この作品はいかがでしたか?
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怖かったあの日から一日が経ち、
浅い眠りから覚める。
2年着ている洋服は見慣れ、
入学当初と比べたら全然着こなせている
と鏡を見てふと思う。
そしてそのまま、
鞄を持って1回へ降りる。
お母さんが毎日のように作ってくれている朝ご飯が机に並べられており、
キッチンではお弁当を作る姿。
その姿に、
"おはよう"
と挨拶するのが日課。
…なのに、
お母さん
声が、
…出ない、
ゆうか
お母さん
お弁当を作っていた手を止め、
私の方へ駆け寄る。
私は喉元を抑え、
なんとか声を出してみようと試みるも、
喉は全然震えようとしない。
…風邪、?
ふとその原因が頭に過ぎるのには理由があった。
何年か前に風邪を引いた時、
全く声が出ない時があった。
心配性なお母さんは、
すぐに私を病院に連れて行くと、
"ただの夏風邪ですよ"
と言われた事が多かった。
冬に突入した今、
風邪なんて当たり前なんだからきっとそうなんだろう。
そう思ってスカートのポケットからスマホを取り出し、
文字を打っていく。
ゆうか
でも風邪だったら、
元々免疫力の弱い私は頭痛や咳、
喉の痛みがあるはず。
それなのに、
そんな患いは全く無い。
声が出ない今日。
声が出ていた昨日。
思い出してみても、
風邪を引いた日なんてあっただろうか。
飛貴がやけに心配して、
"手洗いうがいは必ず!"
"どこか行く時はマスク!"
と1回1回言っていて、
そのおかげあってか、
風邪は引いていなかったはずなのに。
お母さん
ゆうか
ゆうか
お母さん
お母さん
"【ありがとう】"
それさえもいちいち文字にして伝えないといけない。
お礼ぐらい、
自分の口から言いたいのに。
どうして出てくれないのだろう。
それはあの日、
風邪を引いて声が出なかった時と、
どこか少し違う違和感を感じていた。
コメント
12件
え、神作すぎて泣けてきたよ((((
え神作やん(((((
さぁいっこうですね!! 続きが気になります! 頑張って💪ください!!