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aqua.
不明ちゃん。
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完全な闇。 呼吸の音だけが、 やけに近く感じる。 ——どこにいるのかも、 分からない。
さとみ
声だけが、 空間に浮かぶ。
でも。 返事は、 一つも返ってこない。
ジェル
ジェル
沈黙。 その時。 ころんの端末だけが、 赤く点灯した。 ぼんやりと、 自分の手元だけが見える。
【最終フェーズ】 【対象:人狼】 【任務:排除】
ころんの喉が、 ゆっくり動く。
ころん
その問いに、 答える声はない。 代わりに。 すぐ後ろで——
「……ころん」
振り返る。 誰もいない。 でも。 気配だけが、 確かにある。
ころん
足音が、 一歩、近づく。 見えない何かが、 すぐそこにいる。
「……見えてるでしょ」
その声は。 さとみの声に、 よく似ていた。 ころんの呼吸が止まる。
ころん
でも。 端末の表示が、 静かに書き換わる。
【警告】 【視認対象:偽装の可能性】
背筋が、 一気に冷える。
ころん
目の前の“気配”が、 わずかに揺れる。 そして。
「……だったら、どうする?」
その言葉は、 さとみの声なのに。 感情が、 何も乗っていない。 ころんの手が、 震える。
【人狼を全員殺せ】
赤い文字が、 強く光る。
ころん
その先の言葉が、 出てこない。 守りたいのか。 疑うべきか。 もう、 分からない。 その時。
別の方向から、 足音。
ジェル
今度は、 はっきりした声。
ころん
安堵しかけた瞬間。 端末が、 また震える。
【警告】 【複数存在を検知】
ころんの視界の中に、 “二つの気配”。 片方は、 すぐ目の前。 もう片方は、 少し離れた場所。 どっちが本物か。
いや—— どっちも、 違う可能性もある。 さとみの声が、 再び近づく。
「……選べよ」
ジェルの声も、 重なる。
ジェル
二つの声。 二つの存在。 ころんの頭が、 ぐちゃぐちゃになる。
ころん
ころん
その瞬間。 端末に、 新しい表示。
【対象選択】 【制限時間:10秒】
ころんの呼吸が、 一気に速くなる。 どちらかを、 選べば。
“人狼”を一人、 消せる。
でも。 間違えれば——
【ペナルティ:存在値減少】
心臓が、 強く跳ねる。
【9】
「……ころん」
ジェル
【7】
視界が、 ぐらつく。
【5】
どっちが、 本物だ。
【3】
ころんの指が、 震えながら動く。 そして—— 選んだ。 その瞬間。 静寂。 次の瞬間——
「……あ」
短い声が、 闇に落ちた。 どちらの声だったか。 もう、 分からない。
ころんの体が、 一瞬透ける。 やってしまったのか。 それとも—— 正しかったのか。 暗闇は、 何も答えない。 ただ。 どこかで、 小さく笑う声だけが響いた。
【存在値:減少】
ぷちひな
その声は、 すぐ近くにあった。