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レトルト
レトルト
キヨ。
ドンッ
鈍い音がした。
俺の目が識別できる色は
赤……赤……赤…赤…
レトルト
その音と俺の叫び声で 周囲の人達が寄ってくる。
通りすがりの男性
通りすがりの男性
通りすがりの女性
そんな周囲の話し声など 俺の耳には届いていなかった。
ふと見上げると、信号がそこにあった。
赤だ…赤…赤…
ただ地面に広がるその赤だけを おれはぼーっと眺めていた。
レトルト
レトルト
嫌な夢を見た。
あの出来事があってから 何回も同じ夢を見る。
それも現実と同じ夢。
俺のメンタルが見せているのだろうか…
レトルト
レトルト
ゆっくりとベッドから降りて 洗面台に向かう。
レトルト
レトルト
嫌な夢を見た朝は 決まって目が腫れている。
自分でも気づかぬうちに 泣いているみたいだ。
目尻には涙の跡がある。
レトルト
レトルト
レトルト
俺がこんなになってしまったのは ある事故がきっかけだ。
会いたくて仕方ないキヨくん。
俺の恋人だった。
しかし今はここにはいない。
事故直後、病院に行ってしまって 3ヶ月の入院中だ。
ちょうど明日で退院する予定だが…
まだ完治してはいないようだ。
今日もお見舞いに行く。
明日も会えるのだけれど それでも会いたい…
会いたい…
レトルト
ガッチマン
牛沢
レトルト
レトルト
病室に入ると、二人が先に来ていた。
窓際にある椅子に座っている。
ベッドには…
レトルト
キヨ。
ふわっと俺に笑いかけてくれる。
レトルト
レトルト
キヨ。
キヨ。
キヨ。
レトルト
事故があった日のことだ。
赤信号で曲がってきた車に キヨくんがはねられた。
俺を庇って。
俺を突き飛ばしたあとで 反応が遅れたのか
自分が逃げるのに間に合わなかったのだ。
キヨ。
こんなにスムーズに会話はできているが
はねられたショックで 記憶は失っているみたいだ。
3ヶ月入院していたが 怪我や心のリハビリも兼ねて
自宅療養を、と言われたのだ。
牛沢
キヨ。
ガッチマン
ガッチマン
二人のことは覚えている。
でも…
キヨ。
キヨ。
キヨ。
レトルト
レトルト
レトルト
あ…どうしよう…
泣きそう…
自分の恋人に忘れられるって…
こんなに虚しいことはないんだよ…
俺の知ってるキヨくんは もっと口が悪くて
ボケてばっかりで それを俺がツッコんで
もっと…もっと…
レトルト
レトルト
ガッチマン
キヨ。
キヨ。
その後も最近あったことを話したり そこそこ盛り上がる話をしたが
頭の片隅では やはり夢のことがよぎっていた。
TO BE CONTINUED…