立っていたのは
「よ、照也」
「俊平…」
俊平は、呆れたように口を開いて言った。
「だから言ったろ?」
_好きにならないほうがいい、って。
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