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高校2年の夏。
わたし、井川 深織(いがわ みおり)は夏休みを使って故郷へ帰省した。
親の都合で中学生の時に東京へ引っ越して以来、初めての帰省だから少し緊張してる。
だけどそれと同じくらい ワクワクもしていた。
だって、大好きな3人の幼なじみが
故郷『小切り村』で 待っていてくれてるから──
深織
無人駅をおりて、数十分。
目的地にたどり着けば 見慣れた看板とともに
なにも変わらない風景が 視界いっぱいに広がっていた。
深織
深織
深織
すーっと大きく息を吸って それから吐き出す。
小切り村は某県の辺境にある 小さな村。
山と田んぼと虫だらけの田舎だけど それこそがこの村の魅力。
わたしはこの大自然が 恋しくてたまらなかったのだ。
朝飛
深織
深織
朝飛
朝飛
わたしの2倍ほどの荷物を抱えてこちらに走ってくるのは 一つ下の弟、朝飛。
生意気で口は悪いけど、 けっこうかわいいやつだ。
深織
深織
深織
深織
深織
朝飛
朝飛
朝飛
朝飛
そう。わたしと朝飛が抱えている荷物の大半が、村へのお土産。
この村にスイーツ店なんてオシャレなものはないから
せっかくだしお土産にと 両親に頼まれたのだ。
深織
朝飛
朝飛
深織
深織
深織
朝飛
朝飛
深織
深織
深織
朝飛
朝飛
朝飛
朝飛
深織
朝飛はなぜか昔から この村を嫌っていた。
理由を聞いても頑なに教えてはくれなくて。
去年、わたしが「帰省したい」と 言い出した時も
まっさきに否定したのは 朝飛だった。
それからというもの
なかなか首を縦にふってくれない朝飛をどうにか説得し
今年の夏。ようやく帰省まで 漕ぎ着けたのだった。
けど両親は仕事が忙しくまとまった休みが取れなかったため
わたしと朝飛2人だけの帰省となった。
深織
深織
深織
朝飛
深織
深織
深織
朝飛
朝飛
朝飛
深織
朝飛
朝飛の顔つきが変わった。
朝飛
朝飛
朝飛
深織
深織
朝飛
深織
朝飛
朝飛
深織
朝飛
朝飛
朝飛
朝飛
朝飛
深織
深織
朝飛
朝飛
深織
朝飛
朝飛
朝飛
朝飛
朝飛は最後まで言葉を濁し
せっせと歩いていってしまった。
一方、わたしの心には
朝飛の不穏な言葉たちが もわもわと残り続けのだった。